映画『フィフス・エレメント』(1997)を紹介&解説。
映画『フィフス・エレメント』概要
映画『フィフス・エレメント』は、リュック・ベッソン監督(『レオン』『グラン・ブルー』)が手がけたSFアクション。23世紀の地球を舞台に、宇宙から迫る邪悪な存在を阻止するため、元軍人のタクシードライバーと謎の女性が、人類を救う鍵となる“第5の要素”を巡る冒険へ巻き込まれていく。
主演はブルース・ウィリス、共演にミラ・ジョヴォヴィッチ、ゲイリー・オールドマン、イアン・ホルム、クリス・タッカーら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『フィフス・エレメント』 |
|---|---|
| 原題 | The Fifth Element |
| 製作年 | 1997年 |
| 本国公開日 | 1997年5月7日 |
| 日本公開日 | 1997年9月13日 |
| ジャンル | SF/アクション/コメディ |
| 製作国 | フランス/アメリカ/イギリス |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 126分 |
| 監督 | リュック・ベッソン |
|---|---|
| 脚本 | リュック・ベッソン/ロバート・マーク・ケイメン |
| 製作 | パトリス・ルドゥー |
| 撮影 | ティエリー・アルボガスト |
| 編集 | シルヴィ・ランドラ |
| 作曲 | エリック・セラ |
| 出演 | ブルース・ウィリス/ミラ・ジョヴォヴィッチ/ゲイリー・オールドマン/イアン・ホルム/クリス・タッカー/ルーク・ペリー/ブライオン・ジェームズ |
| 製作 | ゴーモン |
| 配給 | コロンビア・ピクチャーズ(米国)/日本ヘラルド映画(日本) |
あらすじ
23世紀の地球に、5,000年に一度現れる邪悪な宇宙生命体が接近していた。その脅威を退けるには、火、水、土、風を象徴する4つの石と、それらを結びつける“第5の要素”が必要だった。
元宇宙連邦軍の特殊部隊員で、現在はタクシードライバーとして暮らすコーベン・ダラス。ある日、彼のタクシーに、研究施設から逃げ出した謎の女性リールーが飛び込んでくる。リールーが人類の存亡を握る存在だと知ったコーベンは、コーネリアス神父たちと協力し、4つの石を手に入れるため宇宙へ向かう。
一方、巨大企業を率いるゾーグも石を狙い、異星人の傭兵マンガロワ人を暗躍させていた。コーベンとリールーは、邪悪な存在が地球へ到達する前に、5つの要素をそろえようと奔走する。
主な登場人物(キャスト)
コーベン・ダラス(ブルース・ウィリス):元宇宙連邦軍特殊部隊員のタクシードライバー。偶然リールーと出会ったことで、地球の存亡を懸けた戦いへ巻き込まれる。軍人として培った高い戦闘能力と判断力を持つ。
リールー(ミラ・ジョヴォヴィッチ):モンドシャワン星人の細胞から再生された謎の女性。驚異的な身体能力と知能を備え、人類を救う“第5の要素”と深い関係を持つ。
ジャン=バティスト・エマニュエル・ゾーグ(ゲイリー・オールドマン):巨大企業ゾーグ・インダストリーズを率いる実業家。地球へ迫る邪悪な存在と接触し、4つの石を手に入れるためマンガロワ人を利用する。
ヴィト・コーネリアス神父(イアン・ホルム):5,000年に一度訪れる危機と、5つの要素にまつわる秘密を受け継いできた神父。地球を救うため、リールーとコーベンに協力する。
ルビー・ロッド(クリス・タッカー):派手な衣装と強烈なテンションで人気を集めるラジオ司会者。宇宙船フロストン・パラダイスでコーベンと行動を共にし、騒動へ巻き込まれていく。
作品の魅力解説・レビュー
王道SFの要素を惜しみなく詰め込んだ世界
謎の物質、光と闇の対立、宇宙、異星人、未来都市、強力な武器──王道SFを彩る道具立てを、本作は惜しむことなく画面に注ぎ込む。空飛ぶ自動車が縦横に行き交うニューヨークから、贅を尽くした宇宙船の内部まで、舞台が切り替わるたびに新たなアイデアが次々と繰り出され、観客に一息つく暇を与えない。
扱われているのは人類滅亡という重い主題だが、物語は決して深刻さ一辺倒には傾かない。コメディ、ロマンス、そして派手なアクションを惜しみなく畳みかけ、独特のテンポで観客を宇宙規模の騒動へと一気に引き込んでいく。
複数の出来事を同時に走らせる編集と音楽
リュック・ベッソンならではの風変わりなテンポ感も、本作を強く特徴づけている。複数の場所で同時進行する出来事を並行して見せる編集によって、ばらばらに動いていた登場人物たちの行動が、やがて一つの展開へと収束していく。
宇宙船で披露される歌唱と戦闘を交互に映し出す場面をはじめ、音楽と映像を緊密に組み合わせた演出も強く印象に残る。否応なく耳へ迫ってくるエリック・セラの音楽が、画面の情報量とエンターテインメント性をいっそう押し上げている。
豪華キャストが演じる派手で濃密なキャラクター
未来世界の住人たちは、衣装も言動も、一目で忘れがたいほどに個性的だ。ジャン=ポール・ゴルチエが手がけた衣装は、この作品のカラフルで奇抜な世界観を細部から形作っている。
なかでも、鮮やかなオレンジ色の髪でリールーを演じたミラ・ジョヴォヴィッチの存在感は圧倒的で、画面をたやすく支配してしまう。
ブルース・ウィリスの安定した佇まい、ゲイリー・オールドマンの怪演、クリス・タッカーのハイテンションな演技も含め、豪華なキャストがそれぞれに派手なキャラクターを心から楽しみながら演じている。
最初は戸惑わされる風変わりなリズムも、慣れるにつれて次第に癖になっていく──そんなSFエンターテインメントである。
簡易ストーリー解説(ネタバレ)
起:地球へ迫る“巨大な悪”
約300年前、古代エジプトの神殿から異星人モンドシャワンが、火・水・土・風を象徴する4つの石と、人類を守る“第5の要素”を回収する。彼らは、5,000年に一度現れる巨大な悪が再来したとき、再び地球へ戻ると約束する。
23世紀、正体不明の邪悪な天体が地球へ接近。4つの石を運んでいたモンドシャワンの宇宙船は、武器商人ゾーグが利用するマンガロワ人に襲撃される。乗員は全滅するが、残された細胞から赤髪の女性リールーが再生される。
承①:コーベンとリールーの出会い
研究施設から逃げ出したリールーは、元軍人のタクシードライバー、コーベンの車へ飛び込む。コーベンは彼女を警察へ引き渡さず、助けを求めるリールーをコーネリアス神父のもとへ連れていく。
やがて、リールーこそ人類を救う“第5の要素”だと判明する。残る4つの石が宇宙船フロストン・パラダイスにいる歌姫ディーヴァへ託されていると分かり、コーベンはリールーとともに石を回収する任務へ向かう。
承②:石を巡る襲撃とディーヴァの死
ディーヴァの公演中、石を狙うマンガロワ人が宇宙船を襲撃。コーベンは人質を救出するが、ディーヴァは撃たれてしまう。彼女は死の間際、4つの石を自分の体内に隠しているとコーベンへ伝える。
石を回収したコーベンたちは宇宙船から脱出。一方、遅れて乗り込んだゾーグは爆発に巻き込まれて死亡する。リールーも重傷を負い、人類が繰り返してきた戦争と殺戮を知ったことで、「人類に救う価値があるのか」と絶望する。
転:人類を救うことを拒むリールー
コーベンたちは地球へ戻り、巨大な悪を迎え撃つエジプトの神殿へ急ぐ。火・水・土・風を象徴する4つの石は作動するが、最後の鍵となるリールーは、人類が互いを傷つけ続けていることを理由に力を使おうとしない。
地球滅亡の瞬間が迫る中、コーベンはリールーへの愛を告白する。人間には戦争や憎しみだけでなく、守る価値のある愛も存在すると伝え、彼女にキスをする。
結:愛によって覚醒する第5の要素
コーベンの愛を知ったリールーは“第5の要素”として覚醒。4つの石から集められた力を巨大な光へ変え、地球へ迫っていた悪を停止させる。
戦いを生き延びたコーベンとリールーは結ばれ、二人が回復装置の中で愛を確かめ合う場面で物語は幕を閉じる。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
