映画『テルマ&ルイーズ』(1991)を紹介&解説。
映画『テルマ&ルイーズ』概要
映画『テルマ&ルイーズ』は、リドリー・スコット監督が、平凡な日常から抜け出したふたりの女性の逃避行を描くロードムービー。週末の小旅行に出た主婦テルマとウェイトレスのルイーズは、思いがけない事件をきっかけに警察から追われる立場となり、アメリカ南西部を車で走り続ける。主演はスーザン・サランドンとジーナ・デイヴィス。共演にハーヴェイ・カイテル、マイケル・マドセン、ブラッド・ピットら。女性の友情、自立、抑圧からの解放を力強く描き、アカデミー賞脚本賞を受賞した作品としても知られる。
作品情報
日本版タイトル:『テルマ&ルイーズ』
原題:Thelma & Louise
製作年:1991年
本国公開日:1991年5月24日
日本公開日:1991年10月19日
ジャンル:ドラマ/アドベンチャー/ロードムービー
製作国:アメリカ
原作:無
上映時間:128分
監督:リドリー・スコット
脚本:カーリー・クーリ
製作:リドリー・スコット/ミミ・ポーク
撮影:エイドリアン・ビドル
編集:トム・ノーブル
作曲:ハンス・ジマー
出演:スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス/ハーヴェイ・カイテル/マイケル・マドセン/クリストファー・マクドナルド/ブラッド・ピット/ティモシー・カーハート
製作:パテ・エンターテインメント/パーシー・メイン・プロダクションズ/スター・パートナーズIII
配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(米国)/松竹富士(日本)
あらすじ
アーカンソーで暮らす主婦テルマと、ウェイトレスとして働く親友ルイーズは、日常から離れるため週末のドライブ旅行に出る。だが、途中で立ち寄ったバーでテルマが男に襲われ、助けに入ったルイーズが発砲したことから、ふたりは警察に追われる身となる。逃避行の中で、テルマとルイーズは互いの絆を深めながら、自分たちを縛ってきたものと向き合っていく。
主な登場人物(キャスト)
ルイーズ・エリザベス・ソーヤー(スーザン・サランドン):アーカンソーのダイナーで働くウェイトレス。冷静で現実的な性格だが、テルマを守ろうとした行動をきっかけに、後戻りできない逃避行へ踏み出す。
テルマ・ディキンソン(ジーナ・デイヴィス):支配的な夫との生活に息苦しさを抱える主婦。ルイーズとの旅を通じて、受け身だった自分から少しずつ変化し、自らの意思で行動する強さを見いだしていく。
ハル・スローカム(ハーヴェイ・カイテル):テルマとルイーズを追う刑事。ふたりを単なる犯罪者として扱うのではなく、事件の背景や彼女たちの心理に理解を示し、投降を促そうとする。
ジミー(マイケル・マドセン):ルイーズの恋人。自由を求めて逃げるルイーズにとって、過去の生活や安定した関係を象徴する存在でもある。
ダリル・ディキンソン(クリストファー・マクドナルド):テルマの夫。テルマを軽んじ、家庭内で彼女を抑圧してきた人物として描かれる。
ジェイディー(ブラッド・ピット):旅の途中でテルマと出会う若い男。魅力的で軽やかな存在として登場するが、ふたりの逃避行に新たな波乱をもたらす。
ハーラン・パケット(ティモシー・カーハート):バーでテルマに近づく男。彼の暴力的な行動が、テルマとルイーズの運命を大きく変える事件の引き金となる。
作品の魅力解説
本作の大きな魅力は、犯罪逃避行というジャンル映画の枠組みを使いながら、女性ふたりの友情と自立を鮮烈に描いている点にある。テルマとルイーズは、社会や家庭の中で抑え込まれてきた感情を抱えたまま旅に出るが、道中で直面する危機を通して、自分の人生を自分で選び取ろうとする姿へ変化していく。
リドリー・スコット監督による映像も印象的で、アメリカ南西部の広大な風景や、フォード・サンダーバードで荒野を走るショットが、ふたりの解放感と追い詰められていく緊張感を同時に際立たせている。ハンス・ジマーの音楽も、ロードムービーとしての開放感と、物語に漂う切なさを支える重要な要素である。
また、スーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスの演技は、対照的なふたりの性格を鮮明にしながら、次第に強く結びついていく関係性を説得力あるものにしている。ハーヴェイ・カイテル、マイケル・マドセンら脇を固める俳優陣に加え、若き日のブラッド・ピットが出演している点も見どころのひとつだ。
公開当時、本作は女性像や暴力の描き方をめぐって議論を呼びながらも、アカデミー賞脚本賞を受賞し、のちにアメリカ国立フィルム登録簿にも選出された。単なる逃避行の物語ではなく、友情、怒り、自由、自己決定をめぐる作品として、現在も語り継がれている。
