スティーヴン・グレアム主演のスリラー『Heel(原題)』の予告編が公開された。郊外の一家と若き犯罪者の歪んだ関係を描く。
郊外に暮らす一家が、若き犯罪者を手段を選ばず“更生”させようとするツイステッド・サイコロジカル・スリラー『Heel(原題)』の予告編が公開された。本作は、スティーヴン・グレアムとアンドレア・ライズボローが夫婦役を演じ、閉ざされた空間で進行する歪んだ心理戦を描く。米国では3月6日に限定劇場公開およびオンデマンド配信が予定されている。
【動画】『Heel(原題)』予告編
郊外の地下室で始まる、暴力と恐怖の監禁劇
19歳の犯罪者トミーは、ドラッグやパーティー、暴力に明け暮れる日々を送っている。ある晩、泥酔した彼は無謀な仲間たちとはぐれ、気付かぬうちに何者かに拉致されてしまう。
目を覚ましたトミーがいたのは、孤立した郊外の一軒家の地下室だった。鎖で繋がれ、逃げ場のない状況に置かれた彼は、激しい怒りと恐怖に襲われる。そこは、クリスと妻キャスリン、そして幼い息子ジョナサンが暮らす“普通の家族”の家だった。暴力を振るうことには慣れているはずのトミーにとって、この静かな家庭空間は、これまでとは質の異なる脅威となって立ちはだかる。
更生か脱出か──一家が仕掛ける執拗なマインドゲーム
トミーを地下室に拘束しているのは、クリス、キャスリン、そして幼い息子ジョナサンからなる一家である。彼らは単なる監禁者ではなく、トミーの粗暴な振る舞いを「正そう」としている存在だ。暴力に支配された生き方を改めさせるため、彼らは執拗なマインドゲームを仕掛け、従うことを強いる。
一家の行動は、一見すると更生を目的とした教育のようにも映る。しかし、その手段は次第に常軌を逸していき、トミーは精神的にも追い詰められていく。彼に突きつけられるのは、家族のルールに従い“変わる”ことを受け入れるか、あるいはどんな犠牲を払ってでも脱出を試みるかという、極端な選択である。
本作は、犯罪者を更生させるという名目のもとで行われる行為が、果たして正義なのか、それとも新たな暴力なのかを観る者に問いかける。被害者と加害者の立場が揺らぎ続ける中で、物語は単なる監禁スリラーの枠を超え、歪んだ倫理観と支配の構造を浮かび上がらせていく。
実力派キャストと『聖なる犯罪者』監督が描く歪んだ心理劇
一家の父クリスを演じるのは、映画『スナッチ』などで知られるスティーヴン・グレアム。妻キャスリン役には、『マンディ 地獄のロード・ウォーリアー』のアンドレア・ライズボローが名を連ねる。拉致される若き犯罪者トミー役はアンソン・ブーンが演じ、幼い息子ジョナサン役をキット・ラクセンが務めている。
監督を務めたのは、『聖なる犯罪者』でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたヤン・コマサ。脚本はバルテク・バルトシクとナクシュ・カリドが担当し、製作にはジェレミー・トーマス、エヴァ・ピアスコフスカ、イエジー・スコリモフスキが名を連ねている。道徳や更生、暴力の正当化といったテーマを扱ってきたコマサ監督の作風が、本作の閉鎖的な設定とどのように結びつくのかも注目される。
『Heel(原題)』は、9月に開催されたトロント国際映画祭で、原題『Good Boy』として初上映された作品である。犯罪者を“正す”という行為の裏に潜む暴力性や支配構造を、郊外の一軒家という限定的な空間に凝縮した本作は、観る者に不穏な問いを投げかけるサイコロジカル・スリラーとなりそうだ。
本作は、米国では3月6日に限定劇場公開およびオンデマンド配信が予定されている。
