『ブリジット・ジョーンズ』のレネー・ゼルウィガーが映画監督デビュー|短編アニメ『They(原題)』が世界初上映で注目集める

レネー・ゼルウィガー NEWS
レネー・ゼルウィガー

レネー・ゼルウィガーが短編アニメ『They』で初監督-社会の分断を描く情熱作。


米女優レネー・ゼルウィガーが初めて監督を務めた短編アニメーション『They』が、現地時間8月16日にエディンバラ国際映画祭でワールドプレミアを迎えた。米『ハリウッド・リポーター』の初インタビューでゼルウィガーは、監督業への思いと作品に込めたメッセージを語っている。

スター女優から監督へ-ゼルウィガーの新たな挑戦

レネーー・ゼルウィガーは『ザ・エージェント』(1996)、『シカゴ』(2002)、そしてジュディ・ガーランドを演じてアカデミー賞主演女優賞を獲得した『ジュディ 虹の彼方に』(2021)などで知られる名俳優だ。多くの観客にとっては、世界的にヒットした『ブリジット・ジョーンズ』シリーズの主人公ブリジット役が最も印象的だろう。

そんなゼルウィガーが、俳優活動の合間に取り組んでいたのが短編アニメーション『They』である。彼女は「監督すること自体が自分の長年の野心だったとは思わない」と語り、監督は自身の長年の目標ではなく、「もし物語を語る必然性を感じたら挑戦してみたいと思っていた」と説明している。

友人との会話から生まれた『They』の着想

『They』の発想は、病気の友人を見舞った際のささやかな時間から生まれたという。ゼルウィガーは「きっかけはただ友人との会話にすぎなかったの。彼女は体調が悪くて、私たちはベッドに座りながら午後のニュースを見ていて…」と振り返る。当時のニュース報道は陰鬱で、付き添っていた介護人ジェロームとともに「現代社会に蔓延する有害性や分断」について語り合った。

ゼルウィガーはそのときのやりとりから、もし日々の社会的不満やネガティブなメッセージが「物理的に目に見える雲」として現れたらどうなるだろう、と想像を膨らませた。「毎日わたしたちが生み出しているこの“汚染”が、もし物理的に目に見える形になったらどうなるだろう?」と語る彼女は、単なる思いつきとして脚本を書き始めたが、それが後に作品の原型となっていった。

リビングから広がった制作-仲間との出会いで拡大

当初、ゼルウィガーが想定していた『They』は「わずか1〜2分の無音モノクロ作品」に過ぎなかった。だが新型コロナウイルスによるパンデミック下で自宅のキッチンから試みを続けるうちに、プロデューサーのトラ・ヤングと再び話す機会を得たことから計画は大きく変わる。ヤングがアニメーションへの強い情熱を持っていたことを思い出し、協力を仰いだのだ。

さらに、アニメーション監督のポール・スミス(YouTubeではアーウィン・サウンダース名義で活動)と出会ったことで、作品は本格的なチーム制作へと進展した。ゼルウィガーは「これはただの楽しみのために始めたの… 人はよく“情熱のプロジェクト”なんて表現するけど、これこそまさにそれ」と語り、あくまで楽しみから始まった試みが、仲間の力を得て“情熱の結晶”へと発展していったことを強調している。

タイトル「They」に込められた社会への視点

『They』というタイトルは、日常会話でよく使われる曖昧な言い回しから着想されている。ゼルウィガーは「会話を終わらせたいときや、自分の意見を補強したいときによく使うクリシェ(陳腐な言い回し)よ。『“彼らは”そうなんだ』『“彼らが”そう言うんだから』みたいなね」と説明し、根拠を示さずに“彼ら”という言葉で責任を押し付けるような表現を指摘した。

しかし彼女は続けて「でも実際には、私たち全員が“彼ら”なの。私たちは皆、この空気を作り出す一部になっている…」と語り、現代社会の分断やネガティブな空気は他人のせいではなく、私たち一人ひとりが加担していることを強調する。作品では、不満や敵意のメッセージが目に見える形で雲となり、人々を覆い尽くす様子を描き出すことで、社会的風刺と同時に“連帯の可能性”を示そうとした。

アニメーションへの情熱-短くとも深い感情を呼び起こす力

ゼルウィガーは大学時代からアニメーションに強い関心を抱いてきた。学生寮の下にあった映画館で開催されるアニメーション映画祭に通い詰めた経験を語り、「ただ大好きなの。アニメーションの伝える力が好きだし、ほんの短い時間でも強い感情を呼び起こせるところが好き」と、短編作品が持つ表現力の大きさを熱弁した。

また、手描き2Dアニメーションという形式にこだわった点についても「本作は手作業で描かれた2Dラインアニメーションで作ってる。私はずっとこの表現が大好きだった」と述べ、デジタル化が進む現代において失われつつある表現手法に光を当てた。彼女はブレイク・エドワーズ作品のタイトルシークエンスやソウル・バスのグラフィックなど、映画史的なビジュアルへのオマージュを作品に込めているという。

今後について問われると「常にアイデアは生まれている。あとはタイミングの問題ね」と答え、次作への構想は既にあり、アニメーションか実写かを問わず可能性を探っていく姿勢を見せた。小さなから始まった本作を作品として結実させた彼女の言葉には、情熱に導かれた新たなキャリアの幕開けが感じられる。

cula をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む