セバスチャン・スタン、トランプ役から2年で米国の現状に「笑い事ではない」と危機感-新作『Fjord(原題)』カンヌ会見で発言

セバスチャン・スタン、トランプ役から2年で米国の現状に「笑い事ではない」と危機感-新作『Fjord(原題)』カンヌ会見で発言 NEWS
セバスチャン・スタン

『Fjord(原題)』会見でセバスチャン・スタンが米国の現状に言及した。


第79回カンヌ国際映画祭で、新作『Fjord(原題)』(フィヨルド)の記者会見に登壇したセバスチャン・スタンが、若き日のドナルド・トランプを演じた映画アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方を振り返り、現在の米国社会に対する強い危機感を示した。

2024年のカンヌ国際映画祭で初披露された同作は、トランプが不動産業界で頭角を現していく時期を描いた伝記映画。再びトランプ政権が始まってから1年以上が経ったいま、会見では同作についての質問が投げかけられた。すると、会場の記者たちからは笑い声が上がったという。

セバスチャン・スタンと『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』

その反応を受け、スタンは「正直に言って、これは笑い事じゃないよ。そういうのじゃない」と返答。さらに、「僕たちは本当に、本当に悪い場所にいると思う。本当にね」と語り、米国の現状に対する見方を明かした。

スタンは続けて、「率直に言って、いま起きていることを見ていると、メディアの統合、検閲、脅し、そして終わりがないように見えて、実際に何ももたらさない訴訟の数々に関して話すなら、兆候はすでに明らかだった。僕たちはあの映画で、そのすべてを経験したんだ」とコメントした。

『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』は、アリ・アッバシが監督を務めた作品。2024年のカンヌ上映前には、トランプ側が公開差し止めを試み、訴訟を示唆したことも報じられていた。スタンは当時を振り返り、「映画祭の3日前まで、この作品が映画祭で上映されるのかどうか分からなかったんだ」と明かしている。

「時の試練に耐える作品になる」スタンが語った映画の意味

スタンは、同作がいま改めて注目される可能性についても言及した。「だから、人々があの映画により注目しているのだとすれば、その点で時の試練に耐える作品になったということだと思う」としながら、「でも僕たちは、ジミー・キンメルやスティーヴン・コルベアたちの件より前に、そのすべてを経験した。そんなの、好ましくないことだけどね」と語った。

ここでスタンが示したのは、ひとつの映画をめぐる騒動にとどまらない問題意識である。政治家を描く映画が上映前から強い圧力にさらされ、メディアや表現の場が萎縮していく状況を、スタンは自身の経験として見つめていた。会見での言葉は、俳優としての立場から政治的な現実を批判するだけでなく、『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』が描いた権力の形成過程が、現在の米国社会にも接続しているという認識をにじませるものだった。

カンヌで注目集める新作『Fjord(原題)』

スタンが今回カンヌを訪れているのは、クリスティアン・ムンジウ監督の新作『Fjord(原題)』のためである。公式選出作品としてコンペティション部門に出品された同作は、ノルウェーの村へ移り住んだ信仰心の厚いルーマニア系家族を中心に、子どもの体にあざが見つかったことをきっかけに、家族と地域社会、制度の間に緊張が広がっていく物語を描く。

共演には『わたしは最悪。』でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞したレナーテ・レインスヴェが名を連ねる。ムンジウ監督は『4ヶ月、3週と2日』でパルムドールを受賞しており、スタンとレインスヴェという国際的に評価を高める俳優陣との組み合わせも、同作への注目を押し上げている。

また、レインスヴェはヨアキム・トリアー監督作センチメンタル・バリューでも高く評価されており、同作は第78回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。第98回アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞した。そうした流れの中で、『Fjord(原題)』はカンヌの主要賞レースにおいても存在感を示す一作となりそうだ。

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