モーガン・フリーマンが無断AI音声使用に改めて苦言。訴訟対応の実情も語った。
モーガン・フリーマンがAI模倣に不快感を表明、法的措置を進める
モーガン・フリーマンが再びAI問題に言及した。The Guardian紙のインタビューで、近年AIが許可なく自身の声を利用しようとするケースが増えているとし、その状況に対する率直な思いを語った。フリーマンは「ちょっと頭にきているんだ」と述べ、「私は他の俳優と同じだよ。偽物で私をマネしないでくれ」と強い不快感をあらわにした。
さらに彼は、こうした模倣行為が自身の職業的価値を損なう行為であると説明する。「そういうのは評価できないし、こういう仕事(演技)によって私はお金をもらっているんだ。だから、私抜きでやるなら、私から盗んでることになるよね」と述べ、無断使用は明確な権利侵害にあたるという認識を示した。
フリーマンは、AIによる無断使用への対応として法務チームが動いていることも明かした。「弁護士たちがすごく、すごく忙しくしているよ」と述べ、本人の知らないところで使用されているAI音声の削除作業が続いているという。弁護士らが見つけた無断利用のケースは「かなりたくさん」あったといい、問題の広がりがうかがえる。
AIが本人不在で声を模倣する行為を改めて明確に否定したフリーマンは、AIの生成技術が進化する中でも、俳優としての権利と報酬は正当に扱われるべきだという姿勢を強調している。
過去にも警鐘を鳴らす―SNSで示した真正性へのこだわり
フリーマンがAI模倣に懸念を示したのは今回が初めてではない。2024年6月にはXに投稿し、彼の声をAIで生成した模倣音声が作られていることをファンが指摘してくれたことに感謝を述べていた。フリーマンは「私の声を真似た無許可のAI音声使用を指摘してくれたすばらしいファンたちに感謝するよ」と記し、無断利用への警戒と支持してくれるファンへの思いを明確に示した。
彼は続けて、ファンによる指摘が「真正性と誠実さを最優先に保つ助けになってる」と記し、俳優としてのアイデンティティを守る重要性を強調した。また投稿には「詐欺」や「個人情報保護」といったハッシュタグが添えられており、AI模倣が単なる技術の問題ではなく、個人の尊厳や安全にも関わる問題として捉えている姿勢がうかがえる。
業界全体で高まる危機感―SAG-AFTRAもAI生成キャラクターに警鐘
フリーマンの発言の背景には、ハリウッド全体でAI技術への懸念が高まっている状況がある。9月には俳優組合SAG-AFTRAが、コンピューター生成女優“ティリー・ノーウッド”の制作について声明を発表し、AIの利用が俳優の権利や生計に及ぼす影響を強く批判した。
声明では「“ティリー・ノーウッド”は俳優ではなく、無数のプロのパフォーマーの作品を基に訓練されたコンピュータープログラムによって生成されたキャラクターです――許可も報酬もなしに」とし、人間の経験や感情を持たないキャラクターを作品に用いることの問題点を指摘。さらに「これは何の『問題』も解決しない――盗まれたパフォーマンスを使って俳優を失業させ、パフォーマーの生計を脅かし、人間の芸術性を貶めるという問題を生み出すものです」と述べ、AI活用が生む新たなリスクに警鐘を鳴らしている。
AIによる模倣や生成が加速する中、俳優の権利保護と業界の倫理基準をどう維持するかが重要な課題となっている。フリーマンの発言は、その議論の最前線に立つ力強い声として位置づけられる。



