新作映画『トゥギャザー』 を紹介&解説するレビュー。
2月6日(金)に公開される映画『トゥギャザー』は、オーストラリアの新鋭マイケル・シャンクスによる長編監督デビュー作だ。身体が結びつく恐怖を通じて共依存関係をあぶり出す、異色のボディホラーである。サンダンス映画祭で初上映されたこの作品では、長年の関係に揺らぎを抱える恋人同士が都会を離れて田舎へ移住するが、謎の力との遭遇が愛情と肉体を同時に侵食していく。主演はデイヴ・フランコとアリソン・ブリー。
『トゥギャザー』あらすじ
長年交際を続けるティムとミリーは、関係の行き詰まりを抱えたまま、仕事を機に都会から田舎へと移り住む。新生活が始まって間もなく、森での出来事を境に正体不明の力がふたりを捉え、体に異変が起こり始める。逃げ場のない環境の中で、ふたりは愛と自我の境界を試されながら、決断を迫られていくことになる。

『トゥギャザー』© 2025 Project Foxtrot, LLC
ボディホラーで描く共依存- 有害な関係性
『サブスタンス』『ボーンズ アンド オール』『MEN 同じ顔の男たち』『アグリーシスター』など、ボディホラーを用いて社会問題や人間関係の有毒性といった普遍的なテーマを掘り下げる作品が、近年増加している。本作『トゥギャザー』もその流れを汲む1作といえよう。謎の力に引き寄せられ、身体が接合されてしまうカップルの姿を通じて、有害な共依存関係——合わないと分かっていながら一緒にいようとする男女の関係を描き出す。
ふたりの合体表現は生々しく、かつ独創性に富んでおり、不可思議でグロテスクなこの現象は観る者の視線を釘付けにする。

『トゥギャザー』© 2025 Project Foxtrot, LLC
加えて注目すべきは、本作でカップルを演じるデイヴ・フランコとアリソン・ブリーが実生活でも夫婦だという点だ。ふたりがどのような思いでこの役に臨んだのか——そんな想像を巡らせながら鑑賞するのも、本作ならではの楽しみ方といえるだろう。
すれ違い続ける、歪んだパワーバランス
ティムは夢を追う身で収入が不安定なため、ミリーの高圧的な態度やモラハラ気味の発言に対しても強く出ることができず、言いたいことを飲み込んではストレスを溜め込んでいく。
一方のミリーは、生活を支えているのは自分だという自負と、煮え切らないティムの人生への苛立ちから、愛ゆえの執着が言い過ぎた言動となって表れる。そもそも彼女はティムを常に下に見ているかのような態度をとっており——たとえばティムが薪として積み重ねた木を足で散らかすといった具合に——自身の振る舞いがティムを傷つけていることにすら気づいていない様子だ。
ふたりの心の距離は離れる一方だ。互いの価値観を理解しようとはしない。それでも情なのか執着なのか、ふたりは有毒な関係のまま一緒にいる。こうした恋愛関係、あるいは結婚関係は、現実にも決して少なくないのではないだろうか。

『トゥギャザー』より © 2025 Project Foxtrot, LLC
身体の結合が可視化する、離れられない苦しみ
本作はそうした関係性をボディホラーという形で視覚化する。望んでいるのかいないのかも曖昧なまま、互いと一緒にいようとするふたり。一度くっついてしまえば、別れを切り出すことも決断することも困難になるふたり。その関係性は、物理的に合体し、切り離すことが難しいというホラー表現として結実する。

『トゥギャザー』より © 2025 Project Foxtrot, LLC
観客は、磁力に引かれるように望まずして引き寄せられ、くっついては痛みに耐えるふたりの姿を目の当たりにし、そこに有害な恋愛関係のリアリティを見出すことになるだろう。
結末をどう受け止めるかは、観客ひとりひとりに委ねられている。この有害な関係を受け入れて前に進むのか、曖昧なまま現状維持を選ぶのか、それとも有害だからこそリセットして離れるのか——どれが正解かなど、現実においても誰も教えてはくれない。正解とも不正解ともつかない結末について思いを巡らせ、観客同士で意見や解釈を交わし合うことも、本作が提供する体験のひとつといえるだろう。

『トゥギャザー』© 2025 Project Foxtrot, LLC
『トゥギャザー』は、身体の結合という強烈なビジュアルを通じて、有害な共依存関係の本質を抉り出す意欲作だ。観た後もしばらく心に残る、そんな1作になるはずである。2月6日(金)公開。
