2028年公開のビートルズ映画でポール・マッカートニーを演じるまで、ポール・メスカルが世間と「距離を置く」理由を語った。
ポール・メスカルが、2028年公開予定のビートルズ映画でポール・マッカートニーを演じるまでの数年間について、静かに過ごしたいという意向を明かした。クロエ・ジャオ監督作『ハムネット』のプロモーションと並行し、新作『The History of Sound(原題)』を携えて英『ガーディアン』紙の取材に応じたメスカルは、今後のキャリアとの向き合い方について率直な思いを語っている。
「みんなも僕から解放される」—距離を取るという選択
ガーディアン紙のインタビューで、今後数年間の活動について問われたメスカルは、「みんなも僕から解放されるし、僕もみんなから解放されるよ」と語った。この言葉は引退や休業を示唆するものではなく、自身のペースを見直す意識の表れだという。
2022年の『aftersun/アフターサン』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、ドラマ『ノーマル・ピープル』で注目を集めて以降、メスカルは短期間で国際的な評価を確立してきた。一方で本人は、「この仕事を始めて5、6年になるけど、とても幸運だと感じているよ」と語りながらも、「でも同時に、このペースでずっと続けていくのは無理だってことも学んでいるんだ」と、現在の心境を明かしている。
インディー映画が求める「心の井戸」
メスカルが現在プロモーションを行っている『The History of Sound(原題)』は、1920年代を舞台に、彼とジョシュ・オコナーがフォークソングを録音しながら旅をするふたりの男性を演じる作品だ。オリバー・ハーマヌス監督によるこのインディー映画について、メスカルは、想像以上に内面を消耗する作品だったと振り返っている。
本人の言葉を借りれば、こうしたインディー作品は「心の井戸から汲み出すものが多い」。派手なアクションや外面的な変化ではなく、感情や記憶と向き合い続ける演技が求められる点で、精神的な負荷は決して小さくないという。
一方でメスカルは、近年主演を務めた『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』のような大作についても触れつつ、自身が最も心地よく感じるのは『The History of Sound(原題)』のような作品だと語っている。同作のために「90キロあった体重を8週間で78キロまで落とさなきゃいけなかったんだ」と明かし、「本当に精神的にきつかったよ」と当時の状態を振り返った。
それでも制作そのものについては否定的ではなく、「あの映画を作るプロセスは大好きだったけど」と語った上で、『The History of Sound(原題)』については「僕にとって故郷のように感じられたんだ」と述べている。
アワードシーズンの先に見据える2028年
アワードシーズンが一区切りを迎えた後、メスカルが次に控えているのは、サム・メンデス監督による2028年公開予定のビートルズ映画だ。この作品で彼は、ポール・マッカートニーを演じる予定となっている。
一方で、リチャード・リンクレイター監督の『Merrily We Roll Along(原題)』への参加も決まっている。ただし同作は、リンクレイター監督の特徴的な制作スタイルから、公開までに少なくとも10年を要する可能性があるとされている。
こうした長期的なプロジェクトを見据える中で、メスカルが語った「みんなも僕から解放されるし、僕もみんなから解放されるよ」という言葉は、表舞台から距離を置く宣言というよりも、次の節目へ向けた準備期間を意識した発言として受け取ることができそうだ。
