2026年のグラミー賞授賞式で、ポスト・マローンがオジー・オズボーンへのトリビュートとして「War Pigs」を披露した。
2026年のグラミー賞授賞式で、ポスト・マローンが故オジー・オズボーンへのオールスター・トリビュートを主導した。In Memoriam(追悼)のモンタージュが流れる中、彼は豪華ミュージシャンと共にステージに立ち、ブラック・サバスの代表曲「War Pigs」を熱唱。客席では、オズボーンの妻シャロンと子どもたちのケリー、ジャックが涙を浮かべながらその姿を見守った。
ポスト・マローン主導で実現したグラミー賞の追悼ステージ
この夜のトリビュートでは、ポスト・マローンを中心に、プロデューサーのアンドリュー・ワット、ガンズ・アンド・ローゼスのギタリストであるスラッシュ、ガンズ・アンド・ローゼスのベーシスト、ダフ・マッケイガン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのドラマー、チャド・スミスが集結した。披露されたのは、ブラック・サバスが1970年に発表した2ndアルバム『Paranoid』のオープニングを飾る「War Pigs」である。
In Memoriam(追悼ステージ)の演出の一部として組み込まれたこのパフォーマンスは、追悼の意味合いを強く帯びたものとなった。反戦抗議歌として知られる同曲が選ばれたことも象徴的であり、オズボーンが音楽を通して投げかけてきたメッセージを、次世代のアーティストたちが受け継ぐ場となった。
Slash (Guns N’ Roses), Andrew Watt (Ozzy Osbourne), Duff McKagan (Guns N’ Roses), Chad Smith (Red Hot Chili Peppers) e Post Malone cantando “War Pigs” do Black Sabbath em tributo a Ozzy Osbourne no #GRAMMYs pic.twitter.com/a9OEwXo9yh
— Igor Rogh (@igorogh) February 2, 2026
「War Pigs」に託された意味と家族が見守った瞬間
「War Pigs」は、オジー・オズボーンがフロントマンを務めたブラック・サバスを象徴する楽曲のひとつである。1970年に発表された2ndアルバム『Paranoid』のオープニングを飾るこの曲は、戦争と権力への強烈な批評性を持つ反戦抗議歌として知られてきた。
この夜、その象徴的な楽曲がIn Memoriamのモンタージュの中で披露されたことは、オズボーンの音楽的遺産を改めて浮かび上がらせる演出となった。客席では、未亡人のシャロン・オズボーンと、子どもたちのケリー、ジャックが涙を流しながらステージを見つめており、その光景は、ひとりのアーティストとしてだけでなく、家族にとってのオズボーンの存在を静かに物語っていた。
ポスト・マローンによる歌唱は、原曲のメッセージ性を損なうことなく、敬意を込めて受け継ぐ形で届けられた。楽曲そのものが持つ重みと、遺された家族が見守る客席の空気が重なり合うことで、グラミー賞のステージは一夜限りの追悼の場として深い印象を残すものとなった。
Post Malone honors Ozzy Osbourne with a heartfelt cover of "War Pigs" at the #Grammys, as Sharon, Kelly, and Jack watch in tears. pic.twitter.com/GThZoiVJY2
— Variety (@Variety) February 2, 2026
オズボーンと直接関わってきたミュージシャンたちの集結
このトリビュートに参加したミュージシャンはいずれも、生前のオズボーンと実際に音楽制作を共にしてきた人物たちである。中心となったポスト・マローンは、オズボーンと「Take What You Want」や「It’s a Raid」でデュエットを録音し、世代やジャンルを越えたコラボレーションを実現してきた。
プロデューサーのワットは、2020年の『Ordinary Man』と2022年の『Patient Number 9』でエグゼクティブ・プロデューサーを務め、キャリア後期のオズボーンを音楽面から支えた存在である。また、Slashは2010年の楽曲「Crucify the Dead」にオズボーンを迎え、ロックシーンを代表する両者の共演を実現させた。
さらに、ダフ・マッケイガンとチャド・スミスも、オズボーンの最後期のレコーディングに参加しており、今回のステージは単なる敬意表明ではなく、創作の歴史に裏打ちされた再集結となった。長年にわたり築かれてきた関係性が、このグラミー賞のトリビュートに確かな説得力を与えていたと言える。
最期のステージから受け継がれるレガシー
オジー・オズボーンは、長年にわたるパーキンソン病との闘いの末、2025年7月に76歳で死去した。その数週間前には、ブラック・サバスの最後のコンサートとして位置づけられたイベント「Back to the Beginning」に出演し、故郷イングランド・バーミンガムの地でパフォーマンスを披露していた。
同イベントでは、5曲のソロセットと4曲のSabbathセットが演奏され、スレイヤーやTool、ビリー・コーガン、トム・モレロ、サミー・ヘイガーらがトリビュートに参加した。キャリアの最終章においても、オズボーンがロックシーンに与え続けていた影響力の大きさを示す場となった。
グラミー賞での追悼は、同年9月にMTVビデオ・ミュージック・アワードで行われたオールスター・トリビュートに続くものでもある。そのステージでは、スティーヴン・タイラーがヤングブラッドと共に「Crazy Train」や「Changes」、「Mama I’m Coming Home」を披露し、世代を越えた継承が印象づけられた。
さらに彼の死後、人生と闘病の日々を追ったドキュメンタリー「No Escape From Now」がParamount Plusで公開され、2019年の転倒事故や手術後の慢性的な痛み、パーキンソン病との向き合い方が記録された。2026年のグラミー賞で響いた「War Pigs」は、そうした歩みの延長線上で鳴り響いた、ひとつの到達点だったと言えるだろう。
