『マトリックス』のネオ役を断ったウィル・スミスが、27年の時を経たパロディ映像が話題に[動画あり]
あの『マトリックス』でキアヌ・リーブスが演じた伝説的なネオ役。1998年、この役を演じる機会を得ながらも断るという判断をしたウィル・スミスが、27年の時を経て、ついに幻の夢を叶えることとなった。
ラッパーのビッグ・ショーンとOBangaとの楽曲「Beautiful Scars」のミュージックビデオで、スミスは赤い錠剤を飲むシーンや「ブレット・タイム」のスタントなど、『マトリックス』の象徴的なシーンを独自の解釈で再現。1999年の大ヒット作『マトリックス』を断った理由と、そこに秘められた興味深いエピソードも明かしている。
『マトリックス』の象徴的シーンをミュージックビデオで完全再現
【動画】Will Smith & Big Sean「Beautiful Scars feat. OBanga」
「Beautiful Scars」のミュージックビデオでは、スミスが『マトリックス』の世界観を忠実に再現している。赤い錠剤を選択するシーン、空中で時間が止まったかのような「ブレット・タイム」、そして緑のデジタルコードが流れる仮想空間でのカンフーバトルまで、映画ファンにはたまらない場面の数々が展開される。これは単なるオマージュを超え、もし27年前にスミスがネオを演じていたら、という「もしも」の世界を垣間見ることができる貴重な映像となっている。
27年前、なぜスミスは伝説の役を断ったのか
5年前に公開された告白動画で、スミスは『マトリックス』を断った当時の状況を赤裸々に語っている。1998年、『メン・イン・ブラック』で成功を収めた直後のことだった。まだ『バウンド』(1996年)しか監督作品のなかったウォシャウスキー姉妹との面会で、スミスは企画の天才性を理解することができなかったという。
「彼女たちは確かに天才だった。でも、当時のピッチミーティングでは…」とスミスは当時を振り返る。ウォシャウスキー姉妹は斬新なアクションシーンの説明に没頭するあまり、肝心のストーリーやキャラクターの魅力を十分に伝えることができなかったという。結果として、スミスは『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(1999年)を選択。残念ながら、この作品は興行的にも評価的にも期待に応えることはできなかった。
なお、もしスミスが出演していれば、映画の様相は大きく変わっていた可能性もあろう。スミスによれば、彼が主演を務めた場合、モーフィアス役はヴァル・キルマーが演じる予定だったという。結果的にキアヌ・リーブスとローレンス・フィッシュバーンのコンビによって完成された『マトリックス』の世界観は、全く異なるものとなっていたかもしれない。
スミスが語る「断って正解だった」という意外な真実
「キアヌは完璧だった。ローレンス・フィッシュバーンも完璧だったよ」とスミスは率直に語る。さらに興味深い視点も提示している。「僕が黒人だったことで、モーフィアス役も変わっていただろうね。結果的に、僕は『マトリックス』をダメにしていたかもしれない。断ったことは、むしろみんなのためだったんだ」という考察は、映画キャスティングにおける人種的バランスという繊細な課題も浮き彫りにしている。
実際、『マトリックス』はキアヌ・リーブス主演で大きな成功を収め、その後『マトリックス リローデッド』(2003年)、『マトリックス レボリューションズ』(同年)、『マトリックス レザレクションズ』(2021年)と、全4作品が製作された。スミスの決断は、結果として映画史に残る傑作の誕生を助けることになったといえるだろう。
スピルバーグの一言で人生が変わった『メン・イン・ブラック』のエピソード
この『マトリックス』との因縁は、スミスのキャリアにおける重要な決断の1つに過ぎない。実は彼は、後に大ヒットとなる『メン・イン・ブラック』(1997年)も一度は断りかけていた。『インデペンデンス・デイ』(1996年)で宇宙人との戦いを描いた直後だったため、「また宇宙人もの?」という懸念があったのだ。
しかし、この時は伝説的な映画監督スティーブン・スピルバーグからの一本の電話で運命が変わることとなる。「今回は自分の頭で考えるのはやめてくれ。私の頭を使ってくれ」というスピルバーグの真摯な言葉に、スミスは心を動かされた。『ジョーズ』の監督として知られるスピルバーグの直感を信じた判断は、後のスミスのキャリアを大きく飛躍させることとなった。
この2つのエピソードは、ハリウッドにおける重要な決断の瞬間を象徴している。時には断ることで思わぬ結果を生み、また時には信頼できる相手の言葉に耳を傾けることで新たな扉が開く。27年の時を経て実現した『マトリックス』パロディは、そんなスミスの華麗なる歴史の1ページを飾る出来事となったのである。
俳優としてのキャリアの中で、受けた役を断るという決断は、時として思わぬ結果をもたらす。ウィル・スミスの『マトリックス』との27年に及ぶ因縁は、ハリウッドにおける決断の重みと、それぞれの役者に合った配役の重要性を示している。今回のミュージックビデオでの「幻のネオ」実現は、映画ファンに新たな視点を提供するとともに、キアヌ・リーブスが演じたオリジナルの価値をあらためて浮き彫りにする結果となった。




