映画『ストップモーション』が1月17日(金)より日本公開となる。
予告編を見る|『ストップモーション』の衝撃的な世界観
作品概要|母娘の葛藤と表現者の宿命
偉大なストップモーション・アニメーターであるスザンヌ・ブレイクの娘エラは、病により制作が中断された母の作品を完成させようと奮闘する。しかし独力での作業に行き詰まり、偶然出会った謎の少女の力を借りて制作を進めるうち、次第に現実と虚構の壁が崩壊し、精神的に追い詰められていく。

©Bluelight Stopmotion Limited / The British Film Institute 2023
芸術と痛みの関係|表現者の宿命を描く
芸術は人から自然と湧き出るものなのか、それとも痛みや犠牲を伴って生み出さねばならないものなのか。情報過多で、夢追う人も多く、誰もが“何者か”になろうとする現代において、才能だけで認められることの難しさを本作は問いかける。類まれなる能力と、タイミングや運、そのすべてが揃わなければ成功は掴めない時代にあって、主人公エラはそれらに恵まれているようには見えない。

©Bluelight Stopmotion Limited / The British Film Institute 2023
支配的な母のもとで育ち、芸術家として認められてこなかったエラの抑圧された才能は、倫理観の歪んだ表現活動として溢れ出していく。実在すら定かでない謎の少女に突き動かされるまま、過激なアートに没頭していく彼女の中では、現実と虚構の境界線も倫理観も徐々に崩れ、狂気と執着心ばかりが高まっていく。しかし、傍目には悲劇的に映るその展開も、エラの目にはそうは映っていないようだ。そのクレイジーさもまた印象的である。

©Bluelight Stopmotion Limited / The British Film Institute 2023
ストップモーションアニメが描く狂気と神秘
本作の特筆すべき点は、不気味で気持ち悪いのに若干の可愛らしさを否定できない、人形たちの唯一無二のデザインである。ストップモーションアニメを通じて命なき者に生命を吹き込む行為は、擬似の神のような所業といえる。そこにある神聖性・狂気・浮世離れ感・神秘性も見事に描かれている。

©Bluelight Stopmotion Limited / The British Film Institute 2023
深まる解釈|芸術がもたらす代償と狂気
芸術を追求するとき、そこには必然的に犠牲が伴うのだろうか。悪魔に突き動かされるように自分自身を見失って生み出された怪奇な何かは、真に自分のアートと呼べるのだろうか。本作は芸術を生む衝動と、それが周囲からいかにかけ離れていくかを描いた、芸術による人間性の消失を描く衝撃作である。

©Bluelight Stopmotion Limited / The British Film Institute 2023
観る人によって解釈の自由度が高く、何がメッセージなのか、どんなテーマが描かれているのかは観客の受け取り方次第といえる。その意味で本作は、芸術表現の本質とそれがもたらす代償について、深い考察を促す作品となっている。
『ストップモーション』は1月17日(金)より日本公開。今作から何を受け取るか、ぜひご自身の答えを出してみていただきたい。


作品情報

©Bluelight Stopmotion Limited / The British Film Institute 2023
<STORY>
偉大なストップモーション・アニメーターであるスザンヌ・ブレイクの愛娘エラは、母の病により中断された作品を完成させようと奮闘する。しかし、独力では作業が進まず、偶然出会った謎の少女の力を借りながら制作を進めるが、次第に現実と虚構の壁が崩壊し精神的に追い詰められていく…。
原題:Stopmotion
監督・脚本:ロバート・モーガン
出演:アシュリン・フランチオージ、トム・ヨーク、ケイリン・スプリンゴール、セリカ・ウィルソン・リード、ステラ・ゴネット
2023年|イギリス|英語|93分|16:9|5.1ch|カラー|PG-12
©Bluelight Stopmotion Limited / The British Film Institute 2023
配給:スターキャット
公式サイト:cinema.starcat.co.jp/stopmotion



