『96時間』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

映画『96時間』(2008)を紹介&解説。


映画『96時間』概要

映画『96時間』は、リュック・ベッソンが製作・脚本を手掛け、ピエール・モレルが監督したフランス製のサスペンス・アクション。パリで誘拐された娘を救うため、元秘密工作員の父親が培ってきた特殊技能を駆使して犯罪組織を追い詰めていく。無駄を削ぎ落としたスピーディーな展開と、主演リーアム・ニーソンの冷静かつ容赦のない演技が高く評価され、後に続編やテレビシリーズが制作される人気シリーズの原点となった。

作品情報

日本版タイトル 『96時間』
原題 Taken
製作年 2008年
本国公開日 2008年2月27日
日本公開日 2009年8月22日
ジャンル アクション/サスペンス/スリラー
製作国 フランス
原作 無
上映時間 93分
次作 『96時間 リベンジ』(2012)
監督 ピエール・モレル
脚本 リュック・ベッソン/ロバート・マーク・ケイメン
製作 リュック・ベッソン
製作総指揮 ディディエ・オアロ
撮影 ミシェル・アブラモヴィッチ
編集 フレデリック・トラヴァル
作曲 ナサニエル・メカリー
出演 リーアム・ニーソン/マギー・グレイス/ファムケ・ヤンセン/リーランド・オーサー/ジョン・グライス/ケイティ・キャシディ/オリヴィエ・ラブルダン
製作 ヨーロッパ・コープ/M6フィルムズ/グリーヴ・プロダクションズ
配給 ヨーロッパ・コープ・ディストリビューション/20世紀フォックス映画(日本)

あらすじ

米政府の元秘密工作員ブライアン・ミルズは、危険な任務から退いた後、離れて暮らす17歳の娘キムとの関係を取り戻そうとしていた。キムは友人アマンダとのパリ旅行を計画。安全を心配するブライアンも、最終的には渡航を認める。

しかしパリに到着した直後、キムとアマンダは犯罪組織に連れ去られてしまう。偶然にも電話越しに誘拐の瞬間を聞いたブライアンは、わずかな音声と手掛かりから犯人を割り出し、娘を追跡できる時間は96時間ほどしかないと知る。ブライアンは長年の経験と特殊技能を武器に単身パリへ向かい、娘を奪還するため犯罪組織との壮絶な戦いに身を投じる。

主な登場人物(キャスト)

ブライアン・ミルズ(リーアム・ニーソン):米政府の元秘密工作員。格闘、銃器、追跡、情報収集などに精通している。仕事を優先した過去から家族と疎遠になったが、娘キムを誰よりも大切にしており、誘拐された彼女を救うため単身パリへ向かう。

キム・ミルズ(マギー・グレイス):ブライアンとレノーアの17歳の娘。歌手になることを夢見ている。友人アマンダと訪れたパリで犯罪組織に誘拐され、ブライアンの決死の追跡が始まるきっかけとなる。

レノーア(ファムケ・ヤンセン):ブライアンの元妻で、キムの母親。仕事のため家庭を顧みなかったブライアンに不満を抱いており、現在は裕福な実業家スチュアートと再婚している。

サム(リーランド・オーサー):ブライアンの元同僚であり、秘密工作員時代の仲間。キムが残した手掛かりを分析し、彼女を誘拐した組織の正体と、救出までに残された時間をブライアンに伝える。

ジャン=クロード(オリヴィエ・ラブルダン):フランス当局に勤めるブライアンの旧知の人物。パリに到着したブライアンと接触するが、強引な捜査によって両者の関係は次第に緊張していく。

アマンダ(ケイティ・キャシディ):キムと一緒にパリを訪れる友人。空港で知り合った青年に滞在先を教えたことから、キムとともに誘拐事件に巻き込まれる。

作品の魅力解説

93分を一気に駆け抜ける圧倒的なスピード感

物語は、ブライアンと娘のぎこちない関係を簡潔に描いた後、誘拐事件の発生と同時に急加速する。電話に残された音、空港での目撃情報、犯人が落としたわずかな手掛かりが次々と追跡へつながり、ほとんど立ち止まることなく救出劇が進んでいく。93分というコンパクトな上映時間も、本作の緊張感を高めている。

リーアム・ニーソンが生み出した異色のアクションヒーロー

ブライアンは派手な言葉や超人的な能力を誇示する人物ではない。状況を冷静に分析し、必要な行動を迷わず実行する熟練のプロフェッショナルだ。リーアム・ニーソンは、長年の経験を感じさせる落ち着きと父親の激しい感情を両立させ、それまでの重厚な演技派という印象に新たなアクションスターとしての魅力を加えた。

特殊技能を駆使した実戦的な追跡と戦闘

ブライアンは電話越しに聞こえた音や犯人の話し方を記憶し、監視映像、通訳、偽造身分証などを利用して犯罪組織へ近づいていく。格闘シーンも短時間で相手を制圧する実戦的な動きを中心に構成されており、元秘密工作員という設定に説得力を与えている。

父親の愛を原動力にしたシンプルで力強い物語

本作の根底にあるのは、娘との失われた時間を取り戻したいと願う父親の思いだ。ブライアンの行動は時に冷酷で、目的のためには手段を選ばない。それでも観客を物語へ引き込むのは、すべての行動が「娘を救う」という明確な目的に結びついているからだ。家族愛という普遍的な感情が、過激なアクションに強い推進力を与えている。

華やかな観光都市の裏側を描くパリの舞台設定

憧れの旅行先として登場したパリは、事件後には人身売買組織が暗躍する危険な迷宮へと姿を変える。空港、工事現場、裏通り、豪邸など異なる場所を駆け巡る追跡劇によって、華やかな都市の表と裏が鮮明に対比されている。

ストーリー解説(ネタバレ)

娘との時間を取り戻そうとするブライアン

米政府の元秘密工作員ブライアン・ミルズは、現役時代に仕事を優先した結果、妻レノーアと離婚し、ひとり娘のキムとも離れて暮らしていた。現在は危険な任務から退き、カリフォルニアで静かな生活を送っている。彼が引退した大きな理由は、失われた娘との時間を取り戻すためだった。

ブライアンの家には、かつての仲間であるサム、ケイシー、バーニーが集まり、食事を楽しんでいた。3人はいずれも政府関係の仕事でブライアンと行動してきた人物で、現在は民間の警備業務などを請け負っている。彼らはブライアンに、人気歌手シーラのコンサートで警護を手伝ってほしいと持ちかける。

その頃、ブライアンの最大の関心は、間もなく17歳になるキムの誕生日だった。彼はキムが幼かった頃の映像を何度も眺め、娘が歌手になる夢を持っていることを考えながら、カラオケ機器を誕生日プレゼントとして用意する。

豪華な誕生日会で突きつけられる家族との距離

ブライアンはプレゼントを手に、キムの誕生日会が開かれているレノーアの再婚相手スチュアートの豪邸を訪れる。キムはブライアンの贈り物を喜ぶが、その直後、裕福なスチュアートから本物の馬をプレゼントされる。

大勢の招待客と豪華な贈り物に囲まれたキムを前に、ブライアンは自分が娘の現在の生活から取り残されていることを改めて実感する。レノーアも、過去に家庭を顧みなかったブライアンへの不満を隠そうとはしない。ブライアンはキムを深く愛しているものの、その思いをどう伝えればよいのか分からずにいた。

警護の仕事で発揮される特殊技能

ブライアンは仲間たちの依頼を受け、人気歌手シーラのコンサート会場で警護を担当する。公演終了後、ひとりの男が刃物を持ってシーラへ襲いかかるが、ブライアンは瞬時に状況を判断。男を制圧し、シーラを安全な場所へ避難させる。

事件後、シーラから望みを尋ねられたブライアンは、歌手を夢見る娘に助言してほしいと頼む。シーラは、キムに本気で才能があるなら専門家のレッスンを受けさせると約束し、関係者の連絡先をブライアンに渡す。

この出来事によって、ブライアンが単なる引退生活中の父親ではなく、観察力、判断力、格闘能力に優れた熟練の工作員だったことが示される。

キムが求めたパリ旅行の許可

後日、ブライアンはキムから昼食に誘われる。娘とふたりで話せることを期待して店へ向かうが、そこにはレノーアも同席していた。キムたちの目的は、未成年者が国外へ渡航するために必要な同意書へブライアンの署名をもらうことだった。

キムは、友人アマンダと一緒にパリを訪れ、アマンダの親戚の家に滞在しながら美術館などを巡ると説明する。しかし、ブライアンは若い女性2人だけの海外旅行を危険だと考え、その場では署名を拒む。

キムは、自分を信用していないのかと傷つき、涙を流して店を出ていく。レノーアから過保護だと責められたブライアンは考え直し、いくつかの条件を守ることを前提に旅行を認める。滞在先の住所と電話番号を知らせること、到着したらすぐに連絡すること、毎晩電話すること、旅行中の予定を報告することが条件だった。

ブライアンは海外でも使える携帯電話をキムに持たせ、緊急時の連絡方法も教える。心配しながらも、娘との関係を壊したくないという思いから送り出すことを決めたのだった。

空港で発覚した本当の旅行計画

旅行当日、ブライアンはキムを空港まで送る。車から荷物を降ろした際、彼はバッグの中に入っていた旅行日程を偶然目にする。そこにはパリだけでなく、ヨーロッパ各地を移動する予定が記されていた。

ブライアンがレノーアを問いただすと、キムとアマンダの本当の目的は、美術館巡りではなく、ロックバンド「U2」のヨーロッパツアーを追いかけることだと判明する。さらにアマンダはキムより年上で、旅行中は2人だけで行動する予定だった。

事実を隠されていたブライアンは怒るが、出発直前のキムを引き止めることはできない。レノーアとともに娘を見送るものの、その表情には強い不安が残っていた。

パリで接近してきた青年ピーター

パリのシャルル・ド・ゴール空港に到着したキムとアマンダは、タクシー乗り場でピーターと名乗る青年に話しかけられる。ピーターは親しげに振る舞い、タクシー代を節約するために相乗りしようと提案する。

アマンダは気さくなピーターを気に入り、警戒することなく滞在先や旅行の予定を話す。ピーターは、2人が滞在するアパートに大人がいるのかをさりげなく確認。別れ際には、その日の夜に開かれるパーティーへ誘う。

しかしピーターの目的は、旅行中の若い女性を探し出し、その滞在先を犯罪組織へ知らせることだった。キムたちと別れた彼は、2人が大人のいない部屋に滞在していることを仲間へ伝える。

アマンダの嘘と無防備な滞在先

滞在先へ到着したキムは、そこにいるはずだったアマンダの親戚がスペインへ出かけており、広い部屋に自分たち2人しかいないことを知らされる。事前の説明と違う状況にキムは戸惑うが、アマンダは大人の監視がないことをむしろ喜んでいた。

アマンダは音楽を大音量で流し、ピーターから誘われたパーティーへ出かける気でいる。一方、到着後の連絡を待っていたブライアンは、キムから電話がないことを心配していた。キムは約束を思い出し、アパートの浴室から父親へ電話をかける。

電話越しに始まった誘拐事件

ブライアンと話していたキムは、部屋へ侵入した複数の男たちがアマンダを捕まえる様子を目撃する。異変を察したブライアンは、取り乱すキムに対し、別の寝室へ移動してベッドの下に隠れるよう指示する。

ブライアンは、キムも間もなく発見される可能性が高いと冷静に判断していた。彼は通話を録音する準備を整え、キムに携帯電話を床へ置かせる。そして犯人に連れ出される瞬間、相手の人数、服装、身体的特徴など、目に入った情報をできる限り大声で伝えるよう命じる。

やがて男が寝室へ入り、ベッドの下に隠れていたキムの足をつかむ。キムは引きずり出されながら、犯人の身長や髪、右手にある月と星のタトゥーについて叫ぶ。その声は録音中の電話を通じてブライアンへ届いた。

犯人へ告げたブライアンの警告

キムが連れ去られた後、犯人のひとりが床に落ちていた携帯電話を拾う。ブライアンは電話の向こうにいる男へ、娘を解放すれば追跡しないと告げる。その一方で、解放しないなら、自分が長年の仕事で身につけた特殊技能を使って必ず捜し出すと警告する。

男はブライアンの言葉を黙って聞いた後、短く「幸運を祈る」とだけ答えて電話を切る。ブライアンはその声を含め、通話の内容をすべて記録していた。

直後、ブライアンは元同僚のサムへ録音データを送り、犯人の言語や訛り、背後で聞こえた音を分析するよう依頼する。感情に押し潰されそうになりながらも、彼はすでに工作員として追跡を開始していた。

誘拐組織の正体と「96時間」の意味

ブライアンはレノーアとスチュアートの家へ向かい、キムが誘拐されたことを伝える。海外で事業を展開するスチュアートに敵がいる可能性も疑うが、今回の事件と彼の仕事を結びつける証拠は見つからない。

やがてサムの分析結果が届く。犯人たちはアルバニア北部の訛りを持つ言葉を話しており、若い女性を誘拐して売買する組織である可能性が高かった。電話に出た男は、組織を率いるマルコという人物と推定される。

組織は、仕事を紹介すると偽って女性を集め、薬物依存状態にして売春を強いるだけでなく、近年は旅行者を狙った誘拐も行っていた。過去の事例から、誘拐後96時間を過ぎれば被害者の行方を追うことは極めて困難になる。ブライアンに残された時間は、わずか4日ほどしかなかった。

ブライアンはスチュアートにプライベートジェットの手配を求め、単身パリへ向かう。

現場に残された写真からピーターを特定

パリへ到着したブライアンは、真っ先にキムたちが滞在していたアパートを調べる。壊された室内を歩きながら、電話で聞いた音やキムの証言をもとに、犯人たちがどこから侵入し、どのように2人を連れ出したのかを再現する。

ブライアンは壊れたキムの携帯電話から記録媒体を回収し、旅行中に撮影された写真を確認する。その中には、空港でアマンダと一緒に写った写真があった。背景の反射を拡大すると、撮影者であるピーターの姿が残っていた。

ピーターこそ、空港で若い旅行者に接近し、犯罪組織へ情報を渡す案内役だと判断したブライアンは、再び空港へ向かう。そこではピーターが、キムたちに使ったのと同じ方法で別の若い女性に声をかけていた。

唯一の手掛かりだったピーターの死

ブライアンはピーターを捕まえ、キムの居場所を問いただそうとする。しかしピーターの仲間が襲いかかり、その隙にピーターは逃走。ブライアンは障害物や車の間を抜けながら追跡する。

高架道路まで逃げたピーターは、ブライアンから逃れようとして車道へ飛び出し、走ってきた車にはねられて死亡する。キムの居場所を直接知っている可能性があった人物を失い、ブライアンの追跡は振り出しへ戻ってしまう。

この時点で、残された時間は約80時間。ブライアンは、フランスの情報機関に所属していた旧知の人物ジャン=クロードへ接触する。

ジャン=クロードから得た犯罪組織の縄張り

現在はフランス当局で治安関係の職務に就いているジャン=クロードは、パリで活動するアルバニア系犯罪組織について説明する。組織はポルト・ド・クリシー周辺の売春を支配しており、正面から介入するのは危険だった。

ジャン=クロードは、正式な捜査権限を持たないブライアンに深入りしないよう警告する。しかし、時間がないブライアンに従う意思はなかった。ジャン=クロードもブライアンが独自に動くと見抜き、部下に監視させる。

ブライアンは車を調達するとともに、アルバニア語を理解する通訳を雇う。組織の男たちが集まる地域へ向かい、路上で働かされている女性に客を装って接触する。

盗聴器が導いた建設現場の売春宿

女性と話しているブライアンの前に、彼女たちを管理する男が現れる。ブライアンは揉め事を収めるふりをしながら男へ近づき、気づかれないよう衣服に小型の盗聴器を仕掛ける。

車へ戻ったブライアンは男たちの会話を傍受し、通訳に内容を聞かせる。会話の中に建設現場を示す言葉が出てきたことから、ブライアンは近くの工事区域へ向かう。

その場所では、犯罪組織が工事用の施設を利用して売春宿を運営していた。内部では、薬物を投与された若い女性たちが粗末な区画へ入れられ、客を取らされている。ブライアンは労働者を装って中へ入り、ひとつずつ区画を確かめていく。

キムの上着を着た女性

ブライアンは、ひどく衰弱した若い女性がキムのデニムジャケットを着ていることに気づく。女性は薬物の影響でまともに受け答えできないが、その上着がキムのものであることは間違いなかった。

ブライアンが事情を聞き出そうとしていると、組織の男たちが異変に気づく。ブライアンは狭い通路で男たちを次々と制圧し、奪った銃も使いながら女性を連れ出す。

車に女性を乗せて脱出するが、組織の追手が別の車で追いかけてくる。ブライアンは建設現場の資材や通路を利用して追跡車を振り切り、さらに自分を監視していたジャン=クロードの部下もまいて姿を消す。

「赤い扉」という新たな手掛かり

ブライアンは助け出した女性を知人が管理するホテルへ運び、医療に詳しい協力者の手を借りて治療を施す。女性には大量の薬物が投与されており、話ができる状態に戻るまで時間が必要だった。

一方、ブライアンがパリで起こした騒動は当局にも把握されていた。ジャン=クロードは逮捕命令を強制送還へ変更するのが限界だと伝え、これ以上事件へ介入しないよう求める。しかしブライアンは、自分の目的はフランス当局と争うことではなく、娘を救うことだと言い残す。

意識を取り戻した女性は、空港でピーターに声をかけられ、パーティーへ誘われた後、パラディ通りにある赤い扉の家へ連れていかれたと証言する。そこで怯えていた彼女に、自分の上着をかけてくれたのがキムだった。

キムが少なくとも誘拐直後には赤い扉の家にいたと知ったブライアンは、犯罪組織のアジトと判断して現場へ向かう。

偽りの交渉でアジトへ潜入

ブライアンはジャン=クロードを装い、警察による保護の条件を交渉する役人として赤い扉の家へ入る。組織の男たちは警察側へ金を支払うことで活動を黙認されており、ブライアンを新たな交渉相手だと思い込む。

ブライアンは平静を装いながら、部屋にいる男たちの声をひとりずつ確かめる。そして別れ際、電話で犯人が口にした「幸運を祈る」という言葉をアルバニア語で言わせる。

そのひとりが発した声を聞いた瞬間、ブライアンは電話に出た男だと確信する。男の正体は、誘拐組織を率いるマルコだった。

アマンダの死と消えたキム

正体を見破られたことに気づいた組織の男たちとブライアンの戦闘が始まる。ブライアンは室内にいる男たちを次々と倒し、マルコだけを生かしたままアジトを制圧する。

建物内を捜索すると、複数の若い女性が薬物を投与され、意識を失った状態で監禁されていた。さらに奥の部屋で、ブライアンはベッドに横たわるアマンダを発見する。彼女は薬物の過剰摂取によって、すでに死亡していた。

しかし、どの部屋を探してもキムの姿はない。アマンダとは別の場所へ移送された可能性が高かった。

マルコへの電気拷問

ブライアンは、電話でキムを連れ去った男マルコを地下室へ運び、椅子に縛りつける。キムの居場所を尋ねるが、マルコは何も知らないと答え、口を割ろうとしない。

そこでブライアンは、マルコの両脚に電極を取り付け、電流を流して尋問する。激しい苦痛に耐えられなくなったマルコは、誘拐された女性たちのその後について話し始める。アマンダのように薬物を投与された女性は売春を強いられる一方、キムのように処女で商品価値が高いと判断された女性は、薬物漬けにされる前に別の顧客へ売られるという。

マルコによれば、キムはすでにパトリス・サンクレアという人物へ引き渡されていた。しかし、マルコはサンクレアの居場所までは知らなかった。

必要な情報を得たブライアンは、マルコに対して自分が電話で警告した父親だと改めて認識させる。そして電流を流したまま地下室を立ち去り、マルコを死に至らせる。

ジャン=クロードが隠していた癒着

パトリス・サンクレアへたどり着くには、フランス当局の情報が必要だった。ブライアンは、ジャン=クロードが誘拐組織の存在を知りながら、その活動を完全には取り締まっていなかったと見抜いていた。

ブライアンはジャン=クロードの自宅を訪れ、妻イザベルや子どもたちと夕食の席を囲む。一見すると旧友同士の穏やかな再会だったが、ブライアンは食事をしながら、パラディ通りのアジトや警察との癒着について問い始める。

追及されたジャン=クロードは、家族を養うために必要な金が得られるなら、その出所には関心がないという態度を示す。犯罪組織から直接命令を受けていたわけではないものの、金を受け取り、その活動を黙認していたのだった。

ブライアンがサンクレアについて尋ねると、ジャン=クロードは拳銃を取り出し、ブライアンを空港へ連行しようとする。しかし、ブライアンは事前にその拳銃から弾丸を抜いていた。ジャン=クロードが引き金を引いても、銃は発射されない。

家族を人質にした非情な情報収集

ブライアンは自分の銃を抜き、ジャン=クロードの妻イザベルの腕を撃つ。致命傷ではないと告げながらも、サンクレアの情報を渡さなければ、次は妻の命を奪うと脅迫する。

娘を誘拐された自分の苦しみを無視し、地位と家族の安全を守ろうとしたジャン=クロードに対し、ブライアンは同じ家族を危険にさらすことで情報を引き出そうとしたのだ。

ジャン=クロードは観念し、当局の情報網を使ってパトリス・サンクレアの身元と居場所を調べる。サンクレアは、富裕層を顧客とする人身売買の仲介者だった。

ブライアンは必要な情報を手に入れると、イザベルを撃ったことを謝っておくようジャン=クロードへ伝える。怒ったジャン=クロードはブライアンへ殴りかかろうとするが、逆に一撃で気絶させられる。

サンクレアの豪邸へ潜入

その夜、パトリス・サンクレアの豪邸では、正装した招待客を集めた華やかなパーティーが開かれていた。ブライアンは身なりを整え、偽造した身分証明を使って会場へ入り込む。

表向きは富裕層の社交場だが、邸宅の地下では秘密の人身売買オークションが行われていた。厳重な警備の先にある部屋には複数の顧客が集まり、連れてこられた若い女性たちへ次々と値をつけていた。

ブライアンは使用人や警備員の動きを観察し、人目につかない通路から地下へ侵入する。そこで女性たちがひとりずつ商品として紹介され、姿を見せない顧客によって競り落とされていることを知る。

闇オークションに出されたキム

オークションの最後の商品として姿を現したのはキムだった。ブライアンは、誘拐以来初めて娘が生きていることを自分の目で確認する。

しかし、会場には多数の武装した警備員がおり、その場で飛び出せばキムを危険にさらす可能性があった。ブライアンは近くにいた外国人の顧客を銃で脅し、キムへ入札するよう命じる。

男はブライアンの指示に従って金額を上げ、最終的にキムを落札する。ブライアンは落札後の移送先を突き止め、そこで娘を奪還しようと考えていた。

ところが警備員に異変を察知され、ブライアンは背後から襲われて意識を失う。あと一歩でキムへ届くところまで来ながら、彼自身がサンクレアの手に落ちてしまう。

サンクレアとの対面

意識を取り戻したブライアンは、地下の部屋で両手を頭上の配管につながれていた。そこへパトリス・サンクレアが現れ、オークションへ侵入した目的を尋ねる。

ブライアンは、最後に売られた女性が自分の娘だと明かし、キムを返すよう要求する。サンクレアも自分には子どもがいると語るが、同情して取引を取り消すつもりはなかった。

彼にとって誘拐された女性たちの売買は、特殊な顧客を相手にしたビジネスにすぎない。一度成立した取引には返品も買い戻しもなく、顧客の秘密を守ることが最優先だとして、ブライアンの要求を拒絶する。

ブライアンが金を払うと申し出ても、サンクレアは聞き入れない。彼は部下たちに、パーティーの客へ気づかれないようブライアンを始末するよう命じ、その場を去る。

拘束からの脱出

サンクレアの部下たちは、ブライアンを殺す準備を始める。ブライアンは頭上の配管を利用して身体を持ち上げ、敵の攻撃をかわしながら反撃。配管の固定部分を外し、拘束された状態のまま男たちを制圧する。

自由を取り戻したブライアンは、奪った武器を使って残る警備員を倒し、サンクレアの後を追う。警備の厳しい邸宅内を突破し、逃げようとするサンクレアを追い詰める。

ブライアンはサンクレアを銃撃し、キムがどこへ運ばれたのかを問い詰める。死の恐怖に直面したサンクレアは、キムがセーヌ川の船着き場に停泊していた船へ移されたと白状する。

サンクレアは、すべてはビジネスであり、ブライアン個人への恨みはなかったと命乞いする。しかしブライアンにとっては、娘を奪われた瞬間からすべてが個人的な問題だった。彼はサンクレアを射殺し、キムを乗せた船を追う。

セーヌ川を進む船の追跡

キムを買ったのは、ラマンという富豪だった。彼女はラマンの護衛たちによって大型の船へ運び込まれ、船はすでにセーヌ川を進み始めていた。

ブライアンは近くの車を奪い、川沿いの道路から船を追跡する。交通や障害物をかわしながら先回りし、船が橋の下を通過する地点を目指す。

橋へ到着したブライアンは、真下を通る船の屋根をめがけて飛び降りる。激しく身体を打ちつけながらも船上への侵入に成功し、最後の救出作戦を開始する。

船内での最後の戦い

船には、ラマンを守る複数の武装した護衛が配置されていた。ブライアンは狭い通路や客室を進みながら、拳銃、ナイフ、格闘術を使う男たちと次々に戦う。

銃撃だけでなく接近戦にも持ち込まれるが、ブライアンは相手の武器や船内の構造を利用してひとりずつ排除する。戦闘の中で負傷しながらも立ち止まらず、キムがいるとみられる船の奥へ進んでいく。

最後に立ちはだかった屈強な護衛も激しい格闘の末に倒し、ブライアンはラマンのいる部屋へ到達する。

キムを人質に取るラマン

部屋の中では、ラマンがキムの首元へ刃物を突きつけ、盾にしていた。キムは怯えながらも生きており、目の前に現れた父親の姿を確認する。

ラマンはキムを人質にしたまま、ブライアンと交渉しようとする。しかしブライアンは、娘の身体から狙いが外れる一瞬を見逃さない。正確に発砲してラマンを射殺し、キムを救い出す。

ブライアンは泣き崩れる娘を抱きしめる。キムは、自分を本当に捜しに来てくれた父親へ安堵を示す。ブライアンも、ようやく娘を無事に取り戻せたことを確かめるように強く抱きしめる。

こうして、誘拐から始まったブライアンの追跡は、96時間という限界を迎える前に終わった。

アメリカへの帰国

物語は事件後の捜査やブライアンへの事情聴取などを描かず、キムとブライアンがアメリカの空港へ帰国する場面へ移る。

空港ではレノーアとスチュアートが2人を待っていた。レノーアは無事に戻ったキムを抱きしめ、スチュアートもブライアンに感謝を示す。

キムが母親たちと再会する一方、ブライアンは少し離れた場所からその様子を見守る。娘を救ったことで家族との間にあった距離は縮まったものの、彼はキムを自分のもとへ取り戻そうとはせず、娘が現在の家族と帰っていく姿を静かに見送る。

なお、アマンダの死をキムがいつ知ったのか、アマンダの家族へどのような説明が行われたのかは、劇中では描かれていない。

シーラとの約束

後日、ブライアンはキムを車に乗せ、行き先を告げないままある場所へ連れていく。キムが案内された部屋で待っていたのは、ブライアンが警護した人気歌手シーラだった。

コンサート会場で命を救われたシーラは、歌手を目指すキムに専門的な指導を受ける機会を与えるという約束を覚えていた。ブライアンは事件以前から準備していた娘への贈り物を、ようやく実現させたのだ。

キムは驚きながらも喜び、シーラとのレッスンへ向かう。ブライアンは娘の夢へ踏み込みすぎることなく、その一歩を後押しする。

映画は、圧倒的な特殊技能によって娘を奪還した工作員としてではなく、娘との関係をやり直そうとするひとりの父親としてのブライアンを映し、幕を閉じる。

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