マイケル・ジャクソンの代表曲を聴くなら? 『Thriller』『Billie Jean』『Bad』などから知る名曲10選ガイド

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マイケル・ジャクソンの代表曲を聴こう

映画『Michael/マイケル』公開前に聴きたい、マイケル・ジャクソンの代表曲を整理する。


2026年6月12日(金)に日本公開予定の映画『Michael/マイケル』を前に、改めて聴いておきたいのがマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の代表曲である。彼は“キング・オブ・ポップ”と呼ばれる存在だが、そのすごさは単にヒット曲の多さだけでは語れない。歌、ダンス、映像、衣装、ステージングをひとつの表現として結びつけ、ポップミュージックの見方そのものを変えたアーティストである。

とはいえ、初めて聴く人にとっては、どの曲から入ればいいのかわかりにくいかもしれない。ジャクソン5時代の名曲から、ソロとして世界を変えた『Thriller』期、より鋭いスター像を作り上げた『Bad』期、そしてメッセージ性の強い楽曲まで、マイケルの音楽にはいくつもの入口がある。

ここでは、映画公開前に押さえておきたい代表曲を、単なるランキングではなく「なぜ重要なのか」という視点から紹介する。マイケル・ジャクソンの人生や功績を知るうえで、まず聴いておきたい楽曲ガイドである。

まず聴きたい代表曲-“キング・オブ・ポップ”を知る入口

「Billie Jean」(ビリー・ジーン)は、マイケル・ジャクソンを象徴する代表曲のひとつである。1982年のアルバム『Thriller』に収録され、緊張感のあるベースライン、抑制されたビート、疑惑と不安をにじませる歌声によって、独特の世界を作り上げている。

この曲が特別なのは、音だけでなく、パフォーマンスの記憶と強く結びついている点にある。ムーンウォークを広く印象づけた楽曲としても知られ、黒いジャケット、白い手袋、光る床、しなやかな身体の動きが、曲そのもののイメージと重なっている。「Billie Jean」は、マイケルが“歌う人”であると同時に、“見せる人”でもあったことを最もわかりやすく示す一曲である。

【動画】マイケル・ジャクソン「Billie Jean」MV

「Thriller」(スリラー)は、マイケル・ジャクソンの名前を世界的なポップカルチャーの象徴にした楽曲である。ホラー映画のような物語性、群舞、赤いジャケット、夜道を歩く不穏な空気。楽曲そのものの完成度に加え、ミュージックビデオが短編映画のような体験として記憶されている。

それまでのMVは、楽曲を紹介するための映像という意味合いが強かった。しかし「Thriller」は、映像作品としても語られる存在になった。ゾンビダンスや映画的な演出は、音楽を“聴く”だけでなく“観る”ものへと変えた。マイケル・ジャクソンを知るうえで、この曲は避けて通れない。

【動画】マイケル・ジャクソン「Thriller」MV

「Beat It」(ビート・イット/今夜はビート・イット)は、マイケルがジャンルの境界を越えたことを示す重要曲である。ポップ、R&Bを土台にしながら、ロックの鋭さを大胆に取り入れた一曲で、エディ・ヴァン・ヘイレンによるギターソロも強い印象を残している。

この曲の魅力は、対立や暴力から距離を取るメッセージを、説教くさくならずにエネルギッシュな楽曲として成立させている点にある。ストリートの緊張感、ダンスによる対決、ロックとポップの融合。マイケルは「Beat It」によって、黒人音楽、白人ロック、MTV時代の映像表現を横断するスターであることを示した。

【動画】マイケル・ジャクソン「Beat It」MV

「Bad」(バッド)は、『Thriller』後のマイケルが、より鋭く、挑発的なイメージへと踏み出した楽曲である。1987年のアルバム『Bad』の表題曲であり、黒を基調にした衣装、強い目線、短く切り込むダンスによって、親しみやすいポップスターとは異なる姿を打ち出した。

この曲には、自分が何者であるかを示そうとする強い意志がある。タイトルの「Bad」は単に悪いという意味ではなく、ストリート感、強さ、挑発、自己主張を含んだ言葉として響く。マイケルが“世界で最も大きなスター”であり続けるために、自分のイメージを更新しようとした時代を象徴している。

【動画】マイケル・ジャクソン「Bad」MV

ダンスと映像で記憶される名曲-MV時代の表現を変えた作品

「Smooth Criminal」(スムース・クリミナル)は、マイケル・ジャクソンの身体表現のすごさを体感できる代表曲である。白いスーツ、フェドラ帽、鋭いリズム、物語性のある映像。なかでも、身体をまっすぐ保ったまま前方へ傾く“ゼロ・グラヴィティ”の動きは、マイケルのパフォーマンスを象徴する場面として知られている。

楽曲としても、緊迫感のあるビートと断片的な歌詞が、事件現場を切り取ったようなドラマを生んでいる。「Smooth Criminal」は、マイケルが歌手であるだけでなく、キャラクターを演じ、映像世界そのものを設計する表現者だったことを示す一曲である。

【動画】マイケル・ジャクソン「Smooth Criminal」MV

「The Way You Make Me Feel」(ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール)は、『Bad』期のなかでも明るく、軽やかな魅力を持つ楽曲である。跳ねるようなリズム、恋に高揚する歌声、街角を舞台にしたMVの開放感が合わさり、マイケルの親しみやすさが前面に出ている。

『Bad』期のマイケルは、鋭く攻撃的なイメージを強めた一方で、この曲では人懐っこさや遊び心も見せている。歌とダンスが自然に結びつき、恋をする喜びが身体全体からあふれ出すような表現になっている点が魅力である。

【動画】マイケル・ジャクソン「The Way You Make Me Feel」MV

「Black or White」(ブラック・オア・ホワイト)は、1991年のアルバム『Dangerous』を象徴する楽曲である。ロックの要素を取り入れたサウンドと、人種や違いを越えようとするメッセージが結びつき、1990年代のマイケルを代表する一曲となった。

MVでは、世界各地の文化やダンス、顔が次々とつながっていくモーフィング映像が大きな話題を呼んだ。メッセージ性と映像技術を結びつける感覚は、まさにマイケルらしい。『Thriller』や『Bad』で確立した“映像で記憶される音楽”という表現は、この曲でも更新されている。

【動画】マイケル・ジャクソン「Black or White」MV

人間性とメッセージが見える楽曲-スターの内面に近づく

「Man in the Mirror」(マン・イン・ザ・ミラー)は、マイケル・ジャクソンの代表曲のなかでも、特にメッセージ性の強い楽曲である。世界を変えたいなら、まず鏡の中の自分から変わるべきだという考えを、壮大なゴスペル調のサウンドで歌い上げている。

この曲が今も響くのは、単なる理想論ではなく、マイケル自身のスター性と矛盾を含めて聴こえてくるからである。世界中に影響力を持つ存在でありながら、自分自身を変えることから始めようとする。その言葉は、巨大な名声を背負った人物だからこそ、より切実に響く。

【動画】マイケル・ジャクソン「Man in the Mirror」MV

「Human Nature」(ヒューマン・ネイチャー)は、『Thriller』のなかでも静かな魅力を持つ一曲である。都会の夜を漂うようなサウンド、柔らかく伸びるボーカル、説明しすぎない歌詞が、マイケルの繊細な側面を浮かび上がらせている。

派手なダンスや大掛かりなMVの印象が強いマイケルだが、「Human Nature」を聴くと、彼の声そのものが持つ透明感や孤独感に気づかされる。スーパースターとしての輝きの裏にある、ひとりの人間としての揺らぎが感じられる楽曲である。

【動画】マイケル・ジャクソン「Human Nature」MV

「Heal the World」(ヒール・ザ・ワールド)は、1991年の『Dangerous』に収録されたバラードである。子どもたち、平和、世界をより良くすることへの願いを、わかりやすくまっすぐな言葉で表現している。マイケルの人道的なイメージと深く結びついた楽曲でもある。

この曲には、理想主義的すぎると感じられる部分もあるかもしれないが、マイケル・ジャクソンという存在を考えるうえで、その理想主義も重要である。彼は圧倒的なエンターテイナーであると同時に、音楽によって世界に語りかけようとしたアーティストでもあった。

【動画】マイケル・ジャクソン「Heal the World」MV

「I Want You Back」(アイ・ウォント・ユー・バック/帰ってほしいの)は、ジャクソン5時代のマイケルを知るうえで欠かせない楽曲である。1969年に発表され、幼いマイケルの歌声が世界に強い印象を残した。明るいサウンドのなかに、すでに人を引きつける表現力が宿っている。

この曲を聴くと、マイケルの才能が突然『Thriller』で生まれたものではないことがよくわかる。子どもでありながら、リズムの取り方、声の張り、感情の込め方には、後のスター性の原型がある。マイケル・ジャクソンを知るなら、ソロ時代だけでなく、この出発点にも耳を傾けたい。

【動画】ジャクソン5「I Want You Back」ライブ映像

マイケル・ジャクソンの代表曲は、ただ有名だから聴くべきなのではない。それぞれの曲に、彼がポップミュージックをどのように広げたのかが刻まれている。「Billie Jean」には身体表現の革新があり、「Thriller」にはMVを作品に変えた発想があり、「Beat It」にはジャンルを越える力がある。「Man in the Mirror」や「Heal the World」には、スターとして世界に語りかけようとした姿勢も見える。

映画『Michael/マイケル』を見る前にこれらの楽曲を聴いておくと、マイケル・ジャクソンという人物をより立体的に理解できるはずだ。彼はヒット曲を残しただけのアーティストではない。音楽を聴く体験、映像を観る体験、ダンスを見る体験をひとつにつなげ、ポップスターの基準そのものを変えた存在なのである。

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