ケイティ・ペリーが2026年メット・ガラで、AIへの皮肉を込めたルックを披露した。
ケイティ・ペリーが、メット・ガラ2026のレッドカーペットに登場した。過去2年は実際には出席していなかったにもかかわらず、AIで生成されたとみられるフェイク画像が拡散されたことでも話題になっていたペリー。今回のルックは、その出来事を踏まえたかのように、AI時代の視覚表現に対する皮肉を込めたものとなった。
今年のテーマ「ファッションはアートである」を意識したペリーは、ステラ マッカートニーによるホワイトのストラップレスドレスを着用。ほつれたトレーンが続くドレスに、長くなめらかなグローブ、さらにフューチャリスティックなフェイスマスクを合わせ、メットガラらしい演出性の高いスタイルでレッドカーペットに姿を見せた。
“6本指”のグローブに込めたAIへの皮肉
今回のルックで特に注目を集めたのが、ペリーのグローブである。自身のInstagramには手元を映した動画が投稿され、左手には5本の指、右手には6本の指が確認できるデザインとなっていた。現実の身体にはありえない“6本指”という造形は、AI生成画像でしばしば指の本数や形状が不自然になる現象を想起させる。
2024年と2025年、ペリーはメット・ガラに出席していなかったにもかかわらず、象徴的な階段に立つ姿を写したような画像がネット上で拡散された。そうした背景を踏まえると、今回の白いグローブは単なる奇抜な装飾ではなく、フェイク画像やAIが作り出す“それらしく見える現実”へのジャブだったとみられる。
本人が言葉で説明しなくとも、6本目の指は十分に雄弁である。まるで「見た目通りとは限らない」とでも語りかけるように、ペリーは自身の身体をキャンバスにしながら、AI時代における視覚の信頼性を問いかけていた。
Is that…
Katy Perry teases the cameras before unmasking on the carpet at the #MetGala
See every arrival: https://t.co/eFX9vJZyQx pic.twitter.com/XCpREIFTPt
— VANITY FAIR (@VanityFair) May 4, 2026
キム・カーダシアンを想起させる引用的スタイル
フェイスマスクを取り入れた今回のスタイルは、キム・カーダシアンのメット・ガラルックを思わせる要素も含んでいた。キムは2021年、顔を含めた全身を完全にブラックアウトしたルックで登場し、大きな話題を呼んだ。ペリーのマスクもまた、顔を隠すことで個人の表情を消し、存在そのものをひとつのイメージとして提示するような効果を生んでいる。
さらにペリーは、カメラマンに向けて謎めいたタロットカードを取り出した。そのなかには「魔術師」のカードがあり、さらに「commit to the bit(とことんやりきれ)」と書かれたカードも掲げている。この言葉は、キムの2021年のメット・ガラルックを想起させるものでもあり、ペリー自身の“やりきる”姿勢とも重なって見える。
また、ペリーのマスクは、展示内部に設置されたミラー張りのマネキンとも呼応している。観覧者の姿を映し出し、まるで自分がそのコーディネートを身に着けているかのように感じさせる仕掛けは、見る側と見られる側の境界を曖昧にするものだ。ペリーのルックもまた、本人でありながら本人ではないような、現実とイメージのあいだを漂う存在感を放っていた。
Katy Perry attends the 2026 #MetGala. pic.twitter.com/ypYB4xVb4V
— billboard (@billboard) May 4, 2026
“やりきる”ことで知られるペリーのメット・ガラ史
今回がヴォーグ主催のメット・ガラへの10度目の出席となるペリーは、これまでも毎年のドレスコードを大胆に体現する人物として知られてきた。2018年の「ヘヴンリー・ボディーズ」をテーマにしたガラでは、ヴェルサーチによる巨大な天使の翼を背負って登場。2017年の「レイ・カワクボ/コム・デ・ギャルソン:アートのはざまで」をテーマにした年には共同ホストを務め、メゾン マルジェラ アルチザナルのレッドのベール付きルックを披露した。
なかでも強い印象を残したのが、2019年の「キャンプ:ファッションのノート」での装いである。当時モスキーノのクリエイティブ・ディレクターだったジェレミー・スコットとともに、シャンデリアに扮して登場。その後、ラインストーンで彩られたハンバーガーのコスチュームに着替え、メット・ガラ史に残るユーモラスなファッションモーメントを生み出した。
一方で、2022年には「まったく違うカードを切るつもりだよ」と語っていた通り、オスカー・デ・ラ・レンタのガウンで比較的落ち着いた装いを見せたこともある。さらにペリーは当時、「私がいつものキッチュでクレイジーでワイルドで、大きくて楽しくてカラフルなカードを切るのは、あまりにも予想通りでしょ」とも語っていた。
その言葉通り、ペリーのメット・ガラにおける魅力は、単に派手な衣装を着ることだけではない。観客が期待する“ケイティ・ペリーらしさ”をあえて裏切ったり、逆に極端な形で引き受けたりしながら、毎回ひとつのパフォーマンスとして成立させてきた点にある。
2026年のペリーは、AI生成画像という現代的な話題を、自らのファッションに取り込んだ。6本指のグローブ、顔を覆うマスク、タロットカード、そして「commit to the bit(とことんやりきれ)」というメッセージ。それらはすべて、ファッションが単なる装いではなく、時代への反応であり、観る側を試す表現でもあることを示している。
