アレクサンダー・スカルスガルドが語る、オーディションに打ちのめされた若き日の苦悩。
シャワーで泣いた日々-「自分が汚れているように感じた」
映画『ノースマン 導かれし復讐者』やドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』などで知られる俳優アレクサンダー・スカルスガルドが、駆け出しの時代に経験した“屈辱”を振り返った。米ポッドキャスト番組「Dinner’s on Me」に出演した彼は、「オーディションから戻ってシャワーで泣いた」「魂が汚れたように感じた」と、当時の心境を赤裸々に明かしている。
2001年に『ズーランダー』へ出演した後も、彼のキャリアはすぐに軌道に乗ったわけではなかったという。「全く役に合っていないと分かっているのに、断ればエージェントに見捨てられるかもしれない。だから行くしかなかった」と語るスカルスガルドは、役に没入できないままオーディションを受けることに「自信も尊厳も削られていくようだった」と振り返った。
「クビ寸前だった」-不安と焦燥のなかで
オーディションを断れない理由のひとつには、所属エージェントとの関係もあった。スカルスガルドは「いつもクビ寸前だった」と語り、自身の将来が不透明だった時期をこう振り返っている。
「もしこのオーディションを断ったら、たぶんエージェントに切られる。それが怖くて、どれだけ自分に合わなくても行くしかなかった」と話すスカルスガルド。その焦りから、演じる役に対する理解や共感がないまま現場に向かうことも多く、結果として演技にも自信が持てず、自分を責める日々が続いたという。
さらに、スウェーデンの名優である父ステラン・スカルスガルドの存在もまた、無言のプレッシャーとして彼にのしかかっていた。「才能ある家族の中で、自分だけが取り残されているような感覚があった」と、家族との比較に苦しんだことも明かしている。家族-弟ビル・スカルスガルドもまた、『IT/イット “それ”が見えたら終わり。』ペニーワイズ役や『ノスフェラトゥ』でのノスフェラトゥ役で活躍している。
それでも辞めなかった-成功の影にある選択
「最悪の俳優だと思ったし、尊厳もなかった。でも辞めなかった」。スカルスガルドはそう語り、どん底の時期を乗り越えた理由を明確には語らないまでも、「あの頃を思い出すと今でも少しPTSDのようになる」と当時の心の傷の深さをうかがわせた。
キャリアの転機となったのは2008年。HBOのミニシリーズ『ジェネレーション・キル』と、ドラマ『トゥルーブラッド』で相次いで注目を浴び、長年の苦労がようやく報われる形となった。その後は『ビッグ・リトル・ライズ』『ノースマン』『ゴジラvsコング』『メディア王』など、ジャンルを問わず多様な作品に出演し、実力派俳優としての地位を確立している。
華やかに見えるキャリアの裏には、諦める理由がいくつもあった。だがそれでも俳優という道を選び続けた彼の言葉には、ただの成功談ではない、確かな重みがにじんでいる。



