スティーブン・スピルバーグ監督が自身の作品権利を守る転換点を生んだのは、映画『E.T.』だった。
ドリュー・バリモアとの対談で明かされた『E.T.』をめぐる知られざる秘話。1982年の大ヒット作品『E.T.』は、スピルバーグ監督が自身の作品に対する権利を獲得する重要な転機となったことが、1月25日(土)のTCMクラシック映画祭(ニューヨーク)で語られた。
バリモアは当時6歳の子役として、主人公エリオット(演:ヘンリー・トーマス)の妹ガーティを演じている。
続編制作を阻止する権利と、『E.T.』の大ヒット
『E.T.』以前は、スタジオ主導の続編制作を阻止する権利(フリーズ権)を持っていなかったというスピルバーグ監督。しかし、『E.T.』の空前の成功により、以降の作品ではこの権利を確保することに成功したという。
この作品はヘンリー・トーマス、ロバート・マクノートン、ディー・ウォレス、ピーター・コヨーテらが出演し、4つのアカデミー賞を受賞。さらに米国の興行収入で3億ドルを超えた最初の映画となり、90年代に同じスピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』によって記録が更新されるまで、興行収入の最高記録を保持し続けた。
スピルバーグ監督とバリモアの続編に対する見解
スピルバーグ監督は続編について、一時的に検討したことを認めながらも、最終的に制作を見送った経緯を説明。「唯一思いついたのは、原作小説の作者による『グリーン・プラネット』という本のことだった。これはE.T.の故郷が舞台になる話なんだ。みんなでE.T.の家に行って、E.T.がどんな暮らしをしているのか見られる、という内容だった。でも、映画よりも小説の方が良かったと思うよ」と語った。
当時6歳だったバリモアは、8歳の頃に監督から続編を作らない旨を告げられた時のことを「『ああ、残念だけど、よく分かる』って感じだった」と語る。「賢明な選択だと思った。すごくよく理解できたの。この先どうやって展開するの?最初の作品と比較されるだけで、完璧な作品を単体で残しておくのに、批評の的にされることになるでしょ。すごく納得がいったよ」と、子役時代の思い出を振り返った。

『E.T.』のドリュー・バリモア © A UNIVERSAL PICTURE © 1982 UNIVERSAL STUDIOS
『E.T.』がもたらした人生の転機とその意義
『E.T.』は、バリモアとスピルバーグ監督の双方にとって、単なる映画以上の意味を持つ作品となった。
バリモアは自身の2人の娘に作品を見せる際も、特別な思いを抱いているという。「私にとって『E.T.』は最も誇りに思える作品だよ。この作品が私の人生を変えたことは間違いない。ひとりの人間に信じてもらえたことから、私の人生は始まったの。その人生を毎日大切にしようと心がけてる」。
一方のスピルバーグ監督も、この作品での経験が自身の人生観を大きく変えたと語る。「それまでは映画を作ることだけに夢中だった。でも『E.T.』の制作を通じて、初めて父親になりたいと思うようになったんだよ」。この言葉にバリモアは「私のせいでその気持ちを台無しにしなかったって分かって、すごくホッとしてる(笑)」と笑顔で応じた。
スティーヴン・スピルバーグ監督とドリュー・バリモアにとって人生の転機となる作品だった『E.T.』。40年以上前に生まれた監督と子役との縁は、今も変わらず続いているという。



