クリストファー・ノーラン監督作『オデュッセイア』で、ルピタ・ニョンゴが2役を演じることが明らかになった。
クリストファー・ノーラン監督による新作映画『オデュッセイア』で、ルピタ・ニョンゴが2つの役を演じることが確認された。これまでオンライン上でさまざまな憶測を呼んでいたキャスティングの詳細が、米TIME誌によるノーラン監督の新たなプロフィール記事で明かされた形だ。
ニョンゴが演じるのは、世界で最も美しい女性ともいわれるトロイのヘレネと、その姉妹であるクリュタイムネストラ。ノーラン監督は同作で、古代ギリシャの叙事詩を大規模な映像作品として再構築しており、神話上の人物たちをどのように現代の映画表現へ落とし込むのかにも注目が集まっている。
ルピタ・ニョンゴがトロイのヘレネとクリュタイムネストラに
ニョンゴが演じるトロイのヘレネは、スパルタ王メネラオスの妻であり、王子に連れ去られたことで戦争の原因とみなされる人物として知られている。メネラオス役を演じるのはジョン・バーンサル。一方、ニョンゴがもうひとつ演じるクリュタイムネストラは、メネラオスの兄弟であるアガメムノンの妻にあたる。アガメムノン役にはベニー・サフディが起用されている。
ひとりの俳優が姉妹にあたる2人の人物を演じることは、単なる配役上の趣向にとどまらず、神話における血縁や運命、戦争に翻弄される女性たちの立場を強く印象づける選択にも見える。ノーラン監督の作品では、時間や記憶、視点の重なりが重要な要素となってきただけに、ニョンゴの2役が物語の中でどのように機能するのかは大きな見どころとなりそうだ。
神々は“姿”ではなく自然と信仰で描く
同記事では、ノーラン監督がオリンポスの神々を演じる俳優を起用しなかった理由も明かされている。監督は当初、神々を具体的な登場人物として描くことも検討していたという。しかし最終的には、神々の存在を自然現象や登場人物たちの信仰を通して表現する方針を選んだ。
ノーラン監督は「その時代の人々にとって、神々の証拠は至るところにあったという考えに、より興味を持つようになったんだ」と語っている。さらに、「映画、特にIMAXのすばらしいところは、観客を没入できる場所へ連れていき、嵐や荒れ狂う海、強風のような出来事を間近に感じさせられることだ。観客には、登場人物たちと一緒に船に乗り、海を恐れ、ポセイドンの怒りを恐れてほしい。それは、神の個別のイメージをどれだけ見せるよりも、私にとってはるかに力強いものなんだ」と説明した。
神々を画面上に直接登場させるのではなく、海や風、嵐といった自然のスケールを通じて感じさせるという判断は、IMAX撮影を重視してきたノーラン監督らしいアプローチだ。神話的な物語でありながら、観客の身体感覚に訴えるリアリティを追求していることがうかがえる。
豪華キャストが集結、撮影現場では“作品優先”の姿勢も
『オデュッセイア』では、マット・デイモンがオデュッセウスを演じる。ペネロペ役のアン・ハサウェイは、推定2億5000万ドル規模とされる製作費を画面に集中させるため、豪華キャスト陣が控えめな宿泊施設に滞在していたことも明かした。
ハサウェイは「トム・ホランド、ロバート・パティンソン、ほかにも非常に優れた俳優たち、そして私がいて、私たちはみんなシチリアの小さな島で手頃な宿泊施設に滞在していたよ。なぜなら、贅沢な無駄は一切ないから。ただ作品のためであり、私たちは皆、そこにいられることをとても幸せに思っている」と語っている。
また、ノーラン監督はラッパーのトラヴィス・スコットを吟遊詩人役に起用した理由についても言及。「この物語が口承詩として伝えられてきたという考えに目配せしたかったから、彼を起用した。それはラップに通じるものだ」と説明している。
キャストには、オデュッセウスの息子テレマコス役のトム・ホランド、ニンフのカリプソ役のシャーリーズ・セロン、ペネロペの求婚者アンティノウス役のロバート・パティンソン、オデュッセウスの使用人エウマイオス役のジョン・レグイザモらが名を連ねる。さらに、アテナ役のゼンデイヤ、エウリュロコス役のヒメーシュ・パテル、メラント役のミア・ゴスらも出演する。
同作は全編IMAXフォーマットで撮影された初の映画とされており、公開前からノーランファンの間で大きな関心を集めている。先日公開された予告編をめぐっては、キャスト陣のアメリカ英語のアクセントについても議論が起きるなど、作品への注目度は高まる一方だ。神話を壮大なスペクタクルとして描きながら、自然や信仰、語り継がれる物語の力をどう映像化するのか。『オデュッセイア』は、ノーラン監督の新たな挑戦として期待を集めている。
