映画『96時間 リベンジ』(2012)を紹介&解説。
映画『96時間 リベンジ』概要
映画『96時間 リベンジ』は、リーアム・ニーソンが“無敵の父親”ブライアン・ミルズを演じたアクション映画『96時間』の続編。前作で娘を救出するため犯罪組織を壊滅させたブライアンが、今度は復讐を企てる組織から狙われる。舞台をパリからイスタンブールへ移し、元妻とともに拘束されたブライアンが、難を逃れた娘キムと連携しながら反撃する。監督はオリヴィエ・メガトン(『トランスポーター3 アンリミテッド』)リュック・ベッソンが製作・脚本を務め、マギー・グレイス、ファムケ・ヤンセン、ラデ・シェルベッジアらが共演する。
作品情報
| 日本版タイトル | 『96時間 リベンジ』 |
|---|---|
| 原題 | Taken 2 |
| 製作年 | 2012年 |
| 本国公開日 | 2012年10月3日 |
| 日本公開日 | 2013年1月11日 |
| ジャンル | アクション/サスペンス/スリラー |
| 製作国 | フランス/アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 92分 |
| 前作 | 『96時間』(2008) |
| 次作 | 『96時間 レクイエム』(2014) |
| 監督 | オリヴィエ・メガトン |
|---|---|
| 脚本 | リュック・ベッソン/ロバート・マーク・ケイメン |
| 製作 | リュック・ベッソン |
| 撮影 | ロマン・ラクールバ |
| 編集 | カミーユ・ドゥラマーレ/ヴァンサン・タベロン |
| 作曲 | ナサニエル・メカリー |
| 出演 | リーアム・ニーソン/マギー・グレイス/ファムケ・ヤンセン/ラデ・シェルベッジア/リーランド・オーサー/ジョン・グライス |
| 製作 | ヨーロッパ・コープ/M6フィルムズ/グリーヴ・プロダクションズ |
| 配給 | ヨーロッパ・コープ・ディストリビューション(フランス)/20世紀フォックス(日本) |
あらすじ
前作の事件から約1年。元CIA秘密工作員のブライアン・ミルズは警護の仕事でトルコのイスタンブールを訪れ、元妻レノーアと娘キムを休暇に招く。離婚によって離れてしまった家族の絆を取り戻そうとするブライアンだったが、前作で彼に息子を殺されたアルバニア系犯罪組織のボス、ムラドが復讐に動き出す。ブライアンとレノーアは組織に捕らえられ、ひとり難を逃れたキムにも追っ手が迫る。拘束されたブライアンは限られた手掛かりを頼りに居場所を突き止め、電話越しにキムへ指示を与えながら脱出と反撃を試みる。
主な登場人物(キャスト)
ブライアン・ミルズ(リーアム・ニーソン):並外れた戦闘能力と判断力を持つ元CIA秘密工作員。娘キムを溺愛する父親であり、前作で壊滅させた犯罪組織から復讐の標的にされる。捕らわれた状況でも冷静さを失わず、元妻と娘を守るため反撃に転じる。
キム・ミルズ(マギー・グレイス):ブライアンとレノーアの娘。前作では犯罪組織に誘拐されたが、本作では難を逃れた唯一の家族として、拘束された父の指示を受けながら救出作戦に加わる。
レノーア(ファムケ・ヤンセン):ブライアンの元妻で、キムの母親。夫との関係に悩む中、ブライアンに招かれてキムとイスタンブールを訪れる。しかし犯罪組織に襲撃され、ブライアンとともに捕らえられてしまう。
ムラド・クラスニキ(ラデ・シェルベッジア):アルバニア系犯罪組織を率いる男。前作でブライアンに殺されたマルコの父親で、息子の死への報復を果たすため、仲間の遺族たちを集めてブライアン一家を追い詰める。
作品の魅力解説
前作の救出劇を反転させた続編
前作では誘拐された娘をブライアンが救い出したが、本作ではブライアン自身と元妻が捕らわれ、娘のキムが父の脱出に協力する。前作の構図を反転させることで、ブライアンの圧倒的な強さを維持しながら、キムの成長と父娘の信頼関係を描いている。
イスタンブールの街を利用した脱出作戦
目隠しをされた状態でも曲がった方向や走行時間、周囲の音を記憶するブライアン。キムに手榴弾を投げさせ、爆発音が届くまでの時間から自分の居場所を割り出すなど、元CIA工作員ならではの知識と観察力を駆使した脱出劇が見どころとなる。
復讐が新たな復讐を生む物語
前作で娘を救うため多くの敵を倒したブライアンに対し、本作では遺された父親たちが報復に乗り出す。ブライアンとムラドはともに息子や娘を思う父親でありながら、家族への愛を正反対の行動へと向かわせる。爽快なアクションの裏側に、終わりのない復讐の連鎖を組み込んだ続編である。
ストーリー解説(ネタバレ)
アルバニアで執り行われるマルコたちの葬儀
物語は、アルバニア北部の町トロポヤで行われる葬儀から始まる。埋葬されるのは、前作『96時間』でブライアン・ミルズに殺されたアルバニア系犯罪組織の男たちだった。
その中には、ブライアンの娘キムをパリで誘拐したマルコも含まれている。葬儀に参列したマルコの父ムラドは、息子たちを殺した者を必ず見つけ出し、報いを受けさせると誓う。
しかしムラドは、マルコたちが少女を誘拐し、売買していた事実には目を向けない。彼にとって重要なのは息子が犯罪者だったことではなく、自分の家族が殺されたという一点だけだった。
ジャン=クロードからブライアンの存在を割り出す
ムラドと部下たちはパリへ向かい、フランスの警察関係者ジャン=クロードを捕らえる。ジャン=クロードは前作でブライアンと接触しており、マルコが殺された現場には彼の名刺が残されていた。
ムラドたちはジャン=クロードを拘束して暴行を加え、マルコを殺した人物について尋問する。しかし、彼から決定的な情報を得ることはできない。
そこでムラドは、金で動く警察関係者を利用してジャン=クロードの記録を入手する。その交友関係を調べた結果、元CIA工作員のブライアンがマルコたちを殺した人物だと突き止める。
さらにブライアンの動向を追跡し、彼が仕事のためトルコのイスタンブールへ向かうことを知る。ムラドたちは復讐を実行するため、イスタンブールへ移動する。
運転免許試験に苦戦するキム
ロサンゼルスで暮らすキムは、運転免許を取ろうとしているものの、試験に何度も失敗していた。ブライアンは娘に運転を教えるため、約束の時間にレノーアの家を訪れる。
ところがキムは家におらず、連絡もない。過保護なブライアンは独自に娘の居場所を調べ、キムが恋人ジェイミーの家にいることを突き止める。
突然現れた父親にキムは困惑する。ブライアンにとって、前作の誘拐事件を経験した娘の安全は何より重要であり、恋人の存在にも警戒せずにはいられなかった。
キムは父親の過干渉に反発しながらも、最終的には彼と一緒に運転の練習へ向かう。
レノーアとキムをイスタンブールへ招待
ブライアンはレノーアから、現在の夫スチュアートとの関係がうまくいっていないことを聞く。予定していた海外旅行も中止され、レノーアは精神的に落ち込んでいた。
ブライアンは、これから仕事で向かうイスタンブールへレノーアとキムを招待する。護衛の仕事が終われば時間ができるため、気分転換を兼ねて一緒に過ごそうと提案したのである。
レノーアはその場では明確な返事をしない。ブライアンは二人が来ないものと思ったまま、単身イスタンブールへ出発する。
イスタンブールで家族が再会
イスタンブールに到着したブライアンは、旧友のサム、ケイシー、バーニーとともに、裕福な人物を警護する仕事に就く。3日間の任務を問題なく終え、一行は帰国の準備を進める。
ホテルへ戻ったブライアンを待っていたのは、招待に応じてやって来たレノーアとキムだった。予期しなかった二人の登場に、ブライアンは驚きながらも喜ぶ。
キムは、離婚した両親が再び親しくなってほしいと考えていた。家族三人はイスタンブールの景色や食事を楽しみ、前作の事件以来失われていた穏やかな時間を取り戻していく。
一方、ムラドの部下たちはすでにブライアンを発見していた。ホテル周辺で監視を続け、レノーアとキムも同行していることを確認する。
キムが両親を二人きりにする
翌日、ブライアンはレノーアとキムを昼食に誘う。しかしキムはホテルに残ると言い、両親だけで出かけるよう促す。
キムの目的は、ブライアンとレノーアに二人きりの時間を作ることだった。レノーアは現在の夫との関係に悩んでおり、ブライアンとの間には今も互いを気遣う感情が残っている。
ブライアンとレノーアはホテルを出発し、車で街へ向かう。だが、移動を始めて間もなく、ブライアンは自分たちを追跡する車の存在に気づく。
追跡に気づいたブライアン
ブライアンは周囲の車両や通行人の動きを観察し、複数の男たちが自分たちを包囲しようとしていると判断する。
彼はレノーアに状況を説明し、指示に従って走るよう命じる。二人は車を降り、人通りの多い市場や路地へ逃げ込む。
ブライアンは追手を引きつけながら、レノーアを逃がそうとする。しかし、戦闘経験のないレノーアは複雑な路地を進み切れず、別方向から回り込んできた男たちに捕まってしまう。
ブライアンには単独で逃げ切れる可能性があったものの、レノーアの命を人質に取られる。追手は、抵抗すれば彼女を殺すと警告する。
ブライアンはレノーアを守るため、武器を捨てて投降する。
ホテルにいるキムにも追手が迫る
捕まる直前、ブライアンは携帯電話でキムに連絡する。詳しい説明をする時間はなく、自分とレノーアがこれから連れ去られること、敵がキムも狙っていることを告げる。
ブライアンはキムに、ホテルの部屋にあるクローゼットへ隠れるよう指示する。間もなく武装した男たちがホテルへ侵入し、キムの部屋に近づいてくる。
キムはクローゼットに身を隠し、男たちが室内を捜索する様子をうかがう。ホテルの警備員が駆けつけたことで銃撃が起こり、男たちはその場から逃走する。
キムは父親の指示に従い、窓の外へ出る。建物の縁や屋根を伝って移動し、追手の目から逃れることに成功する。
目隠しされたまま移送経路を記憶
ブライアンとレノーアは頭に袋をかぶせられ、車に乗せられる。視界を奪われたブライアンは、移送される間も冷静さを失わない。
車が左右に曲がった回数、それぞれの区間を走った時間、道路の傾斜、聞こえてくる鐘や船の汽笛、周囲の音などを記憶していく。
さらに、車を降ろされてから建物内へ運ばれるまでの歩数や方向も把握する。ブライアンは自分たちがどこへ連れていかれるのか、目隠しされた状態で可能な限り位置を割り出そうとしていた。
地下室に拘束されたブライアン
意識を取り戻したブライアンは、薄暗い地下室で両手を頭上の配管に固定されていた。手首は結束具で縛られ、簡単には動けない状態だった。
それでもブライアンは、靴下に隠していた小型携帯電話を取り出す。まず仲間のサムへ連絡しようとするが、すぐにはつながらない。
そこでホテルから脱出したキムに電話をかける。ブライアンは娘の無事を確認すると、アメリカ大使館へ向かい、保護を求めるよう指示する。
しかしキムは、両親を置いて逃げることを拒む。自分にも救出を手伝わせてほしいと訴え、ブライアンも最終的には娘の協力を受け入れる。
ブライアンの装備を持ち出すキム
ブライアンはキムにホテルの部屋へ戻り、自分の荷物を開けるよう指示する。その中には拳銃、複数の手榴弾、地図などの装備が入っていた。
キムは必要な道具をバッグに詰め、窓から再び建物の外へ出る。ホテルの壁面から隣接する屋根へ移り、追手に発見されないよう街の上を進んでいく。
ブライアンは電話越しにキムを誘導する。その際、移送中に記憶した時間や音だけでは自分の位置を完全には特定できないため、手榴弾の爆発音を利用する方法を考える。
手榴弾の爆発音で距離を測る
ブライアンはキムに、周囲へ人がいないことを確認してから手榴弾を投げるよう指示する。キムは屋上から手榴弾を投げ、爆発させる。
地下室にいるブライアンは、電話から聞こえる爆発音と、実際に地下へ届いた爆発音の時間差を比較する。それによって、キムと自分の間のおおよその距離を割り出す。
さらにホテルや港を基準とした円を地図上に描かせ、移送中に把握した情報と重ねることで、監禁場所の範囲を絞り込んでいく。
突然の爆発は街に混乱を引き起こし、ムラドの部下たちもキムが近くまで来ていることに気づき始める。
ムラドが語る復讐の論理
拘束されたブライアンの前にムラドが現れ、自分がマルコの父親であることを明かす。マルコは前作でキムを誘拐し、ブライアンによって殺された犯罪組織の一員だった。
ブライアンは、マルコたちが何人もの少女を誘拐し、その人生を破壊した事実を指摘する。しかしムラドは、息子が何をしたかは自分には関係ないと言い切る。彼にとって重要なのは、マルコが自分の息子であり、二度と顔を見ることも声を聞くこともできないという事実だけだった。
ムラドは、ブライアンが娘を誘拐した責任をマルコに取らせたように、自分も息子を殺した責任をブライアンに取らせるのだと主張する。ブライアンは、それは正義ではなく単なる復讐だと反論するが、ムラドの決意は変わらない。
レノーアに仕掛けられた残酷な処刑
ムラドはブライアンをすぐには殺さず、まず目の前でレノーアを苦しめようとする。部下たちはレノーアの首に小さな傷をつけ、頭に袋をかぶせたうえで、鎖を使って逆さにつるす。傷から血を流させ、時間をかけて死なせようという処刑方法だった。
ムラドはブライアンに対し、レノーアが耐えられるのは長くても30分ほどだろうと告げる。さらに、逃げたキムも必ず捕らえ、今度こそ犯罪者たちの商品として扱うと脅す。ブライアンに妻と娘を失う苦痛を味わわせることが、ムラドの狙いだった。
ブライアンは動揺を表に出さず、レノーアにキムは無事だと伝える。すでに娘と連絡を取り、逃げるための指示を与えてあると説明し、できるだけゆっくり呼吸するよう呼びかける。そして、必ず助けると約束する。
キムを捜すためにムラドたちが移動
そのころ、ムラドの部下たちはホテル周辺でキムを捜していた。しかし、屋根の上を移動するキムを捕まえることができず、見失ってしまう。
報告を受けたムラドは苛立ち、部下を連れて捜索に加わるため、その場を離れる。地下室には見張りが残されるものの、ムラドがいなくなったことで、ブライアンには脱出する機会が生まれる。
ブライアンは拘束された状態のまま周囲を確認し、手首を縛る結束具を少しずつ緩めていく。拘束を解いた彼は見張りの隙を突き、まず逆さにつるされているレノーアを下ろす。出血して衰弱する彼女を床に横たえ、意識を保つよう声をかける。
残りの手榴弾で現在地を特定
ブライアンは携帯電話でキムに連絡し、残っている手榴弾を爆発させるよう指示する。爆発音が届くまでの時間と音の方向から、彼はキムとの距離をさらに絞り込んでいく。
続いてブライアンは、地下から外へ伸びる通気口を利用して白い蒸気を出し、それを目印にする。キムは屋根の上から立ち上る蒸気を発見し、ブライアンが閉じ込められている建物へ近づく。
キムは通気口を見つけると、ホテルから持ち出した拳銃を内部へ落とす。拳銃は地下にいるブライアンのもとへ届き、反撃に必要な武器がようやく確保される。
拳銃を手にしたブライアンが地下室を脱出
拳銃を拾ったブライアンは、それまでとは一転して攻勢に出る。地下室の見張りを倒し、建物内を進みながら敵を排除していく。
銃声を聞いたキムも建物へ入り、父親を捜す。ブライアンは追手からキムを守りながら進み、ようやく娘との合流を果たす。しかし、レノーアのそばを離れている間にムラドの部下たちが戻り、彼女は再び連れ去られてしまう。
ブライアンはキムを安全な場所で待たせ、レノーアを救出するために引き返す。ところが彼が戻ったときには、敵はレノーアを車に乗せて移動を始めていた。追いつくことはできず、ブライアンは娘のもとへ戻る。
タクシーを奪いレノーアを追跡
ブライアンとキムはタクシーを確保し、レノーアを乗せた車を追う。しかし敵側から別の車が現れ、ブライアンたちの進路を妨害する。
ブライアンはキムに、銃を撃てるかと尋ねる。キムが撃てないと答えると、彼は運転を任せ、自分が助手席から追手を迎撃することにする。まだ運転免許試験に合格していないキムは不安を訴えるが、ブライアンは細かく指示を出しながら車を走らせる。
キムは狭い道路や混雑した街中を高速で抜け、ブライアンは窓から身を乗り出して追跡車へ発砲する。騒ぎを察知したトルコ警察も追跡に加わり、逃走劇は敵の車、警察車両、ブライアンたちのタクシーが入り乱れる状態となる。
追跡車を列車と衝突させる
ブライアンは道路と鉄道の位置を利用し、追跡してくる敵の車を線路方向へ誘導する。キムの運転するタクシーは間一髪で線路を通過するが、後ろから迫っていた敵の車は避けきれず、走ってきた列車と衝突する。
これによって強力な追手の一台を排除することには成功する。しかしレノーアを乗せた車はすでに先へ進んでおり、ブライアンたちは彼女を見失ってしまう。
さらに警察からも追われているため、市街地の中で停止することはできない。ブライアンは、キムの身の安全を確実に守れる場所として、イスタンブールのアメリカ大使館を目指す。
タクシーでアメリカ大使館へ強行突入
大使館の入口では武装した警備員が停止を命じるが、キムはそのままタクシーを走らせる。急接近する車を爆発物を積んだ車両と判断した警備側は銃を構えるが、タクシーはゲートを突破して大使館の敷地内へ突入し、ようやく停止する。
ブライアンは車内から元同僚のサムに連絡し、自分たちが撃たれないよう、すぐに大使館側へ事情を伝えてほしいと頼む。身元が確認され、ブライアンとキムは警備員に包囲されながらも保護される。
ここでキムは、レノーアが一緒に逃げられなかったことを知る。ブライアンは、ムラドが依然としてレノーアを拘束しており、自分を誘い出すために彼女を利用するはずだと説明する。
キムには大使館に残るよう命じ、必ず母親を連れ戻すと約束する。さらに、今回の一味が二度と家族を狙えないようにすると告げ、ブライアンは単独で救出へ向かう。
ムラドがレノーアに植え付けようとする絶望
一方、ムラドは拘束したレノーアに、ブライアンは娘を選び、妻である彼女を見捨てたのだと語る。自分だけが取り残されたと思わせ、精神的に打ちのめそうとしたのである。
しかしレノーアは、キムが無事ならそれでいいと答える。娘を守ろうとする母親としての姿勢は崩れず、ムラドの言葉にも屈しない。
ムラドは彼女の勇気を認めながらも、最後には遺体を切り分けて家へ送り返すという趣旨の脅迫を口にする。そして、ブライアンに発見される前に別の場所へ移動する準備を進める。
目隠しされた移送経路を逆算
ブライアンは、大使館を出ると敵の拠点へ戻る。手掛かりとなったのは、自分が目隠しをされて連行された際に記憶していた情報だった。
彼は車が曲がった方向、走行時間、周囲から聞こえた音、坂や道路の状態などを頭の中で組み合わせ、移送された経路を逆にたどっていく。視界を奪われていた間も周囲の状況を記憶していたことが、レノーアの居場所を突き止める決め手となる。
目的の地区へ到着したブライアンは、建物の構造と見張りの配置を確認しながら内部へ侵入する。相手に警報を出させないよう一人ずつ倒し、レノーアが移された方向を追跡する。
ハマムでの激しい肉弾戦
生き残った一味は、レノーアを連れてトルコ式浴場のハマムへ移動する。ブライアンもその後を追い、薄暗い浴場内で敵と対峙する。
狭い通路と石造りの室内では、銃撃だけでなく接近戦が展開される。ブライアンは敵の打撃を受けながらも反撃し、壁や設備も利用して相手を追い詰める。
最後に立ちはだかる屈強な男とは特に激しい格闘になる。相手も訓練を受けており、ブライアンの攻撃を何度も防ぐが、長い攻防の末にブライアンが勝利する。一味の実働部隊を倒した彼は、レノーアの居場所を確認したうえで、復讐の中心人物であるムラドのもとへ向かう。
ブライアンがムラドへ与えた最後の選択
ブライアンはムラドに銃を向けるが、すぐには殺さない。まず、マルコ以外にも息子がいるのかと尋ねる。ムラドは、ほかに二人の息子がいると答える。
ブライアンがここでムラドを殺せば、残された息子たちが父親の復讐に来る可能性がある。そして、その息子たちまで殺せば、さらに次の家族が復讐を求める。殺人と報復を繰り返す限り、争いは決して終わらない。
そこでブライアンは、ムラドに復讐をやめる機会を与える。故郷へ帰り、残された息子や孫たちと暮らしながら、マルコを失った悲しみを背負って生きろと提案する。それは同時に、マルコたちに娘を奪われた家族が抱えている苦しみを理解しろという要求でもあった。
ブライアンは、自分もこの争いに疲れたと告げる。そして、今後二度と自分たちを狙わないと約束するなら、銃を捨てて立ち去ると申し出る。
約束を破ったムラドの最期
ムラドは復讐をやめると答え、自分の言葉を信じるよう求める。ブライアンはその返答を受け入れたように見せ、持っていた拳銃を床へ置いて背を向ける。
しかしムラドは、ブライアンが背を向けた瞬間に拳銃を拾い、引き金を引く。ところが銃弾は発射されない。ブライアンはムラドが約束を破る可能性を予想し、あらかじめ弾を抜いていたのである。
ブライアンは振り返り、ムラドには復讐を終わらせる意思がなく、このまま生かせば家族が再び狙われると判断する。ムラドを壁際へ追い込み、壁に取り付けられていた鋭いフックへ押しつけて殺害する。
復讐の連鎖を断ち切る最後の機会を拒んだことによって、ムラドは自ら死を招く結果となった。
レノーアを救出して家族が生還
ムラドを倒したブライアンは、レノーアのもとへ戻る。衰弱している彼女に寄り添い、キムは無事であり、もう危険はないと伝える。
レノーアは首を傷つけられて出血していたものの、生きて救出される。ブライアンは彼女を抱き締め、家族三人はムラド一味による復讐から生還する。
こうして、パリでの誘拐事件から続いていたブライアンとマルコの一族の戦いは、ムラドの死によって終結する。
3週間後、キムが運転免許試験に再挑戦
物語は事件から3週間後のロサンゼルスへ移る。キムは以前失敗していた運転免許試験に再挑戦していた。
イスタンブールでは無免許のまま銃撃と追跡をかわし、大使館までタクシーを走らせたキムだが、今度は教官の指示に従い、落ち着いて車を操作する。難所となる駐車も成功させ、試験では満点の評価を得て正式に合格する。
試験場の外ではブライアンとレノーアが待っている。キムの合格を知った二人は喜び、家族で祝うことにする。キムが自分で運転すると申し出る場面からも、事件を経て彼女が成長し、ブライアンが娘を少しずつ信頼するようになったことが示される。
ジェイミーを迎えた穏やかな結末
三人はダイナーに入り、キムの免許取得を祝う。そこへキムの恋人ジェイミーが現れる。キムが事前に彼を呼んでいたのである。
ジェイミーの登場にブライアンは一瞬驚くが、今回は過剰に警戒したり追い返したりせず、同席することを認める。キムは父親に、ジェイミーのことは本当に好きなので撃たないでほしいという趣旨の冗談を言う。
テーブルにはブライアン、レノーア、キムのチョコレート系のミルクシェイクに加え、ジェイミーのためのストロベリー・シェイクが運ばれてくる。
壮絶な救出劇を終えた家族が、再び日常の時間を共有する場面で物語は幕を閉じる。前作以来、娘を守るためなら手段を選ばなかったブライアンが、最後にはキムの成長と恋愛を受け入れようとする姿勢を見せる。アクションの決着だけでなく、父親が娘を信頼するまでの変化も示した結末となっている。
