『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)を紹介&解説。


映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』概要

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は、トム・ハーディ主演『ヴェノム』の続編となるSFヒーローアクション。アンディ・サーキス(『モーグリ:ジャングルの伝説』)が監督を務め、前作以上にエディ・ブロックとヴェノムの奇妙な共同生活と凸凹コンビぶりを前面へ押し出している。猟奇殺人を繰り返してきた死刑囚クレタス・キャサディが凶悪なシンビオート“カーネイジ”へと変貌し、エディとヴェノムに襲いかかる。

主演のトム・ハーディに加え、ウディ・ハレルソンミシェル・ウィリアムズナオミ・ハリススティーヴン・グレアムらが出演する。

作品情報

日本版タイトル 『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』
原題 Venom: Let There Be Carnage
製作年 2021年
本国公開日 2021年10月1日
日本公開日 2021年12月3日
ジャンル アクション/ヒーローSF
製作国 アメリカ
原作 マーベル・コミックのキャラクター「ヴェノム」「カーネイジ」ほか
上映時間 98分
監督 アンディ・サーキス
脚本 ケリー・マーセル
製作 アヴィ・アラッド/マット・トルマック/エイミー・パスカル/ケリー・マーセル/トム・ハーディ/ハッチ・パーカー
製作総指揮 ルーベン・フライシャー/ジョナサン・カヴェンディッシュ/バリー・H・ウォルドマン
撮影 ロバート・リチャードソン
編集 メリアン・ブランドン/スタン・サルファス
作曲 マルコ・ベルトラミ
出演 トム・ハーディウディ・ハレルソンミシェル・ウィリアムズ/ナオミ・ハリス/リード・スコット/スティーヴン・グレアム/ペギー・ルーほか
製作 コロンビア・ピクチャーズ/マーベル・エンターテインメント/アヴィ・アラッド・プロダクションズ/マット・トルマック・プロダクションズ/パスカル・ピクチャーズ
配給 ソニー・ピクチャーズ

あらすじ

地球外生命体ヴェノムと一つの身体で暮らすようになったジャーナリスト、エディ・ブロック。ヴェノムは「悪人以外を食べない」という約束に不満を募らせ、エディもまた自由奔放なヴェノムに振り回され、ふたりの共同生活は喧嘩の絶えない毎日となっていた。

そんなエディのもとへ、連続猟奇殺人事件で死刑判決を受けたクレタス・キャサディから取材の依頼が舞い込む。エディに異常な執着を見せるクレタスは、面会中に彼の腕へ噛みつき、体内に存在するシンビオートを取り込んでしまう。

やがて死刑執行の瞬間、クレタスの中から赤いシンビオート“カーネイジ”が覚醒。圧倒的な力で刑務所を破壊して脱走したクレタスは、かつて引き離されたフランシス・バリソン=シュリークとの再会を目指し、エディとヴェノムを巻き込む惨劇を引き起こしていく。

主な登場人物(キャスト)

エディ・ブロック/ヴェノム(トム・ハーディ):ヴェノムと共生するジャーナリスト。互いに必要な存在でありながら性格も価値観も正反対で、食事から仕事まであらゆることで衝突している。連続殺人鬼クレタスへの取材をきっかけに、新たなシンビオート事件へ巻き込まれる。

クレタス・キャサディ/カーネイジ(ウディ・ハレルソン):多数の殺人を犯した死刑囚。エディに強い興味を抱き、面会中に彼の血を口にしたことでシンビオートと融合。ヴェノムを上回るほど巨大で凶暴なカーネイジへ変貌する。

アン・ウェイング(ミシェル・ウィリアムズ):エディの元恋人。現在はダンと交際しているが、エディとヴェノムの関係を理解する数少ない人物でもあり、カーネイジとの戦いへ再び関わっていく。

フランシス・バリソン/シュリーク(ナオミ・ハリス):特殊な音波を発する能力を持つ女性。若い頃からクレタスと強い絆で結ばれており、長年隔離施設へ収容されている。クレタスの脱走をきっかけに再会を果たす。

パトリック・マリガン(スティーヴン・グレアム):クレタスが起こした過去の事件を追う刑事。エディがクレタスから重要な情報を引き出していることに疑問を持ち、その背後を探ろうとする。

作品の魅力解説・レビュー

前作の路線を迷わず推し進めた“エディ&ヴェノム”の凸凹コンビ映画

前作『ヴェノム』は“最凶のダークヒーロー”を期待すると、実際にはエディとヴェノムの妙に仲の良いバディ映画だったことに戸惑いも残る作品だった。

第2作はそのギャップを修正するのではなく、むしろエディとヴェノムの凸凹コンビこそシリーズの魅力だと割り切っている。

食生活を巡って口論し、部屋を壊しながら喧嘩し、それでも離れれば互いの存在が気になる。人間と宇宙生命体でありながら、その関係は同居生活に疲れた友人やカップルのよう。安定の凸凹コンビぶりで、巨大なモンスターであるヴェノムが妙に可愛く見えてくる。

カーネイジ登場でシンビオート・バトルは前作以上にパワーアップ

アクション面で大きな見どころになるのが、タイトル通りカーネイジの登場。

ヴェノムより巨大で、全身から無数の触手や武器を伸ばす赤いシンビオートが、周囲の建物や物体を容赦なく破壊する。シンビオート同士が身体を自在に変形させながら激突する戦闘は、前作以上に派手になった。

物語そのものは複雑ではないが、ヴェノム対カーネイジという分かりやすい対決構図のおかげで、クリーチャーアクション映画としての見せ場は明確になっている。

ウディ・ハレルソンの殺人鬼と、ナオミ・ハリスのシュリーク

カーネイジの宿主クレタスがエディと大きく違うのは、もともと残酷な連続殺人鬼であること。人間側にも強烈な暴力性を持たせることで、クレタスとカーネイジの組み合わせにはエディ&ヴェノムとは異なる危険性が生まれた。

ウディ・ハレルソンは不気味さとコミカルさが混ざったクレタスを楽しげに演じ、カーネイジ覚醒後の容赦ない暴れっぷりも映画のテンションを押し上げる。

さらにナオミ・ハリス演じるシュリークも印象的。特殊能力だけでなく、派手な衣装やメイクを含めてアメコミヴィランらしいビジュアルが作られており、クレタスとの組み合わせで本作ならではの悪役コンビを形成している。

アンにも見せ場を用意し、シリーズのアンサンブルを継続

前作から引き続き、ミシェル・ウィリアムズ演じるアンも単なる元恋人という位置には収まらない。

エディとヴェノムの事情をすでに知っているからこそ、ふたりの奇妙な関係にも臆せず踏み込み、クライマックスでも物語へ積極的に関わる。ヴェノムだけではなく、エディ、アン、ダン、チェンといった人間側のキャラクターがこの異常な状況にすっかり慣れていることも、シリーズ独特のユーモアにつながっている。

98分で駆け抜ける一方、人物ドラマや物語の厚みは薄い

前作より上映時間を絞り、約98分で一気に進むテンポの良さは本作の特徴。設定説明を延々と積み重ねず、エディとヴェノムの喧嘩、クレタスの覚醒、カーネイジとの戦いへ次々と進んでいく。

反面、クレタスとフランシスの過去や、新たなシンビオートであるカーネイジそのものを深く掘り下げる余裕は少ない。人物ドラマの密度を期待すると物足りなさがあり、批評家評価が伸び悩んだのも理解できる。

それでも、エディ&ヴェノムの掛け合いと巨大クリーチャー同士のド派手な戦闘を短時間で楽しませるという目的は明快。前作で偶然生まれたようにも見えた“可愛いヴェノム”路線を完全にシリーズの個性として定着させた続編だ。

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