【インタビュー/トッド・コマーニキ監督】英雄譚『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』に浮かび上がる現代の社会問題と、誰もが見出すべき“愛”の力

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』トッド・コマーニキ監督 INTERVIEWS
『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』トッド・コマーニキ監督

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』トッド・コマーニキ監督にインタビュー。


11月7日(金)より、映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』が日本公開となる。culaでは本作のトッド・コマーニキ監督に単独オンラインインタビューを実施。本作にどのような思いで向き合ったのか、そして本作と現代社会とのつながりについてなど、濃厚な話を聞くことができた。(取材・文:cula編集長 ヨダセア)

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』あらすじ

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トッド・コマーニキ監督 インタビュー

まず、彼の物語を映画で語りたいと思ったきっかけは何でしたか。何に惹きつけられたのでしょうか。

トッド・コマーニキ監督(以下、コマーニキ):実は、この物語が私を見つけてくれたんです。ボンヘッファーについてはほとんど知らなかったのですが、彼の人生の映画を作らないかと依頼されたときに初めて知りました。彼の人生が非常に説得力があることに気づいたんです。

コマーニキ:私はよく彼のことを、私たち全員が望むような生き方をした人物だと表現します。誠実さを持ち、愛をもって生き、隣人のために自分を犠牲にする覚悟がある、そういう人です。そして、それが私をボンヘッファーに磁石のように惹きつけた要素です。

ヨナス・ダスラーをボンヘッファー役にキャスティングした理由を教えてください。また、彼との仕事はいかがでしたか。

コマーニキ:すばらしかったです。彼は非常にオープンな精神と、とても美しい魂を持っているんです。キャスティングの理由ですが、ドイツの英雄についての映画を作るのであれば、本当にドイツ人の俳優を起用し、そのほかも主にドイツ人のキャストで構成したかったのです。

コマーニキ:それで知り合いのドイツ人監督エミリ・アテフに連絡して、「26歳から36歳のすばらしい俳優が必要なんだけど、名前のリストをもらえるかな」と言ったところ、彼女は「ヨナス・ダスラー」と返事をくれました。私が「いいね、彼の映画を見てみるよ。でもリストがほしいんだ」と返すと、エミリは私に「彼がリストだよ」と書いてきたんです。彼に対する最高の賛辞ですよね。彼女は彼とプライベートで交流があるわけではなく、友人を推薦したのではありません。ただ、この俳優は本物のアーティストだと言ったんです。

コマーニキ:ヨナスと出会い、一緒に仕事をし、友人になれたことは本当に恵まれたことでした。彼は本当にすばらしい人物ですよ。

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

ヨナスさんとの現場での特別なエピソードはありますか。

コマーニキ:印象的な思い出があります。若いヨナスにとって、俳優としてのヒーローの一人が、本作でニーメラー牧師を演じたアウグスト・ディールなんです。撮影開始前にリハーサルがあったのですが、ヨナスは自分のヒーローの一人と仕事をすることにとても緊張していたんです。

コマーニキ:それからの2時間の間に私が目にしたのは、アウグストがヨナスをとても大切に扱う光景でした。とても優しく穏やかに接し、ヨナスに失敗したり、緊張したり、人間らしくあるための十分な余裕を与えていました。そしてその2時間が終わった頃には、ふたりの俳優は同じレベルで仕事をしていましたよ。「若くてシャイな俳優とベテラン俳優」という関係ではなく、ふたりの兄弟が密接に協力し合っているようでした。これは撮影開始前のことですが、撮影が終わる頃にはキャスト全員が非常に親密になっていました。ご存知の通り、この物語は非常に激しく感情的なので、俳優たち全員を非常に緊密に結びついたコミュニティへと導いていったんです。​​​​​​​​​​​​​​

ボンヘッファーの物語をスクリーンに届けるにあたって、あなたとチーム、そしてヨナスさんはどのような準備と調査を行いましたか。誰かと相談したり、協力したりしましたか。

コマーニキ:私の制作会社で働いているジョナサンとセスというふたりがいて、彼らも私の調査チームの一員でした。私たちはただひたすら資料を読みましたよ。ボンヘッファーは数え切れないほどの著作を残した教師なので、それらをすべて、全文字読んだんです。あらゆる土地での彼の手紙や、彼について書かれた多くのものを読みました。

コマーニキ:私にとって非常に重要だったのは、彼の親友エーバハルト(・ベートゲ)によって書かれた有名な伝記です。それは900ページもありましたよ。6ヶ月間の丁寧な調査を経てから、脚本の一文字目を書き始めました。

映画の中で描いたボンヘッファーの物語において、どのようなことを最も重要視しましたか。

コマーニキ:私にとって重要なのは、これが単なる時代劇ではなく、現代の物語だという事実です。現在アメリカが直面しているのは、彼が直面したことに非常に似た状況です。権力を持つ人々が弱い立場の人々に対してその権力を使う時代です。それが当時ドイツで起こっていたことです。そしてディートリヒは立ち上がり、「真実を語り、弱い立場の人々を守るために、家族も富も機会も置いていく覚悟がある」と宣言しました。このメッセージが、今日ほど重要な意味を持つことはないかもしれません。国から国へと極右翼の台頭が起こっている様子は見るに堪えませんよ。

コマーニキ:私たちは、周辺に追いやられた人々が圧迫され苦しんでいるのを見ています。彼らにとって唯一の希望は、私たちのような人々です。彼らのために立ち上がり、間に立って暴力を止める勇気を持つ人々です。そしてそれを、誰も打ち負かしたことのない唯一の武器、“愛”をもって行うことです。それが私たちが必要とされていることです。勇気を持ち、愛に満たされる必要があります。そうすれば相手側に対抗手段はありませんよ。

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

「語らないことは語ることであり、行動しないことは行動することである」という台詞と、ディートリヒのスピーチは強い印象を残しました。私たちは今でも、人種、国籍、宗教によって人々が殺される世界に生きています。ナチスの時代でなくとも、それが現実ですよね。

コマーニキ:その通り。私たちの時代が本作にこれほど反映されてしまうのは、望ましいことではありません。

コマーニキ:この映画が世界中で公開されてよかったと思えるのは、どの国でも若い人々に出会い、彼らが勇敢になることを決意し、本当に初めて勇敢になることを決めてくれているところを見られたときです。その事実が私を強く鼓舞してくれます。​​​​​​​​​​​​

信仰や宗教は人々を良い方向にも悪い方向にも導くことができます。多くの教会と聖職者を描く本作で表現したかったことは何でしょうか。

コマーニキ:宗教と信仰の間には大きな違いがあるということを伝えたいですね。なぜなら、信仰とは関係性です。信仰とはイエス・キリストを信じ、キリストに近づきたいと願い、愛に満ちた方法で生きることです。一方、宗教はその反対のようなものです。宗教はしばしば権力として使われます。「私のやり方だけが正しい。あなたは間違っている。この方法でやらない限り、あなたを排除する、発言権もない、機会もない」と叫ぶために使われます。それはキリストの言ったこととは全く違います。

コマーニキ:実際、現代の政治的宗教の中にキリストを見出すことはできません。そこにあるのは権力だけです。だから、この映画が人々に信仰とつながり続けることを思い出させることを願っています。信仰は命を救いますが、宗教に乗っ取られることは致命的です。

今、分断が進むアメリカでは、当時よりも信仰の力が弱まっていると感じますか。

コマーニキ:ええ、「信仰」という言葉が、“武器”として使われているのが現状です。今こそ、ボンヘッファーのような人々が重要で、ボンヘッファーのような人にとって私たちの行動が本当に重要なのです。「神が私たちを救ってくださったということは、私たちも他者を救わなければならない」と信じる人々が必要です。

コマーニキ:新約聖書の「善きサマリア人の物語」のように、イエス・キリストは困っている人なら誰でも隣人だ、見知らぬ人でも私たちの隣人だと言いました。私たちは今していることをすべて置いて、隣人を助けに行かなければなりません。今がその時です。私たちはこれまで以上に強く意識して、隣人に目を向ける必要があります。

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

悪人は宗教や信仰を使って人々を支配しようとしますが、この映画は、宗教や信仰を正しい方法で、正義や善のために使うことがとても重要だと力強く訴えていますね。

コマーニキ:その通りです、正義のために使うのです。それが神の言葉です。神は正義を愛し、慈悲を愛し、謙虚さを愛します。そしてそれがキリストが自分の人生を生きた方法です。

コマーニキ:アメリカの文化人たちの中で、非常に興味深いことが起こっています。俳優、記者、エンターテイナーたちは、自分たちをクリスチャンとは呼んでこなかったし、そのように自分たちを考えていなかったでしょう。しかし、右派、極右で起こっていることを見たとき、それが神の名において、イエスの名において行われていることを見たとき、その経験が彼らを、イエスの教えに立ち返らせました。右派が行っていることに異議を唱えるためにです。そして彼らはイエスの教えの本当の美しさに気づき始めています。「そうか、隣人を愛するとき、自分の人生がより充実する。自分より先に人のことを考えるとき、私の心はより軽くなる」と。

コマーニキ:たとえキリストが神だと信じていなくても、たとえクリスチャンでなくても、単にイエスの教えの核心である愛のメッセージに耳を傾けるだけで、世界で多くの善いことができるんです。私たちの相違点について話す必要はありません。私たちの共通点について話しましょう。そして良心を持つ人々は、愛が憎しみよりもずっと良いということに同意できると思います。実際、愛は憎しみよりもずっと強いのです。​​​​​​​​​​​​​​​​

歴史的記録に対して、あえて追加したり変更したりしたシーンはありますか。

コマーニキ:ほとんどが実話に忠実ですが、唯一変更したとすれば、タイムライン(時系列)を少し動かしました。本作はドキュメンタリーではないので、スリリングで、人々を引き込む必要があります。

コマーニキ:たとえば、ニーメラーが教会で語る場面。彼は「共産主義者が連れて行かれたとき、私は声を上げなかった。なぜなら私は共産主義者ではなかったから。労働組合員が連れて行かれたとき、そしてユダヤ人が連れて行かれたとき、私は声を上げなかった」と話しますね。彼は実際にそれらの言葉すべてを残していますが、説教の中ではなく、数年後に語ったものでした。しかし、それを力強い映画的瞬間にし、その言葉を書いた人物にその言葉を語らせる機会を作るために時系列を動かすことには価値があると思いました。

コマーニキ:私たちは何らかの理由があってドキュメンタリーを観たり、本や詩を読んだり、音楽を聴いたりします。そして映画館に行くときは、作品に引き込まれ、楽しませてもらい、さらにその中に自分自身、自身の最良の部分と最悪の部分を見る機会を持ちたいのです。願わくば、観客の皆さんには映画館に入ったときとは違う状態で映画館を出てほしいと思います。そのため、人々に確実な“映画体験”を提供するために、そのような小さな変更だけしました。

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

本作は歴史映画であると同時に非常にドラマチックで、心に訴える作品でしたが、映像から感じるクラシックな魂と荘厳さも印象的です。視覚的な選択、撮影、プロダクションデザイン、全体的な美学についてお話いただけますか。

コマーニキ:はい、奇跡的なことに、史上最高の撮影監督のひとりであるジョン・マシソンと一緒に仕事ができました。彼は複数回のオスカーノミネートを受けており、『グラディエーター』シリーズなどを手がけています。彼は光を使って絵を描く人です。そして彼は友人のジョン・ビアードも連れてきてくれました。(ビアードは)優れたプロダクションデザイナーです。このふたりの英国人は、本当に私を救ってくれましたよ。作家であり監督である私のビジョンが、彼らのビジョンと本当に融合しました。

コマーニキ:ジョンは常に対等なパートナーでした。彼はとても寛大で、私たちはすべてについて話し合いました。すべての色調、すべてのパレット、すべての瞬間、すべての光、部屋の奥のランプ一つ一つまで、すべてを。私たちは神の恵みによってすばらしいパートナーでした。今でも私たちは非常に親しい友人であり続けています。そして私は、彼なしでは二度と映画を作りません!これからは常にジョン・マシソンと仕事をします。

たしかに撮影がとても美しくてクールで、本当に印象的でした。撮影場所について、印象的だった特定のロケーションはありますか。

コマーニキ:ドイツで撮影することはできませんでした。なぜなら、ひとつのロケーションの承認を得るのに1年半もかかることがあって、ペースがあまりに遅いんです。なので、32日間かけてベルギーで撮影しました。ベルギーは第二次世界大戦時代のドイツに非常に似ているからです。大聖堂や美しい教会、そういったものはすべてベルギーで撮影しました。しかし、ドイツにまだ実在する実際の場所に合わせるよう、細心の注意を払いました。主要な教会の一つは戦争中に破壊されましたが、残りはまだドイツに現存するんです。なので本当に気を配って、ベルギーで非常に似ている教会を見つけました。できる限りすべてを本物らしくしたかったんです。

コマーニキ:そして、11日間はアイルランドで撮影しました。アイルランドでは荒廃したすべてのもの、絞首台、映画の終盤に登場する焼け尽きたようなものすべてを撮影しました。

監督として、撮影していて最も楽しかったシーンはどこでしょうか。

コマーニキ:ディートリヒがナチスを教会から追い出すシーンがお気に入りです。彼が説教で「教会の仕事は愛と神聖さと慰めの場所であること」と語り、ナチスを追い出す場面です。あのシーンでは400人のエキストラが教会を埋め尽くしていました。私たちは入念なリハーサル(テック・リハーサル)をしました。同時に3台のカメラで撮影する複雑なカメラワークがあったからです。

コマーニキ:ヨナスは撮影していない時も、真の情熱を込めて台詞を語っていました。リハーサルを終えて私が「カット」と言うと、リハーサルにもかかわらず、教会にいた400人のエキストラ全員が一斉に拍手を始めたんです。その理由は、聞いたことのない演説を聞いたからでしょう。教会は権力の場所であるべきではない。愛と信仰と平和の場所であるべきだということを。

コマーニキ:人々が持つ、“明るい言葉への渇望”を示したあの光景は美しかったです。すぐにインターネットに飛びつきがちな私たちの毎日はあまりにも悪いニュースにあふれています。世界のすべてがひどい状態に見えますよね。悪い、ひどいと言い続けられる時代ですが、最終的な言葉はそうではなく、“愛”になると私は信じます。そして家族、友人、コミュニティに囲まれ、愛をもって生きるとき、あなたの一日は悪いニュースにはなりません。きっとすばらしいニュースが生まれるはずです。だから私は、世の中にある否定性と悲しみの猛攻撃に屈しないよう人々を励ましたいと思っています。それが物語の結末ではないからです。

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

逆に、撮影で最も困難だったシーンはどこですか。

コマーニキ:ヒトラーの一行が車で到着する場面です。彼らが美術館を訪問しようとしていて、そこで暗殺未遂が起こりますが、あのシーンが本当に複雑でした。全員を振り向かせるタイミング、歩行のペース、ヒトラーと側近の位置関係、ヒトラーが突然去り、車が戻って来ることなど、そのすべてを合わせなければならず、たしかそれを1分15秒でこなさなければなりませんでした。

コマーニキ:とてもタイトでしたし、さらにとても寒かったんです。ああ本当に、骨が砕けるような寒い日でしたよ。「10分だけこれをこなしたら、暖かいところに行けるだろう」と希望を持っていましたが、結局14時間も外にいることになり、「もう二度と暖かさを感じられないんじゃないか」とまで思いましたよ。

高度な正確性が求められるシーンだったんですね。観直してみます!

コマーニキ:本当に大変でした。でも私は俳優や他のアーティストと仕事をすることが本当に好きです。対話のリズムを見つけ、キャラクターのニュアンスを見つけ、それがすべてリアルタイムで起こるんです。そして私は常にカメラを泥棒になったようなつもりで構えます。二度と起こらない瞬間を盗むのです。同じテイクは二つとありません。そしてカメラが編集室で、これらの瞬間をつなぎ合わせることができるよう、十分な瞬間を盗んでくれることを願います。なぜなら映画を作ることは非常にリスクの高い賭けだからです。うまくいかないことがたくさんあります。でもこの映画では、とても多くのことがうまくいきました。とてもとても感謝しています。

このプロジェクトに関して影響を受けた作品や映画監督はいましたか。

コマーニキ:このプロジェクトでかはわかりませんが、常に私の中に残っている映画があって、ロバート・レッドフォード監督によるオスカー受賞作『普通の人々』(1980年)です。部屋の中で俳優たちのパフォーマンスを引き出す彼の能力、簡単で平坦なシーンになりかねない場面で俳優たちの間に電気が迸り、それをカメラが捉えるんです。だから私は常に『普通の人々』を念頭に置いています。

コマーニキ:私はドイツのヴィム・ヴェンダース監督の大ファンでもあります。『パリ、テキサス』や『PERFECT DAYS』……すばらしいですよね。そしてもちろん黒澤明監督についても言及すべきです。私の義理の兄弟はパリ出身なのですが、彼は黒澤作品ばかり観ているんです。だから私は長年にわたって非常に多くの黒澤作品を見てきました。そして彼の古典的なストーリーテリング、つまり不可能な状況に立ち向かうヒーロー像に影響を受けました。『用心棒』のような映画を見れば、ボンヘッファーとのつながりが見えると思います。なぜなら誰かが正しいことをしようとし、守ろうとし、自分の命を犠牲にして捧げようとする映画だからです。

コマーニキ:以上のように、たしかに多くの影響を受けていると思います。私の映画鑑賞の歴史、それは常にすべて頭と心にありますから。

ヒーロー……たしかに困難な状況の中においてもボンヘッファーの生き様はとても英雄的でした。

コマーニキ:まさに。と同時に、ひとりの人間でもあったので、同じ時代に生きていたら友人にもなれたでしょうね。

コマーニキ:ディートリヒ・ボンヘッファーは37歳で亡くなりましたが、彼らはディートリヒを殺すことに成功したとは言えません。なぜなら、彼の物語は今でも語られ続け、今でも世界中に影響を与えている、つまり世界に対して非常に多くの善いことを残し続けているのですから。彼の物語を語る使命を与えられたことを、私はとてもとても幸運に思います。

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』©2024 Crow’s Nest Productions Limited

最後に、このインタビュー記事を読む日本の映画ファンへのメッセージをいただけますか。

コマーニキ:まず初めに、私は少なくとも1988年以来、日本に来ることを夢見てきました。そして今本当にあなたがいるそこに飛んでいきたいと思っています。日本に行き、日本を体験することをとても楽しみにしています。すばらしい話しか聞きませんよ。

コマーニキ:私は人々に映画館でこの映画を見ることをオススメしたいと思います。なぜなら本作は映画館のために作りましたから。私はこの映画を、人々が見知らぬ人たちと暗い空間に座って、人生を変えるような物語を体験するために作りました。観ればわかるとおり、ボンヘッファーに出会ったなら、これまでと同じままではいられないからです。友人や若い人々を連れて映画館に行ってください!

コマーニキ:アメリカやヨーロッパ全域で若い人々がこの映画を愛してくれています。13歳の子どもたちが「お気に入りの映画」だと言ってくれましたし、80歳の人たちも同じように言ってくれました。なので本作はすべての世代のための映画だといえます。この物語が美しい日本の人々の心にも響き渡ることを、心から願っています!

(インタビュー以上/取材・文:cula編集長 ヨダセア)

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』は11月7日(金)日本公開。

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