サイレント映画の古典『カリガリ博士』が現代的に再構築され、マイケル・シャノン主演で新作映画として製作される。
サイレント・ホラーの金字塔『カリガリ博士』が、現代の観客に向けて新たに生まれ変わる。
『Doctor Caligari’s Cabinet of Wonders(原題)』と題されたリメイク版は、心理ホラーとして再構築され、アカデミー賞ノミネート俳優のマイケル・シャノンが主演を務めることが明らかになったと『Deadline』誌が報じている。
監督を務めるのは、『地下に住む怪人』『デビル』などで知られるジョン・エリック・ドゥードル。撮影は6月に開始予定で、脚本はドゥードルが実兄ドリュー・ドゥードルと共同で執筆した。
マイケル・シャノンが演じる“恐るべき”カリガリ博士
マイケル・シャノン(『ノクターナル・アニマルズ』『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』)が本作で演じるのは、タイトルにも名を冠する悪役・カリガリ博士である。
シャノンはこれまで、Showtimeの『Waco(原題)』および『Waco: The Aftermath(原題)』でドゥードル兄弟と共同制作を行っており、今回が再タッグとなる。
ジョン・エリック・ドゥードルは、シャノン起用の理由について、「彼が最もシンプルな瞬間にさえもたらすことのできる、あの不穏な迫力」に触れつつ、「彼が恐るべきカリガリ博士を演じるのを見たい」と語っている。このキャスティングの発想は、やがて「私たちにとって強迫観念になった」という。
ドイツ表現主義の古典を、現代の悪夢として再構築
本作は、1920年に公開されたロベルト・ウイーネ監督作『カリガリ博士』を原点としながらも、その世界観を現代的な心理ホラーとして再構築する試みとなる。
ジョン・エリック・ドゥードルは、マイケル・シャノンとの関係性について、「私たちが一緒に築いてきた信頼関係とクリエイティブな共通言語があるから」と前置きしつつ、「このドイツ表現主義の象徴的な古典を現代の観客向けに再構築する際、より深く、より大胆に踏み込むことができる」と語っている。
さらに彼は、「この悪夢を彼と一緒に命を吹き込めることに、これ以上ないほど興奮している」とも述べており、本作が単なる名作の再映画化ではなく、原作の精神性を受け継ぎながら新たな恐怖表現に挑む作品であることがうかがえる。
催眠術師カリガリと、信じられない“恐怖”の連鎖
物語の中心となるのは、夢遊病者を支配下に置き、町から町へと旅をする謎の催眠術師・カリガリ博士である。彼が訪れた先々で、凄惨な殺人事件が次々と発生していく。
ある町で若い女性のボーイフレンドが謎の失踪を遂げたことをきっかけに、彼女はカリガリが事件に関与していると確信する。しかし、その疑念は周囲の誰にも信じてもらえない。恐怖の本質は、目に見えない存在そのものだけでなく、真実を訴えても受け入れられない孤立と疑念の中で増幅していく。
本作は、原作が持っていた不安定な心理描写と歪んだ世界観を引き継ぎながら、現代的な視点で“信じてもらえない恐怖”を描く心理ホラーとなる。
ヨーロッパ・フィルム・マーケットで世界配給へ
本作には、映画製作・配給を手がけるAntonが資金提供を行うとともに、来週ベルリンで開催されるヨーロッパ・フィルム・マーケットにて世界配給権を取り扱う予定だ。北米配給権については、CAA Media FinanceがAntonと共同で代表を務める。
製作はドリュー・ドゥードルがBrothers Dowdle Productionsとして担当し、Antonからはセバスティアン・レイボー(『グリーンランド―地球最後の2日間―』『ナイト・ハウス』)とブラント・ライツマン(『Greenland 2: Migration(原題)』)がプロデューサーとして参加。さらに、スチュアート・マナシル(『獣の棲む家』『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』)もプロデューサーに名を連ねている。
ドイツ表現主義映画の象徴的作品として語り継がれてきた『カリガリ博士』が、どのような形で現代の観客に提示されるのか。その再構築の行方に注目が集まる。
