『プラダを着た悪魔』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・ネタバレ・魅力・トリビアまとめ

『プラダを着た悪魔』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・ネタバレ・魅力・トリビアまとめ Database - Films
(左から)アン・ハサウェイ、メリル・ストリープ、『プラダを着た悪魔』より ©2006 Twentieth Century Fox. All rights reserved.

映画『プラダを着た悪魔』(2006)を紹介&解説。


映画『プラダを着た悪魔』概要

映画『プラダを着た悪魔』は、ファッション業界を舞台に、仕事と自分らしさのはざまで揺れる若者の成長を描いたコメディドラマ。ジャーナリスト志望の女性が一流ファッション誌の編集長のアシスタントとなり、過酷な職場で奮闘しながら価値観を揺さぶられていく。監督はデヴィッド・フランケル、主演はメリル・ストリープアン・ハサウェイ。共演にエミリー・ブラントスタンリー・トゥッチなど。

作品情報

日本版タイトル:『プラダを着た悪魔』
原題:The Devil Wears Prada
製作年:2006年
日本公開日:2006年11月18日
ジャンル:コメディドラマ
製作国:アメリカ
原作:ローレン・ワイズバーガーの同名小説
上映時間:109分
次作:『プラダを着た悪魔2』(2026)

監督:デヴィッド・フランケル
脚本:アライン・ブロッシュ・マッケンナ
製作:ウェンディ・フィネルマン
製作総指揮:カレン・ローゼンフェルト/ジョー・カラッチオロ・Jr.
撮影:フロリアン・バルハウス
編集:マーク・リヴォルシ
作曲:セオドア・シャピロ
出演:メリル・ストリープアン・ハサウェイエミリー・ブラント/スタンリー・トゥッチ/サイモン・ベイカー/エイドリアン・グレニアー/トレイシー・トムズ/リッチ・ソマー/ダニエル・サンジャタ/デヴィッド・マーシャル・グラント
製作:フォックス2000ピクチャーズ/デューン・エンターテインメント/メジャー・スタジオ・パートナーズ
配給:20世紀フォックス映画

あらすじ

現代のニューヨーク。ジャーナリスト志望のアンディは、一流ファッション誌で働く編集長ミランダのアシスタントに採用される。だが華やかな職場の裏側で、彼女は理不尽な要求と多忙な日々に追われていく。仕事に向き合うほど、夢や恋人との関係、自分らしさの選択を迫られていく。

主な登場人物(キャスト)

アンドレア・“アンディ”・サックス(アン・ハサウェイ):ジャーナリスト志望の若者。ファッションに詳しくないまま一流誌「ランウェイ」の編集長アシスタントに採用され、過酷な仕事を通して夢や価値観を揺さぶられていく。

ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ):一流ファッション誌「ランウェイ」の編集長。圧倒的な影響力と完璧主義で周囲を動かす存在で、アンディに厳しい要求を重ねる。

エミリー(エミリー・ブラント):ミランダの第一アシスタント。仕事に誇りを持ち、ファッション業界での成功を強く望む一方、新人のアンディに厳しく接する。

ナイジェル(スタンリー・トゥッチ):「ランウェイ」のアートディレクター。業界の現実を知る人物で、アンディに仕事やファッションの意味を教え、彼女の成長を支える。

クリスチャン・トンプソン(サイモン・ベイカー):作家/ジャーナリスト。アンディに接近し、仕事の世界で新たな人脈と刺激をもたらす存在となる。

ネイト(エイドリアン・グレニアー):アンディの恋人。シェフを目指して働きながら、変化していくアンディとの関係に向き合う。

リリー(トレイシー・トムズ):アンディの友人。アンディが仕事にのめり込むなか、彼女の変化に戸惑いを見せる。

ダグ(リッチ・ソマー):アンディの友人。ネイトやリリーとともに、仕事に追われるアンディの日常を見守る。

ジェームズ・ホルト(ダニエル・サンジャタ):著名デザイナー。ミランダや「ランウェイ」と関わりを持つファッション業界の重要人物。

リチャード・サックス(デヴィッド・マーシャル・グラント):アンディの父。娘の仕事や生活を心配し、現実的な視点から彼女を見守る。

スティーブン(ジェームズ・ノートン):ミランダの夫。家庭面からミランダの人物像を浮かび上がらせる存在。

アーヴ・ラヴィッツ(ティボール・フェルドマン):出版会社側の重役。ミランダの立場や「ランウェイ」の運営に関わる人物。

ジャクリーン・フォレ(ステファニー・ショスタク):フランス版「ランウェイ」に関わる編集者。パリでの展開に影響する存在として登場する。

セリーナ(ジゼル・ブンチェン):エミリーの知人で、「ランウェイ」周辺にいるファッション業界の人物。アンディとの対比を示す存在として登場する。

主な受賞&ノミネート歴

アカデミー賞

主演女優賞、衣装デザイン賞にノミネート。

ゴールデングローブ賞

主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)を受賞、作品賞(ミュージカル/コメディ部門)、助演女優賞にノミネート。

ナショナル・ボード・オブ・レビュー

Top Films(年間トップ10作品)に選出。

内容(ネタバレ)

アンディ、ニューヨークで一流誌の面接へ

ノースウェスタン大学を卒業したアンディことアンドレア・サックスは、作家志望の若者としてニューヨークで暮らしている。恋人ネイトと生活しながら、彼女は一流ファッション誌「ランウェイ」の面接へ向かう。しかし、ファッション業界に詳しくないアンディの服装や雰囲気は、編集部の空気とは大きく異なっていた。

ミランダの登場で編集部は一変する

編集長ミランダ・プリーストリーの出社が近づくと、編集部は一気に緊張に包まれる。スタッフたちは彼女の到着に合わせて動き回り、すべてを完璧に整えようとする。第一アシスタントのエミリーは、場違いに見えるアンディを見て、人事部の冗談だと思うほどだった。

アンディは第二アシスタントとして採用される

ミランダはアンディの外見に冷淡な反応を示すが、履歴書と本人の受け答えには興味を抱く。アンディは自分が賢く、努力家であると訴え、その姿勢を受けてミランダは彼女を第二アシスタントとして採用する。こうしてアンディは、華やかだが過酷な「ランウェイ」で働き始める。

理不尽な要求と過酷な日々

出社後のアンディは、ミランダから次々と命令を受ける。ミランダは説明も十分にしないままコートやバッグをアンディの机に投げ、彼女をしばしば“エミリー”と呼ぶ。アンディは将来的に本格的なジャーナリズムの仕事へ進む足がかりとして、ミランダのもとで1年働くことを目標に耐えようとする。

職場になじめないアンディ

アンディはファッションに無関心な服装や体型を周囲からからかわれ、編集部の価値観になじめずに苦しむ。そんな彼女にとって、ミランダの右腕的存在であるナイジェルだけが、現実的な助言を与えてくれる相手だった。だがアンディは当初、周囲に合わせて自分を変えることに抵抗を感じている。

ナイジェルの助言とアンディの変化

ある日、アンディはハリケーンの影響でミランダの無理な移動手配に失敗し、厳しく叱責される。泣きながらナイジェルに助けを求めるが、彼は慰めるのではなく、ファッションの世界が持つ意味と仕事への向き合い方を説く。アンディは彼の助けを得て、翌日には洗練された装いで職場に現れ、彼女を嘲笑していた社員たちを驚かせる。

仕事は私生活を侵食していく

見た目と仕事への姿勢を変えたアンディは、少しずつミランダから重要な仕事を任されるようになる。月日がたつにつれ、アンディの長時間労働と不規則な予定は、恋人ネイトや友人リリーとの関係に影響を及ぼしていく。彼らは、アンディが以前とは変わってきていると感じ始める。一方でアンディは、仕事で成果を出すほど「ランウェイ」の世界に深く入り込んでいく。

ミランダの信頼を得始める

ミランダは初めて彼女を“アンドレア”と呼び、雑誌のレイアウト見本である“ブック”を自宅へ届けるよう命じる。アンディはエミリーから細かな注意を受け、ミランダの家へ向かう。

ミランダの家庭の一端を目にする

ミランダの家に入ったアンディは、指示通りに動こうとするが、どこにクリーニングを置けばよいか迷ってしまう。そこへミランダの双子の娘たちが現れ、彼女をからかうように上階へ向かわせる。アンディはそこでミランダの夫が不満をぶつける声を聞いてしまい、仕事場では見えなかったミランダの家庭の緊張を垣間見る。そこで初めてミランダはアンディに繊細な表情を見せる。

未刊の『ハリー・ポッター』をめぐる難題

ある日、ミランダは娘たちのために、まだ出版されていない新作『ハリー・ポッター』の原稿をその日のうちに用意するようアンディに命じる。失敗すれば職を失うと悟ったアンディは、以前出会った作家クリスチャン・トンプソンに連絡する。彼の協力によってアンディは原稿を手に入れ、ミランダを驚かせることに成功する。

アンディはパーティで存在感を示す

大きなレセプションの夜、アンディはネイトの誕生日パーティに行こうとしていたが、ミランダからエミリーとともに同行するよう命じられる。顔と名前を覚えてミランダを補佐する役目を任されたアンディは、会場でエミリーが思い出せなかった人物名をミランダに伝え、見事に役割を果たす。

パリ行きをめぐる転機

レセプションでの働きにより、ミランダはアンディへの信頼をさらに強める。やがてパリ・ファッションウィークを前に、ミランダは自分には最良のチームが必要だとして、エミリーではなくアンディを同行させると告げる。アンディは反発するものの、その選択が自分の将来にも関わることを突きつけられ、仕事と人間関係の間で大きく揺れ始める。

エミリーの事故とアンディのパリ行き

ミランダからパリ同行を命じられたアンディは、エミリーにその事実を伝えなければならなくなる。だが、精神的に追い詰められていたエミリーは、通話中にタクシーにはねられて脚に重傷を負う。病院を訪れたアンディはパリ行きを説明しようとするが、エミリーは彼女を拒絶する。

友人や恋人との関係に亀裂が入る

その夜、アンディは友人リリーのギャラリーのオープニングに出席し、作家クリスチャンと再会する。彼にパリでの食事に誘われるが、恋人ネイトの存在を理由に断る。しかし、クリスチャンが彼女の頬にキスする場面をリリーが目撃し、アンディの変化を責める。

ネイトとの衝突

ネイトは、アンディがパリへ行くことやクリスチャンとのやり取りを知り、彼女がミランダのようになりつつあると非難する。ふたりは口論になり、アンディはパリ行きが互いに距離を置く機会になるかもしれないと告げる。仕事に向かう選択は、恋人との関係にも大きな影を落とす。

パリでミランダの弱さを目撃する

パリ・ファッションウィークに到着したアンディは、その華やかさに圧倒される。やがてミランダのスイートを訪れると、彼女は化粧もせず、普段の完璧な姿とは違う表情を見せていた。ミランダは夫との離婚を明かし、その報道が娘たちに与える影響を気にしていると語る。

ナイジェルの夢がついに動き出す

その後、ナイジェルはアンディの部屋を訪れ、長年の努力が報われることを祝う。彼は、デザイナーのジェームズ・ホルトと組む新事業のパートナーになる予定であり、その話をミランダが取りつけてくれたと語る。ナイジェルにとって、それはファッション業界で積み重ねてきた年月の到達点だった。

クリスチャンとの夜

アンディはパリでクリスチャンと食事をする。クリスチャンは、彼女はミランダのもとにいるには優しすぎると話し、ふたりはパリの街を歩くうちに距離を縮める。その夜、アンディはクリスチャンのホテルへ行き、翌朝、部屋である資料を見つけることになる。

ミランダ失脚の計画を知る

アンディが見つけたのは、新たな「Runway」の表紙案だった。クリスチャンは、フランス版「Runway」の編集者ジャクリーン・フォレがアメリカ版の新編集長になる計画が進んでおり、自分も編集面で関わると明かす。ミランダは、出版会社側から追い出されようとしていた。

アンディはミランダに知らせようとする

ミランダの危機を知ったアンディは、急いで彼女に事実を伝えようとする。しかしミランダはなかなか耳を貸さず、アンディの話を聞いても大きな反応を見せない。アンディは、自分が重要な情報を握っていると考えるが、ミランダはすでに別の手を打っていた。

ミランダの反撃

ジェームズ・ホルトの新事業が発表される昼食会で、ミランダはジャクリーンを新事業のパートナーとして紹介する。本来その座に就くはずだったナイジェルは、大きな衝撃を受けながらも表情を崩さない。ミランダは自らの地位を守るため、ジャクリーンを別のポストへ動かしていた。

ナイジェルが犠牲になる

ナイジェルは、夢に近づいたところでその機会を失う。彼はアンディに対し、ミランダはいずれ自分に報いてくれるはずだと静かに語る。ミランダの世界では、個人の夢や信頼関係でさえ、組織の力学と生き残りのために差し出されることがあると示される。

ミランダの告白

昼食会の後、リムジンの中でミランダは、失脚計画を最初から知っていたとアンディに明かす。彼女は有力デザイナーたちを動かし、自分が「Runway」を去るなら広告を引き揚げると出版会社側に圧力をかけさせていた。さらに、ジャクリーンをジェームズの新事業へ回すことで、自分の椅子を守ったのだった。

アンディは自分の選択を見つめ直す

ミランダは、アンディの忠誠心を評価し、自分に似ていると語る。アンディは、ナイジェルのような友人を傷つけることはできないと反論するが、ミランダはアンディがすでにエミリーを傷つけていると指摘する。その言葉に、アンディは自分が踏み込んでしまった場所の意味を理解する。

アンディはミランダのもとを去る

リムジンが止まると、アンディは自分はこの生き方を望んでいないと告げる。ミランダは誰もがこの人生を望んでいると言うが、アンディはその言葉を受け入れない。ミランダが報道陣の前へ向かうなか、アンディはその場を離れ、仕事用の携帯電話を噴水へ投げ捨てる。

アンディは元の自分の服に戻る

しばらくして、アンディは以前の自分らしい服装に戻り、ネイトとスターバックスで再会する。彼女は「Runway」を辞め、別の仕事の面接を受けていると話す。ネイトはボストンで副料理長の仕事に就くことを明かし、ふたりは今後の関係について前向きに向き合おうとする。

ミランダからの意外な推薦

アンディは新しい職場の面接を受ける。面接先の編集者は、アンディについて「Runway」に問い合わせたところ、ミランダから推薦のファクスが届いたと明かす。そこには、アンディは自分にとって最大の失望だったが、採用しなければ愚かだという趣旨の言葉が記されていた。

エミリーへの贈り物

その後、アンディはエミリーに電話し、パリで手に入れた服を譲ると申し出る。エミリーは素直に感謝を示すわけではないが、アンディの後任に対して、彼女の後を継ぐのは大変だと告げる。ふたりの関係は完全に修復されたわけではないものの、アンディの選択が静かに受け止められていく。

ラスト、ミランダの一瞬の笑み

街でアンディは、リムジンに乗り込むミランダの姿を見かけ、手を振る。ミランダは表向きには反応しないが、アンディが歩き去った後、車内で一瞬だけ温かな笑みを浮かべる。そしてすぐにいつもの表情へ戻り、運転手に車を出すよう命じる。アンディはミランダの世界から離れ、自分の道を歩き始める。

作品解説|魅力&テーマ

メリル・ストリープとアン・ハサウェイが生む、緊張と共感の化学反応

『プラダを着た悪魔』の大きな魅力は、メリル・ストリープとアン・ハサウェイが生み出す、静かな緊張感と不思議な引力にある。ミランダは決して声を荒らげるわけではない。低く抑えた声、わずかな視線、短い言葉だけで編集部全体を支配し、その場の空気を一瞬で変えてしまう。一方のアンディは、ファッション業界に戸惑う観客の視点を担いながら、反発、屈辱、憧れ、達成感を少しずつ表情ににじませていく。

ふたりの関係は、単純な上司と部下、加害者と被害者としては描かれない。ミランダの厳しさは理不尽でありながら、仕事に対する美学と覚悟にも結びついている。アンディもまた、彼女を拒みながら、その才能や影響力に引き寄せられていく。メリル・ストリープの圧倒的な存在感と、アン・ハサウェイの繊細な変化が重なることで、本作は“怖い編集長に振り回される物語”を超え、仕事の世界で誰かに認められたいと願う人間の複雑な感情を映し出している。

ファッションを“飾り”ではなく物語にした、おしゃれなエンタメ映画

『プラダを着た悪魔』は、ファッションを華やかな装飾として見せるだけでなく、登場人物の立場や価値観、変化を映し出す重要な要素として機能させている。アンディが最初に見せる無頓着な服装は、ファッション業界との距離感を示し、洗練されたスタイルへ変わっていく過程は、彼女が「Runway」の世界に順応していく姿を視覚的に伝えている。

一方で、ミランダやエミリー、ナイジェルたちの装いは、それぞれがこの世界で築いてきた誇りや緊張感を物語る。服は単なる見た目ではなく、仕事への覚悟や業界内での立場を示す言語でもある。本作がおしゃれなエンタメ映画として愛され続けているのは、衣装や空間の美しさが物語と切り離されず、アンディの成長や葛藤を引き立てる演出として生きているからだ。

仕事、夢、自分らしさの間で揺れる成長物語

『プラダを着た悪魔』は、華やかなファッション業界を描きながら、その根底では仕事と夢、自分らしさの間で揺れる成長物語として成立している。アンディは当初、「Runway」での仕事を本来の目標であるジャーナリストへの足がかりと考えている。しかし、ミランダのもとで働くうちに、成果を出す喜びや認められる手応えを知り、次第にその世界へ深く入り込んでいく。

一方で、仕事に向き合うほど、恋人や友人との関係、そして自分が大切にしてきた価値観との距離も広がっていく。本作が印象的なのは、成功することを単純に否定せず、努力によって変わることの意味も描いている点である。アンディはミランダの厳しさや美学を知ったうえで、自分がどんな働き方を選び、どんな人間でありたいのかを見つめ直す。だからこそ本作は、仕事に迷う人の心にも響く、普遍的な成長の物語になっている。

作品トリビア

原作出版前から映画化が進んでいた

『プラダを着た悪魔』は、ローレン・ワイズバーガーの小説を原作としているが、映画化の動きは小説の出版後に始まったわけではない。Entertainment Weeklyのオーラルヒストリーによると、Fox 2000はタイトルと原稿50ページの段階で本作をオプション契約し、原作小説の刊行前から映画版の開発を進めていた。

アン・ハサウェイは第一候補ではなかった

アンディ役は現在ではアン・ハサウェイの代表的な役柄のひとつだが、当初スタジオ側はレイチェル・マクアダムスを強く望んでいた。デビッド・フランケル監督によると、レイチェルには3度オファーしたものの実現せず、スカーレット・ヨハンソンナタリー・ポートマンケイト・ハドソンキルスティン・ダンストらも候補に挙がっていた。アンは役を熱望し、Fox幹部のオフィスの禅ガーデンに「Hire me」と書いたという。

ミランダの静かな話し方はクリント・イーストウッドから着想を得た

メリル・ストリープが演じるミランダ・プリーストリーは、怒鳴るのではなく、低い声と静かな圧で周囲を支配する。ストリープは、その話し方について、クリント・イーストウッドが撮影現場を仕切る姿から着想を得たと語っている。アン・ハサウェイは、最初の台詞が大声ではなく“ささやき”だったことに驚いたとも明かしている。

メリル・ストリープの白髪ヘアは当初、製作側を驚かせた

ミランダの象徴的な白髪は、ストリープ本人と長年のヘアメイク担当J・ロイ・ヘランドが考えたものだった。衣装デザイナーのパトリシア・フィールドは、プロデューサー側が「白髪は老けて見える」と考えていたと振り返っているが、ストリープがその姿でスタジオ幹部との場に現れると、周囲は彼女の目に圧倒され、髪について何も言えなかったという。

ファッション業界の協力は最初から順調ではなかった

本作はファッション映画として強い印象を残したが、当初は多くのデザイナーやファッション関係者が参加をためらっていた。関係者はアナ・ウィンターや「Vogue」誌を怒らせることを恐れていたとされ、脚本家アライン・ブロッシュ・マッケンナも、業界関係者に話を聞くのが難しかったと語っている。フランケル監督によると、プラダが協力したことで空気が変わり、衣装提供の流れが生まれた。

アンディの変身にはChanelが大きく関わっていた

衣装を担当したパトリシア・フィールドは、アンディの変身を“脚本に沿った変化”として考えていた。アンディは最初、ファッションに無関心な普通の若者として登場するが、ナイジェルに導かれて「ランウェイ」の世界に順応していく。フィールドによると、シャネルがアン・ハサウェイを衣装提供でサポートしたことで、アンディは“シャネルガール”として印象的に変化していった。

スタンリー・トゥッチは撮影直前に参加した

ナイジェル役のスタンリー・トゥッチは、撮影のかなり直前に決まった。EWによると、フランケル監督はナイジェル役に約150人の俳優を検討し、トゥッチは最初の撮影日の直前の週末に参加。彼の代表的な台詞のひとつ「Gird your loins!」も、即興から生まれたものだという。

エミリー役は英国らしさを加えて調整された

エミリー・ブラントは、当時まだブレイク前の俳優だった。脚本家アライン・ブロッシュ・マッケンナは、エミリーが英国アクセントで台詞を読む面白さに気づき、本人とカフェで脚本を見直しながら、英国的な言い回しを加えていったという。これにより、エミリーの辛口で切れ味のあるキャラクターがより際立つ形になった。

「ランウェイ」編集部は「Vogue」を強く意識して作られた

本作の「ランウェイ」編集部は架空の職場だが、リアリティを出すために「Vogue」の空気感が参考にされた。EWのオーラルヒストリーによると、プロダクションデザイナーのジェス・ゴンコールは、アナ・ウィンターのオフィスを参考にしたとされる。フランケル監督は、再現度が高かったため、映画公開後にアナが自身のオフィスを模様替えしたと聞いたとも語っている。

実は映画祭でも注目された作品だった

『プラダを着た悪魔』は、単なる商業的ヒット作にとどまらず、映画祭でも上映された。AFI Catalogによると、本作はロサンゼルス国際映画祭のオープニング作品として上映され、アメリカ・カナダ公開後にはヴェネチア国際映画祭、ドーヴィル映画祭、サン・セバスティアン映画祭でもアウト・オブ・コンペティション作品として上映された。

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