ハリソン・フォードが『シュリンキング』への思いを語り、長年のキャリアを振り返るような発言が注目を集めている。
Apple TVのドラマシリーズ『シュリンキング:悩めるセラピスト』がシーズン3の配信を開始した。すでにシーズン4の製作も決定しており、シリーズとしては今後も展開が続く予定だ。しかし、同作に出演するハリソン・フォードが語ったある言葉が、作品の枠を超え、彼自身のキャリアをめぐる発言として静かな注目を集めている。
「もしここで全てが終わったとしても、それで十分だ」──重みを帯びたフォードの言葉
フォードがその言葉を口にしたのは、火曜日の午後にサンタモニカのバーカー・ハンガーで開催された、Apple TV初のプレスデーでのパネルイベントだった。イベントにはフォードのほか、共演者のクリスタ・ミラー、ジェシカ・ウィリアムズ、マイケル・ユーリー、ルーク・テニー、ルキタ・マックスウェル、テッド・マッギンレーも参加した。
司会のアシュリー・ニコール・ブラックから、悲しみに暮れるセラピストがルールを破り、患者に本音を語り始めるという本作について、出演を決めた理由や自身に投げかけた問いを問われた際、フォードは次のように語っている。
「ここからどこへ行くのか?私たちが持っている仕事道具と、このシリーズの根底にある概念を考えると、今できているこの類の仕事の質は驚くべきものだよね。もしここで全てが終わったとしても、それで十分だ」
83歳という年齢、そして数十年にわたるキャリアを重ねてきた俳優の口から語られたこの言葉は、作品への満足感を示すと同時に、これまで歩んできた道のりを静かに見つめ直すような響きを帯び、すでに彼の中で引退も視野に入っていることを示した。
「これは異なる種類の仕事なんだ」──キャリアの現在地を語る理由
フォードは続けて、本作が自身にとってどれほど特別な仕事であるかを語っている。長年、映画界の第一線で活躍してきたハリソン・フォードにとって、『シュリンキング』はこれまでとは異なる意味を持つ作品だという。
「長い間この仕事をやってきた私にとって、これは異なる種類の仕事なんだ。これはとても特別で、本当に心を満たしてくれるし、私たちがやっていることに価値と重要性があると感じさせてくれるんだよ」
さらに彼は、その感覚を人生の時間軸に重ねるように、「人生でそういうものを探し求めているんだけど、ここで見つけられて嬉しいね」と語った。
これらの言葉は、単に作品への愛着を示すだけでなく、長いキャリアを経た今だからこそ語られる実感にも聞こえる。現在もシリーズは継続中であり、将来について明言したわけではない。それでも、彼の表現には、ひとつの到達点を噛みしめるような静かな余韻が残されていた。
拍手と歓声に包まれた会場──言葉以上に雄弁だった空気
フォードの感情のこもったコメントが語られると、会場に集まっていた約300人のゲストからは、温かい拍手と多くの歓声が送られたという。司会を務めたアシュリー・ニコール・ブラックも、その言葉の余韻を受け止めるように、「パネルを締めくくるのにこれ以上の場所はないね」と述べ、今回のパネルトークをまとめている。
シリーズは今後も続く予定であり、フォード自身が将来について明確な結論を示したわけではない。それでも、会場を包んだという拍手は、彼の言葉が“現在進行形の仕事”を超え、長年積み重ねてきたキャリアそのものに向けられていたかのようにも感じさせる。
「下から上まで全員に親切なんだ」──共演者が語るハリソン・フォードの姿
この日のパネルでは、フォード本人の言葉だけでなく、共演者たちから語られる彼の姿も印象に残るものだった。そのひとつが、テッド・マッギンレーによるコメントだ。
マッギンレーは、フォードから学んだこととして、撮影現場での振る舞いを挙げ、「撮影現場にいるすべての人を大切にするんだ。水を渡してくれる人も、朝5時に一番最初に会う人も含めてね。彼は下から上まで全員に親切なんだよ」と語っている。
長年にわたり第一線で活躍してきた俳優でありながら、現場のすべての人に等しく敬意を払う姿勢。そうしたエピソードは、フォードの発言が単なる感傷ではなく、積み重ねてきた時間と経験に裏打ちされたものであることを、静かに裏付けているようにも映る。
マイケル・J・フォックスとの共演がもたらした重み
パネルでは、シーズン3でゲスト出演するマイケル・J・フォックスについても言及された。フォックスは1991年からパーキンソン病と闘っており、フォードが演じるキャラクターもまた、同じ病と向き合っているという点で、このキャスティングは特別な意味を持っている。
フォードは当初の心境について、「考えてみると少し気が重かったよ。なぜなら、私はパーキンソン病を持つキャラクターを演じているわけだけど、マイケルは実際にその病気と闘っているからね」と率直に語っている。そのうえで、「自分のストーリーのその部分を正しく表現することに、常に大きな責任を感じてきたんだ」と続けた。
一方で、フォックスとの共演は深い敬意と感謝を伴う体験でもあったという。「彼はすばらしく、寛大で素敵な人でね。彼と一緒に仕事をするのは並外れた経験だった」「優雅さ、勇気、不屈の精神を持っていて、そのいくつかが、パーキンソン病を持つキャラクターの描写に色を添える助けになってくれればと思っているよ」と、その存在が作品に与えた影響を語った。
さらにフォードは、「それはシリアスな部分だね。でも楽しい部分もそこにあったんだよ」と述べ、フォックスの人柄についても触れている。
『シュリンキング:悩めるセラピスト』は現在、Apple TV+で配信中。


