『ソーシャル・ネットワーク』続編がついに本格始動。アーロン・ソーキンが脚本・監督を担当。
米ソニー・ピクチャーズが、『ソーシャル・ネットワーク』の続編を企画していることが本格的に報じられた。脚本・監督を務めるのは前作でアカデミー賞脚色賞を受賞したアーロン・ソーキン。続編はFacebook創設の物語を描いた前作とは異なり、2021年にウォール・ストリート・ジャーナルが報じた調査報道「Facebook Files」に着想を得て、SNSが社会に与える影響を掘り下げるという。
続編の構想はいつ始まったのか
『ソーシャル・ネットワーク』続編の可能性は、実は数年前からささやかれていた。2019年、ソーキンは米ヴァニティ・フェア誌のインタビューで「続編に値する物語がFacebookには存在する」と語っており、その時点で構想を抱えていたことがうかがえる。
2020年には、「デヴィッド・フィンチャーが再び監督するのであれば脚本を書きたい」と明言。その後も、Facebookの急速な拡大と倫理的問題に対する世間の関心が高まる中で、続編への期待は静かに高まり続けていた。
決定的な転機となったのは、2021年10月にウォール・ストリート・ジャーナルが連載した「Facebook Files」だ。内部告発者の証言に基づき、Facebookが若者のメンタルヘルスや民主主義に悪影響を及ぼしている可能性があると報じたこのシリーズは、社会的議論を巻き起こし、ソーキンにとっての“物語の核心”となったと見られている。
今作で描かれるのは“成長の暴走”
続編が前作と最も異なるのは、その焦点がFacebookの“成功”ではなく“代償”にある点だ。アーロン・ソーキンは近年のインタビューでたびたびFacebookへの批判を口にしており、とくに2021年1月に発生したアメリカ連邦議会襲撃事件に対して「Facebookに責任がある」と明言している。
ソーキンは、「Facebookには“成長”と“倫理”の間に常に緊張関係があるはずだが、実際には成長しか存在しない」と語る。さらに、「ザッカーバーグがもし、1190億ドルと1200億ドルの違いに意味がないと気づいたなら、もう少し倫理を優先できるはずだ」と皮肉を込めて指摘している。
このように、今作ではSNSの拡大がもたらした社会的損失や、利益追求と倫理的責任のバランスの欠如が主要テーマとなると見られている。Facebookという企業の内側にある“成長の暴走”を、ソーキンならではの緻密な対話劇でどう描くのかが注目される。
キャストや監督の変更点は?
前作でマーク・ザッカーバーグ役を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたジェシー・アイゼンバーグの続投については、現時点では正式な発表がない。しかし、ソーキンの脚本に合わせてキャラクターの継続性を重視するのであれば、アイゼンバーグが再びザッカーバーグを演じる可能性は十分にある。
一方で、前作の監督を務めたデヴィッド・フィンチャーは今回のプロジェクトに参加しておらず、続編はソーキン自身が初めて『ソーシャル・ネットワーク』の監督を兼任することになる。ソーキンはこれまで『モリーズ・ゲーム』『シカゴ7裁判』『愛すべき夫妻の秘密』などで監督を務めており、脚本家としての手腕に加えて演出力も評価されてきた。
プロデューサーにはソーキンに加えて、トッド・ブラック、ピーター・ライス、スチュアート・ベッサーらが名を連ねる。前作とは異なる布陣となるが、脚本家自身がメガホンを取ることで、より明確なテーマ性と語り口が期待される。
文化的影響と現在の意義
『ソーシャル・ネットワーク』は2010年に公開され、アカデミー賞では8部門にノミネートされ、脚色賞・編集賞・作曲賞の3部門で受賞。世界興収は約2億2600万ドルを記録し、批評面でも商業面でも大きな成功を収めた。
しかし、あれから15年が経過し、Facebook(現・Meta)は単なるSNS企業から、世界中の政治・社会・情報流通に影響を及ぼす巨大テック企業へと変貌した。かつて「ハーバードの寮から始まった物語」は、現在では民主主義や人権、メンタルヘルスといったテーマに直結する存在となっている。
その意味で続編は、単なる“あの物語の続き”ではない。社会構造そのものに切り込む現代劇として、新たな文化的意義を持つ作品になりうる。Facebookが築き上げたものと、その影で失われたものをどう描くのか――ソーキンの次なる一手に注目が集まる。



