新作映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』 を紹介&解説するレビュー。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の大ヒットから約3年、ユニバーサルとイルミネーション、そして任天堂が満を持して送り出す続編『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』が4月24日(金)についに日本公開となる。今作では舞台をダイナミックに宇宙へと広げ、マリオたちの新たな冒険が幕を開ける。
任天堂IPへの愛が詰まった、ファン歓喜の小ネタ集
ゲームファンにとっては、それだけで胸が躍るような仕掛けが随所に詰め込まれている。ゲーム『スーパーマリオギャラクシー』の要素としてロゼッタ姫やチコ、スターリングなどが登場し、さまざまな惑星を舞台にした冒険が展開されるのはもちろん、クッパJrやヨッシーといった『マリオ』シリーズおなじみのキャラクターたちも顔を揃える。
さらに公式でも発表済みの情報ではあるが、『スターフォックス』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』でおなじみのフォックス、同じくスマブラ出身のロボット、そしてピクミンといったカメオ出演的な小ネタも大量に盛り込まれており、任天堂IPへの愛着が深いほど、スクリーンの前で思わず前のめりになってしまうだろう。
熱量あふれる映像表現と、耳をとらえるおなじみのメロディ
映像と音楽のクオリティも特筆に値する。ダイナミックなスケールで描かれる宇宙の大冒険、息をのむような壮大な星々の映像から、ゲームへのオマージュを感じさせる横スクロールアクションシーンまで、映像表現とカメラワークで観客を楽しませようという作り手の熱量がひしひしと伝わってくる。とりわけピーチの戦闘シーンはそのこだわりが結実した見せ場のひとつだ。
音楽面でも、『マリオカート』や『ヨッシーアイランド』といったゲームシリーズゆかりのメロディが随所に散りばめられており、任天堂作品への造詣が深いほど思わず反応してしまう仕掛けになっている。前述のカメオ出演も含め、ファンサービスという点では申し分のない仕上がりといえる。
ファンサービスの陰に隠れて、物語は・・・
ただ、唯一気になるのが物語の薄さだ。前作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はタイトルが示す通り、マリオとルイージという兄弟=ブラザーズの絆やアイデンティティ、そして活躍を描くという明確な軸があった。
では2作目はどこに焦点を当てるのか。本作が選んだのは、クッパとクッパJrの悪役ならではの歪さと普遍的な親心・子ども心が同居した親子関係、そしてピーチ姫の出自というアイデンティティのふたつだ。
テーマとしては決して悪くない。しかしファンサービスに力を注ぎすぎた結果、それらの掘り下げがあまりなく、表面をなぞるにとどまっている印象は否めない。もう一歩踏み込んだ感情的な深みがあれば、冒険の華やかさとドラマの厚みが両立する作品になり得ただけに、知っているキャラクターや要素を楽しむだけで終わってしまったのは惜しい。
それでも、ファンムービーとしての純粋な楽しさは本物だ。大画面で体感する宇宙スケールの冒険は、ファミリー層にとって十分に満足のいく体験になるだろう。物語の深みを求めるよりも、ストーリーへの期待値をいったん脇に置いて、シンプルな冒険の高揚感に身を委ねる気持ちで臨むのがこの作品との正しい向き合い方かもしれない。
『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』は4月24日(金)公開。
