『サイレン FORBIDDEN SIREN』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

映画『サイレン FORBIDDEN SIREN』(2006)を紹介&解説。


映画『サイレン FORBIDDEN SIREN』概要

映画『サイレン FORBIDDEN SIREN』は、PlayStation 2用ホラーゲーム『SIREN』シリーズの世界観を基に、堤幸彦監督(『ケイゾク』『トリック』シリーズ)が手がけたサウンド・サイコ・スリラー。

『SIREN2』と同じ孤島を舞台に、「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」という掟、他者の視界をのぞく“幻視”、島に根づいた奇妙な信仰など、ゲームを象徴する要素を取り入れながら、映画独自の登場人物と物語によるパラレルワールドが構築されている。

弟の療養のため、父親とともに夜美島へ移り住んだ少女が、島民の不可解な言動とサイレンにまつわる怪異に巻き込まれていく。主演は本作が映画初主演となった市川由衣。共演に森本レオ田中直樹阿部寛西田尚美ら。

作品情報

日本版タイトル 『サイレン FORBIDDEN SIREN』
英題 Forbidden Siren
製作年 2006年
日本公開日 2006年2月11日
ジャンル ホラーサスペンス/ミステリー
製作国 日本
原作・世界観 PlayStation 2用ゲーム『SIREN』シリーズ(主に『SIREN2』の世界観をベースとしたパラレルワールド)
上映時間 87分
映倫区分 G
監督 堤幸彦
脚本 高山直也
企画 山内章弘/川村元気
プロデューサー 阿部謙三/長澤佳也
製作総指揮 市川南/梅沢道彦/春名慶/釜秀樹
撮影 唐沢悟
照明 木村明生
美術 相馬直樹
編集 伊藤伸行
音楽 蓜島邦明
エンディングテーマ 石野卓球「SIREN」
出演 市川由衣/森本レオ/田中直樹/阿部寛/西田尚美/松尾スズキ/嶋田久作/高橋真唯/西山潤
製作 映画「サイレン」製作委員会
配給 東宝

あらすじ

1976年、嵐に見舞われた孤島・夜美島で、謎のサイレンとともに島民全員が姿を消す事件が発生した。島内で発見されたのは、正気を失い、「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」と繰り返すひとりの男性だけだった。

事件から29年後。天本由貴は、病弱な弟・英夫の転地療養のため、フリーライターの父・真一とともに夜美島へ引っ越してくる。島民たちのよそよそしい態度に戸惑う由貴は、隣人の里美から「夜は出歩かない」「森の鉄塔には近づかない」、そして「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」と警告される。

やがて島中に不気味なサイレンが響き、外出した父と弟の様子にも異変が現れ始める。誰を信じるべきか分からない状況に追い込まれた由貴は、弟を守りながら、島で起きている怪異と29年前の失踪事件の真相を追う。

主な登場人物(キャスト)

天本由貴(市川由衣):本作の主人公。病弱な弟・英夫の療養のため、父親とともに夜美島へ移り住む。島民の態度や奇妙な掟に不信感を抱き、サイレンが鳴り響く中で弟を守ろうと奔走する。

天本真一(森本レオ):由貴と英夫の父親。雑誌「アトランティス」のフリーライターでもあり、息子の療養を目的に夜美島へ引っ越してくる。島について調べるうちに消息を絶ち、戻ってきた後は様子が変わっていく。

天本英夫(西山潤):由貴の弟。身体が弱く、転地療養のため夜美島で暮らすことになる。由貴が何よりも大切にしており、その存在が彼女の行動を大きく左右する。

南田豊(田中直樹):夜美島の診療所に勤務する医師。英夫の担当医として天本家を迎え、島での生活を支える。閉鎖的な島民の中では比較的友好的に見える人物。

土田圭(阿部寛):1976年に発生した全島民失踪事件における唯一の生存者。正気を失った状態で発見され、「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」という言葉を残す。

里美(西田尚美):天本家の隣に住む女性。由貴たちの引っ越しを手伝う一方、「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」と不穏な警告を与える。

東(松尾スズキ):夜美島で暮らす謎めいた男性。島に伝わる儀式や信仰との関係をうかがわせる言動を見せる。

山中巡査(嶋田久作):夜美島を担当する警察官。島民やサイレンに疑念を抱く由貴と接触するが、その真意は容易には読み取れない。

謎の赤い服の少女(高橋真唯):由貴の前にたびたび現れる少女。ゲーム版と映画版の双方に登場し、夜美島の謎を象徴する存在となっている。

作品の魅力解説

サイレンという“音”だけで成立する不穏さ

本作が最も効果的に利用しているのは、タイトルにもなっているサイレンの音そのものが持つ恐怖だ。

島全体に鳴り響く機械的な警報音は、何が起こるのかを具体的に説明しないまま、日常が終わる合図として機能する。「鳴ったら外に出てはならない」という単純な掟も、理由が明かされないからこそ不安を増幅させる。台風の音、島民のうめき声、不自然な静寂も組み合わされ、視覚的なショックより先に耳から危険を感じさせるホラーとなっている。

八丈島ロケが生んだ湿度と閉塞感

夜美島の場面は主に八丈島で撮影されており、鬱蒼とした森、湿った地面、古びた建物、海に囲まれた集落が、逃げ場のない孤島の感覚を作り出している。

薄暗く濁った照明や、じめじめとしたロケーションの質感も印象的だ。美しい自然が広がっているにもかかわらず、画面の隅々から何かが潜んでいるような居心地の悪さが漂う。孤立した村の掟や土着の信仰といった要素も含め、日本的なフォークホラーを思わせる雰囲気は本作の明確な長所といえる。

自分と他人のどちらを信じるべきか分からない恐怖

外部との行き来が限られた島で、由貴はよそ者を見る島民の視線にさらされる。父親や弟にも異変が現れるため、家族さえ安全とは言い切れない。一方で、由貴自身が見ているものがすべて事実なのかという疑問も、次第に物語へ入り込んでくる。

自分を信じるべきなのか、周囲の人間を信じるべきなのか分からないという心理的な揺らぎが、孤島という環境によって強められている。島民が特定の方向へ向ける視線や、画面に断片的に挿入される“幻視”も、観客の認識を不安定にする仕掛けだ。

ゲーム未経験者と原作ファンで印象が変わりやすい

本作は『SIREN2』の物語をそのまま再現した映画ではないようだ。ゲーム版のスタッフも脚本段階から参加しているが、同じ舞台や設定の一部を使った映画独自のパラレルワールドとして製作された。

そのため、ゲーム未経験でも単独の孤島ホラーとして鑑賞できる。一方、ゲーム版を知っていれば“幻視”、赤い服の少女、赤い海、異形化する島民などのモチーフを発見できる反面、ゲーム特有の複雑な群像劇や「屍人」の恐怖を本格的に期待すると、物語の違いに不満を感じるとの声も見られる。

ゲームを知っていれば必ず面白くなる、あるいは必ず批判的になるというより、映画独自の解釈として割り切れるかどうかが評価を分ける作品だろう。

雰囲気は強いが、物語の緩急には弱さもある

サイレン、島の掟、失踪事件、謎の鉄塔といった素材には強い引力があり、前半の不穏な雰囲気づくりはよくできている。しかし、謎を小出しにしながら由貴が島内を移動する展開が長く続くため、中盤以降は物語の速度が単調に感じられやすい。

終盤には複数の真相が重なる構成が用意されているものの、そこへ至るまでの緩急や怪異の見せ場が十分とはいえず、物語全体のインパクトは題材の強さに追いついていない。音響、照明、ロケーションによる雰囲気は魅力的だが、ドラマや恐怖の展開にはもう一段階の起伏が欲しかったという印象が残る。

cula をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む