2026年英国アカデミー賞(BAFTA)のノミネートが発表され、『ワン・バトル・アフター・アナザー』が『罪人たち』を1部門差でリードする展開となった。
1月27日(火)にロンドンで発表された2026年英国アカデミー賞(BAFTA)のノミネートは、今年のアワードレースの行方を大きく揺さぶる内容となった。ポール・トーマス・アンダーソン監督の政治スリラー『ワン・バトル・アフター・アナザー』が14部門でノミネートを獲得し、ライアン・クーグラー監督によるヴァンパイア映画『罪人たち』の13部門をわずか1部門上回った。一方、先に発表されたアカデミー賞ノミネートでは『罪人たち』が16部門でトップに立っており、両賞の評価の違いが浮き彫りとなっている。
BAFTAノミネートで浮かび上がったトップ争いの構図
今回のBAFTAノミネートでは、『ワン・バトル・アフター・アナザー』と『罪人たち』の拮抗した評価が際立つ結果となった。アンダーソン監督作は14部門でノミネートされ、アカデミー賞で首位だった『罪人たち』を僅差で上回った。
さらに、クロエ・ジャオ監督の『ハムネット』、ジョシュ・サフディ監督の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』がそれぞれ11部門で続き、上位は複数作品による混戦模様を見せている。ヨアキム・トリアー監督の『センチメンタル・バリュー』、ギレルモ・デル・トロ監督の『フランケンシュタイン』も複数部門で名を連ね、今年のBAFTAがジャンルや作風を横断したラインナップとなったことを印象づけた。
演技・監督部門で目立つ初BAFTAノミネートの顔ぶれ
監督賞部門では、ライアン・クーグラー監督(『罪人たち』)とジョシュ・サフディ監督(『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』)が、ともに今回が初のBAFTAノミネートとなった。両者は、ヨルゴス・ランティモス監督、クロエ・ジャオ監督、ポール・トーマス・アンダーソン監督、ヨアキム・トリアー監督と並び、実績ある名前が揃う中で候補入りを果たしている。
演技部門でも初BAFTA候補者の存在が際立った。ロバート・アラマヨ、オデッサ・アザイオン、ローズ・バーン、チェイス・インフィニティ、マイケル・B・ジョーダン、インガ・イブスドッテル・リッレオース、ステラン・スカルスガルド、テヤナ・テイラーが、今回初めてノミネートされた顔ぶれとして名を連ねている。
主演女優賞では、バーンとインフィニティが、ジェシー・バックリー、ケイト・ハドソン、レナーテ・レインスヴェ、エマ・ストーンと並び候補入りした。一方、主演男優賞では、アラマヨとジョーダンが、ティモシー・シャラメ、レオナルド・ディカプリオ、イーサン・ホーク、ジェシー・プレモンスと共にレースを戦う構図となっている。助演部門でも初候補者と常連俳優が混在し、各部門で競争の激しさが際立つ結果となった。
アカデミー賞と異なる評価が示されたBAFTAの選考
今回のBAFTAノミネートでは、アカデミー賞とは異なる評価軸も浮かび上がった。アカデミー賞ノミネートから外れた『ウィキッド 永遠の約束』は、BAFTAでは衣装デザインとメイク&ヘアの2部門で候補に残った。(演技部門や主要カテゴリーには入らず)
一方、アカデミー賞と同様にBAFTAでも完全に除外された作品もある。ジョージ・クルーニー、アダム・サンドラー、ローラ・ダーン出演のノア・バームバック監督作『ジェイ・ケリー』、ジェレミー・アレン・ホワイトとジェレミー・ストロングが共演した『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』、アマンダ・サイフリッド主演の『アン・リー/はじまりの物語』、パク・チャヌク監督の『しあわせな選択』はいずれもBAFTAのノミネートから漏れる結果となった。
また、アカデミー賞作品賞に予想外のノミネートを果たしたジョセフ・コシンスキー監督の『F1/エフワン』は、BAFTAでは編集、音響、視覚効果の技術部門で候補入りし、主要部門とは異なる形で存在感を示している。こうした結果は、両賞が共有する傾向と同時に、それぞれの選考基準の違いを印象づけるものとなった。
ノミネート一覧は以下のとおり。
作品賞
『ハムネット』
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
『センチメンタル・バリュー』
『罪人たち』
英国作品賞
『28年後…』
『The Ballad of Wallis Island(原題)』
『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』
『Die My Love(原題)』
『H Is for Hawk(原題)』
『ハムネット』
『I Swear(原題)』
『Mr Burton(原題)』
『Pillion(原題)』
『スティーヴ』
英国人脚本家、監督、プロデューサーによるデビュー作品賞
『The Ceremony(原題)』ジャック・キング(監督、脚本)、ホリー・ブライアン(プロデューサー)、ルーシー・ミーア(プロデューサー)
『My Father’s Shadow(原題)』アキノラ・デイヴィス・ジュニア(監督)、ウェール・デイヴィス(脚本)
『Pillion(原題)』ハリー・ライトン(監督、脚本)
『A Want in Her(原題)』ミリッド・カーテン(監督)
『Wasteman(原題)』カル・マクモー(監督)、ハンター・アンドリュース(脚本)、エオイン・ドーラン(脚本)
非英語映画賞
『シンプル・アクシデント/偶然』
『シークレット・エージェント』
『センチメンタル・バリュー』
『Sirat(原題)』
『ヒンド・ラジャブの声』
ドキュメンタリー映画賞
『2000 Meters to Andriivka(原題)』
『Apocalypse in the Tropics(原題)』
『シーモア・ハーシュ:権力の闇に挑む男』
『Mr. Nobody Against Putin(原題)』
『パーフェクト・ネイバー:正当防衛法はどこへ向かうのか』
アニメーション映画賞
『星つなぎのエリオ』
『アメリと雨の物語』
『ズートピア2』
キッズ・ファミリー映画賞
『ARCO/アルコ』
『Boong(原題)』
『リロ&スティッチ』(2025)
『ズートピア2』
監督賞
『ブゴニア』ヨルゴス・ランティモス
『ハムネット』クロエ・ジャオ
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ジョシュ・サフディ
『ワン・バトル・アフター・アナザー』ポール・トーマス・アンダーソン
『センチメンタル・バリュー』ヨアキム・トリアー
『罪人たち』ライアン・クーグラー
脚本賞
『I Swear(原題)』カーク・ジョーンズ
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ロナルド・ブロンスタイン、ジョシュ・サフディ
『シークレット・エージェント』クレベール・メンドンサ・フィリョ
『センチメンタル・バリュー』エスキル・フォークト、ヨアキム・トリアー
『罪人たち』ライアン・クーグラー
脚色賞
『The Ballad of Wallis Island(原題)』トム・バスデン、ティム・キー
『ブゴニア』ウィル・トレイシー
『ハムネット』クロエ・ジャオ、マギー・オファーレル
『ワン・バトル・アフター・アナザー』ポール・トーマス・アンダーソン
『Pillion(原題)』ハリー・ライトン
主演女優賞
ジェシー・バックリー『ハムネット』
ローズ・バーン『If I Had Legs I’d Kick You(原題)』
ケイト・ハドソン『Song Sung Blue(原題)』
チェイス・インフィニティ『ワン・バトル・アフター・アナザー』
レナーテ・レインスヴェ『センチメンタル・バリュー』
エマ・ストーン『ブゴニア』
主演男優賞
ロバート・アラマヨ『I Swear(原題)』
ティモシー・シャラメ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
レオナルド・ディカプリオ『ワン・バトル・アフター・アナザー』
イーサン・ホーク『Blue Moon(原題)』
マイケル・B・ジョーダン『罪人たち』
ジェシー・プレモンス『ブゴニア』
助演女優賞
オデッサ・アザイオン『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
インガ・イブスドッテル・リッレオース『センチメンタル・バリュー』
ウンミ・モサク『罪人たち』
キャリー・マリガン『The Ballad of Wallis Island(原題)』
テヤナ・テイラー『ワン・バトル・アフター・アナザー』
エミリー・ワトソン『ハムネット』
助演男優賞
ベニチオ・デル・トロ『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ジェイコブ・エロルディ『フランケンシュタイン』
ポール・メスカル『ハムネット』
ピーター・ミュラン『I Swear(原題)』
ショーン・ペン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ステラン・スカルスガルド『センチメンタル・バリュー』
キャスティング賞
『I Swear(原題)』ローレン・エヴァンス
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ジェニファー・ヴェンディッティ
『ワン・バトル・アフター・アナザー』キャサンドラ・クルクンディス
『センチメンタル・バリュー』ユングヴィル・コルセット・ハーガ、エイヴィ・カウフマン
『罪人たち』フランシーン・メイズラー
撮影賞
『フランケンシュタイン』ダン・ラウストセン
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ダリウス・コンジ
『ワン・バトル・アフター・アナザー』マイケル・バウマン
『罪人たち』オータム・デュラルド・アーカポー
『トレイン・ドリームズ』アドルフォ・ヴェロソ
編集賞
『F1/エフワン』スティーヴン・ミリオーネ
『ハウス・オブ・ダイナマイト』カーク・バクスター
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ロナルド・ブロンスタイン、ジョシュ・サフディ
『ワン・バトル・アフター・アナザー』アンディ・ユルゲンセン
『罪人たち』マイケル・P・ショーヴァー
衣装デザイン賞
『フランケンシュタイン』ケイト・ホーリー
『ハムネット』マルゴシア・トゥルザンスカ
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ミヤコ・ベリッツィ
『罪人たち』ルース・E・カーター
『ウィキッド 永遠の約束』ポール・タズウェル
メイク&ヘア賞
『フランケンシュタイン』ジョーダン・サミュエル、クリオナ・ヒューリー、マイク・ヒル、ミーガン・メニー
『ハムネット』ニコール・スタッフォード
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』カイラ・パンチェンコ、ケイ・ジョージュー、マイク・フォンテイン
『罪人たち』シアン・リチャーズ、シュニカ・テリー、ケン・ディアス、マイク・フォンテイン
『ウィキッド 永遠の約束』フランシス・ハノン、ローラ・ブラント、マーク・クーリエ、サラ・ナス
作曲賞
『ブゴニア』ジャースキン・フェンドリックス
『フランケンシュタイン』アレクサンドル・デスプラ
『ハムネット』マックス・リヒター
『ワン・バトル・アフター・アナザー』ジョニー・グリーンウッド
『罪人たち』ルドウィグ・ゴランソン
美術賞
『フランケンシュタイン』タマラ・デヴェレル、シェーン・ヴィオー
『ハムネット』フィオナ・クロンビー、アリス・フェルトン
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ジャック・フィスク、アダム・ウィリス
『ワン・バトル・アフター・アナザー』フロレンシア・マーティン、アンソニー・カーリーノ
『罪人たち』ハンナ・ビークラー、モニーク・シャンパーニュ
音響賞
『F1/エフワン』ギャレス・ジョン、アル・ネルソン、グウェンドリン・イェーツ・ホイットル、ゲイリー・A・リッツォ、フアン・ペラルタ
『フランケンシュタイン』グレッグ・チャップマン、ネイサン・ロビタイユ、ネルソン・フェレイラ、クリスチャン・クック、ブラッド・ゾーム
『ワン・バトル・アフター・アナザー』ホセ・アントニオ・ガルシア、クリストファー・スカラボシオ、トニー・ヴィラフロール
『罪人たち』クリス・ウェルカー、ベニー・バート、ブランドン・プロクター、スティーヴ・ボエデカー、フェリペ・パチェコ
『ウォーフェア 戦地最前線』グレン・フリーマントル、ミッチ・ロウ、ベン・バーカー、ハワード・バーグロフ、リチャード・スプーナー
視覚効果賞
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ジョー・レッテリ、リチャード・ベインハム、ダニエル・バレット、エリック・セインドン
『F1/エフワン』ライアン・タドホープ、キース・アルフレッド・ドーソン、ニコラ・シュヴァリエ、ロバート・ハリントン
『フランケンシュタイン』デニス・ベラルディ、アヨ・バージェス、イヴァン・ブスケッツ、ホセ・グラネル
『ヒックとドラゴン』(2025) クリスチャン・メンツ、フランソワ・ランベール、グレン・マッキントッシュ、テリー・パーマー
『ロスト・バス』チャーリー・ノーブル、ブランドン・K・マクラフリン、デイヴィッド・ザレッティ
英国短編アニメーション賞
『Cardboard(原題)』J.P.ヴァイン、ミハエラ・マナス・マリナ
『Solstice(原題)』ルーク・アンガス
『Two Black Boys in Paradise(原題)』バズ・セルズ、ディーン・アッタ、ベン・ジャクソン
英国短編映画賞
『Magid / Zafar(原題)』ルイス・ヒンドマン、スフィヤーン・サラム、エイダン・ロバート・ブルックス
『Nostalgie(原題)』キャスリン・ファーガソン、ステイシー・グレッグ、マーク・ロビンソン、キャス・マトック
『Terence(原題)』エデム・ケルマン、ノア・ライヒ
『This Is Endometriosis(原題)』ジョージー・ワイルマン、マット・ホートン、ハリエット・ライト
『Welcome Home Freckles(原題)』ヒジュ・パク、ネイサン・ヘンドレン
EEライジング・スター賞(一般投票)
ロバート・アラマヨ
マイルズ・ケイトン
チェイス・インフィニティ
アーチー・マデクウィ
ポージー・スターリング










