映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)を紹介&解説。
映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』概要
映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、マーベル・スタジオが贈る「アベンジャーズ」シリーズ第3作。アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルクらおなじみのヒーローに加え、ドクター・ストレンジ、スパイダーマン、ブラックパンサー、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々も集結し、全宇宙の命運を左右するインフィニティ・ストーンを狙うサノスに立ち向かう。監督はアンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ、出演はロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、ジョシュ・ブローリンら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』 |
|---|---|
| 原題 | Avengers: Infinity War |
| 製作年 | 2018年 |
| 本国公開日 | 2018年4月27日 |
| 日本公開日 | 2018年4月27日 |
| ジャンル | スーパーヒーロー/アクション/SF/アドベンチャー |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | マーベル・コミック |
| 上映時間 | 149分 |
| 前作(アベンジャーズ) | 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015) |
| 前作(MCU) | 『ブラックパンサー』 |
| 次作(アベンジャーズ) | 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) |
| 次作(MCU) | 『アントマン&ワスプ』 |
| 監督 | アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ |
|---|---|
| 脚本 | クリストファー・マルクス/スティーヴン・マクフィーリー |
| 製作 | ケヴィン・ファイギ |
| 製作総指揮 | ルイス・デスポジート/ヴィクトリア・アロンソ/マイケル・グリロ/トリン・トラン/ジョン・ファヴロー/ジェームズ・ガン/スタン・リー |
| 撮影 | トレント・オパロック |
| 編集 | ジェフリー・フォード/マシュー・シュミット |
| 作曲 | アラン・シルヴェストリ |
| 出演 | ロバート・ダウニー・Jr/クリス・ヘムズワース/マーク・ラファロ/クリス・エヴァンス/スカーレット・ヨハンソン/ベネディクト・カンバーバッチ/ドン・チードル/トム・ホランド/チャドウィック・ボーズマン/ポール・ベタニー/エリザベス・オルセン/アンソニー・マッキー/セバスチャン・スタン/クリス・プラット/ゾーイ・サルダナ/デイヴ・バウティスタ/ブラッドリー・クーパー/ヴィン・ディーゼル/ポム・クレメンティエフ/ジョシュ・ブローリン |
| 製作 | マーベル・スタジオ |
| 配給 | ウォルト・ディズニー |
あらすじ
全宇宙を脅かす強大な敵サノスは、6つすべてを集めれば現実そのものを変える力を得るインフィニティ・ストーンを狙って動き出す。アベンジャーズは地球、宇宙、ワカンダなど各地で分断されながらも、サノスの野望を止めるために立ち上がる。アイアンマン、ドクター・ストレンジ、スパイダーマンは宇宙へ、キャプテン・アメリカたちはワカンダへと向かい、かつてない規模の戦いが始まる。
主な登場人物(キャスト)
トニー・スターク/アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr):天才発明家にしてアベンジャーズの中心人物のひとり。ニューヨークに現れた脅威を前に、ドクター・ストレンジやスパイダーマンと行動を共にし、宇宙規模の戦いへ巻き込まれていく。
ソー(クリス・ヘムズワース):アスガルドの王子。サノスの襲撃によって深い喪失を経験しながらも、新たな武器を求め、戦況を変えるための旅に出る。
ブルース・バナー/ハルク(マーク・ラファロ):サノスの脅威を地球に伝える科学者。ハルクとの関係に異変を抱えながら、アベンジャーズに迫る危機を知らせる役割を担う。
スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス):かつてアベンジャーズを率いた伝説の兵士。仲間たちと離れて行動していたが、サノスの侵攻を前に再び戦線へ戻り、ワカンダでの防衛戦に臨む。
ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン):高い戦闘能力と判断力を持つ元スパイ。スティーブやサムらと共に行動し、地球側の戦いを支える。
スティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ):タイム・ストーンを守る魔術師。ストーンを狙うサノスの配下に襲われ、トニーやピーターと共に宇宙へ向かうことになる。
ピーター・パーカー/スパイダーマン(トム・ホランド):ニューヨークの若きヒーロー。トニーを助けるため危険な戦いに飛び込み、宇宙での決戦にも参加する。
ティ・チャラ/ブラックパンサー(チャドウィック・ボーズマン):ワカンダ国王にしてブラックパンサー。ヴィジョンを守るため、ワカンダの技術と戦士たちを結集し、サノス軍を迎え撃つ。
ガモーラ(ゾーイ・サルダナ):サノスの養女であり、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの一員。サノスの計画と過去を知る人物として、物語の核心に深く関わる。
ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)、ドラックス(デイヴ・バウティスタ)、ロケット・ラクーン(ブラッドリー・クーパー)、グルート(ヴィン・ディーゼル)、マンティス(ポム・クレメンティエフ):ガモーラ擁する“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”のメンバー。宇宙でソーと出会い、サノスを止める戦いへ加わる。
ヴィジョン(ポール・ベタニー):額にマインド・ストーンを宿す存在。サノスに狙われる立場となり、ワンダやアベンジャーズは彼を守るために動く。
ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン):強大な念動力を持つヒーロー。ヴィジョンとの関係を抱えながら、過酷な選択を迫られていく。
サノス(ジョシュ・ブローリン):全宇宙の均衡を自らの思想で実現しようとする最凶の敵。インフィニティ・ストーンを集めるため、圧倒的な力でヒーローたちの前に立ちはだかる。
作品の魅力解説
本作の大きな魅力は、MCU10年の積み重ねをひとつの巨大な物語へ収束させている点にある。アイアンマンから始まったシリーズの主要ヒーローたちが次々に交差し、単独作で築かれてきた人間関係や因縁が、サノスとの戦いの中で一気に動き出す。
もうひとつの見どころは、サノスを単なる悪役ではなく、強烈な信念を持つ脅威として描いていること。ヒーローたちが主役でありながら、物語の推進力はサノスの行動にあり、彼がインフィニティ・ストーンを集めていく過程そのものが大きな緊張感を生み出している。
さらに、地球、宇宙、ワカンダをまたぐスケールの大きなアクションも本作ならでは。ヒーロー同士の意外な組み合わせ、チームごとに異なる戦い方、そして後の『アベンジャーズ/エンドゲーム』へ直結する衝撃的な展開によって、シリーズの転換点となる一本に仕上がっている。
ストーリー解説(ネタバレ)
サノスの襲撃から物語は始まる
物語は、前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』の直後から始まる。アスガルドを失い、民を乗せて宇宙を漂っていたソーたちの船は、すでにインフィニティ・ストーンのひとつであるパワー・ストーンを手に入れたサノスの襲撃を受けていた。
船内は壊滅状態で、ソーはサノスに敗れ、ロキ、ヘイムダル、ハルクも追い詰められている。サノスの目的は、ロキが持っていたテッセラクトの中にあるスペース・ストーンだった。ロキは一度は忠誠を装いながらも、最後にサノスへ刃を向ける。しかしその抵抗は通じず、サノスはロキを殺害する。
ヘイムダルは最後の力を振り絞り、ビフレストでハルクを地球へ送る。直後、サノスはスペース・ストーンを手に入れ、船を破壊する。ソーは宇宙空間へ投げ出され、物語は冒頭からヒーロー側の完全な敗北を突きつける形で幕を開ける。
ハルクが地球へ落下し、サノスの脅威が伝えられる
地球に送られたハルクは、ニューヨークのサンクタム・サンクトラムへ墜落する。ブルース・バナーの姿に戻った彼は、ドクター・ストレンジとウォンに、サノスがインフィニティ・ストーンを集めていること、そして全宇宙の生命の半分を消し去ろうとしていることを伝える。
ストレンジは事態の深刻さを理解し、トニー・スタークを呼び出す。トニーはペッパー・ポッツとの将来を考え始めていたが、そこへブルースが現れたことで、かつてのアベンジャーズの問題と宇宙規模の危機が一気に戻ってくる。
この時点で、地球にはすでにタイム・ストーンがあり、さらにヴィジョンの額にはマインド・ストーンが埋め込まれている。サノスの狙いは、もはや遠い宇宙の話ではなく、地球そのものに直結していた。
ニューヨークにサノスの配下が現れる
トニー、ストレンジ、ウォン、ブルースが話している最中、ニューヨークに巨大な宇宙船が出現する。サノスの配下であるエボニー・マウとカル・オブシディアンが、タイム・ストーンを奪うために地球へやって来たのだ。
トニーは新型のナノテク・スーツをまとい、ドクター・ストレンジは魔術で応戦する。ブルースもハルクになろうとするが、冒頭でサノスに圧倒されたハルクは表へ出てこようとしない。この異変により、ブルースは戦闘の主力になれず、ヒーロー側は苦しい状況に置かれる。
一方、近くのスクールバスに乗っていたピーター・パーカーは異変に気づき、スパイダーマンとして戦いに加わる。ニューヨークの戦闘は、トニー、ストレンジ、ピーターが初めて本格的に同じ戦場に立つ場面でもあり、MCUのヒーローたちが一気に交差していく。
ドクター・ストレンジが連れ去られ、トニーとピーターは宇宙へ
エボニー・マウは強力な念動力でストレンジを拘束し、タイム・ストーンを奪うために彼を宇宙船へ連れ去る。トニーはストレンジを救うため船に乗り込み、ピーターも彼を追って宇宙船にしがみつく。
ピーターは宇宙空間で命の危機に陥るが、トニーが用意していた新スーツ、アイアン・スパイダーによって救われる。トニーはピーターを地球へ帰そうとするが、ピーターは船に残り、ストレンジ救出に協力することになる。
船内でトニーとピーターは作戦を立て、エボニー・マウを宇宙空間へ放り出す形で撃退する。ストレンジは救出されるが、船はすでに地球を離れていた。地球へ戻るか、サノスの本拠地へ向かうかという選択の中で、トニーは敵の動きを待つのではなく、こちらからサノスへ近づく道を選ぶ。
ガーディアンズがソーを発見する
一方、宇宙ではガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々が救難信号を受け、破壊されたアスガルドの船の残骸へ向かう。そこで彼らは、宇宙空間を漂っていたソーを発見する。
ソーはサノスの襲撃でロキとヘイムダルを失い、深い怒りと悲しみを抱えていた。ガーディアンズに救助された彼は、サノスがすでにパワー・ストーンとスペース・ストーンを持っていることを明かす。そして、サノスを倒すには、失われたムジョルニアに代わる新たな武器が必要だと考える。
ソーはロケットとグルートを連れ、強力な武器を作るためにニダベリアへ向かう。一方、スター・ロード、ガモーラ、ドラックス、マンティスは、サノスが次にリアリティ・ストーンを狙うと考え、コレクターのいるノーウェアへ向かう。
ヴィジョンとワンダも襲撃される
地球では、ヴィジョンとワンダ・マキシモフが人目を避けて共に過ごしていた。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』以降、アベンジャーズは分裂状態にあり、ふたりもまた表舞台から離れて暮らしていた。
しかし、ヴィジョンの額にあるマインド・ストーンを狙い、サノスの配下プロキシマ・ミッドナイトとコーヴァス・グレイヴが現れる。ヴィジョンは不意を突かれて重傷を負い、ワンダも苦戦を強いられる。
そこへ現れるのが、スティーブ・ロジャース、ナターシャ・ロマノフ、サム・ウィルソンだ。彼らは身を隠して活動していたが、仲間の危機を前に再び戦場へ戻ってくる。スティーブたちはワンダとヴィジョンを救出し、ローディのいるアベンジャーズ施設へ向かう。
分裂していたアベンジャーズが再び集まり始める
アベンジャーズ施設では、ローディが政府側の命令と現場の判断の間で板挟みになっている。そこへスティーブたちが戻り、ブルースとも再会する。『シビル・ウォー』でチームが決裂して以降、彼らは長く別々の道を歩んでいたが、サノスの脅威は個々の事情を超えるものだった。
ヴィジョンの額にあるマインド・ストーンを破壊すれば、サノスが全てのストーンをそろえることは防げる。しかしそれは、ヴィジョンの命を奪う可能性が高い選択でもある。ワンダはその選択を受け入れられず、スティーブも「命を犠牲にしない方法」を探そうとする。
その結果、彼らはワカンダへ向かうことを決める。ワカンダの高度な科学技術なら、ヴィジョンを殺さずにマインド・ストーンを切り離せるかもしれないからだ。ここで地球側の物語は、ワカンダでの防衛戦へ向けて動き出す。
ノーウェアでガモーラがサノスと再会する
スター・ロードたちは、リアリティ・ストーンを保管していたコレクターのもとへ向かう。しかしノーウェアに到着した時点で、サノスはすでにリアリティ・ストーンを手に入れていた。ガーディアンズが見ていた光景そのものが、サノスの作り出した幻だったのだ。
ガモーラは一度、サノスを倒したかのように見えるが、それもリアリティ・ストーンによる偽装だった。サノスはガモーラの前に姿を現し、彼女を連れ去る。スター・ロードは、かつてガモーラと交わした約束に従い、彼女をサノスに渡さないために撃とうとするが、サノスはリアリティ・ストーンの力でそれを無力化する。
この場面で、ガモーラが単なるガーディアンズの一員ではなく、サノスの「娘」として最も深く彼の過去と目的を知る人物であることが強調される。サノスにとっても、ガモーラはただの手駒ではなく、歪んだ意味で特別な存在だった。
ガモーラがソウル・ストーンの秘密を抱えていることが明かされる
サノスに連れ去られたガモーラは、彼の船で過去と向き合うことになる。ガモーラは幼い頃、サノスによって故郷の星から連れ去られた。サノスは彼女を育て、戦士にしたが、その背景には、彼の「宇宙の均衡のために人口を半分にする」という冷酷な思想があった。
サノスが次に求めているのは、所在が長く謎に包まれていたソウル・ストーンだった。そしてガモーラは、その在りかを知っていた。彼女はサノスに知られないよう秘密を隠し続けていたが、サノスはネビュラを拷問し、ガモーラが情報を知っていることを突き止めていた。
ネビュラの苦痛を前に、ガモーラはついにソウル・ストーンの場所を明かす。サノスとガモーラは、ソウル・ストーンがある惑星ヴォーミアへ向かうことになる。ここから物語は、サノスの目的が単なる力の収集ではなく、最も残酷な犠牲を伴うものだと示し始める。
ソーは新たな武器を求め、ニダベリアへ向かう
ソー、ロケット、グルートは、かつてムジョルニアを作ったドワーフたちの鍛冶場ニダベリアへ向かう。そこは強力な武器を生み出す場所だったが、到着した彼らが目にしたのは、ほとんど死に絶えた場所だった。
唯一生き残っていたのは、ドワーフの王エイトリだった。サノスはインフィニティ・ガントレットを作らせた後、ドワーフたちを虐殺し、エイトリの手にも残酷な仕打ちを加えていた。ソーはサノスに対抗するため、エイトリの協力を得て新たな武器ストームブレイカーを作ろうとする。
この流れは、ソーの喪失と再生の物語でもある。故郷、父、弟、親友、そして武器を失ったソーが、それでもサノスを止めるために立ち上がり、最後の希望として新たな力を求める展開になっている。
タイタンでトニーたちとガーディアンズが合流する
トニー・スターク、ピーター・パーカー、ドクター・ストレンジは、エボニー・マウの宇宙船に乗ったままサノスの故郷タイタンへ向かう。そこはかつて栄えていた惑星だったが、到着した時点では荒廃した廃墟のような場所になっていた。
同じ頃、スター・ロード、ドラックス、マンティスもタイタンへ到着する。彼らはサノスに連れ去られたガモーラを追っていた。トニーたちとガーディアンズは、互いを敵だと勘違いして一時的に衝突するが、どちらもサノスを止めようとしていることがわかり、共闘することになる。
ここでトニーは、サノスの本拠地に近い場所で待ち伏せるべきだと考える。一方、スター・ロードはガモーラを救うことを最優先にしている。戦いの目的は同じでも、各キャラクターの感情や判断は少しずつずれており、そのずれが後の戦局に影響していく。
ドクター・ストレンジが未来を見通す
タイタンでサノスを迎え撃つ準備を進める中、ドクター・ストレンジはタイム・ストーンの力を使い、これから起こりうる未来を無数に確認する。彼が見た未来は1400万605通り。その中で、ヒーローたちが勝利できる未来はたった1つだけだった。
この場面は、中腹以降の物語を理解するうえで重要になる。ストレンジはその時点で、目の前の戦いだけではなく、その先にある可能性まで見ている。彼が後に取る行動は一見すると敗北に見えるが、実際には唯一の勝利につながる道を選んでいる可能性が示されている。
トニーたちは、マンティスの力でサノスの意識を抑え、その隙にインフィニティ・ガントレットを外す作戦を立てる。サノスを力で倒すのではなく、ガントレットを奪ってストーンの力を封じることが、タイタン組の最大の狙いになる。
ヴォーミアでソウル・ストーンの代償が明かされる
サノスとガモーラは、ソウル・ストーンの在りかである惑星ヴォーミアへ到着する。そこでふたりを迎えるのは、かつてスペース・ストーンに触れ、地球から姿を消したレッドスカルだった。彼はソウル・ストーンの守り人として、石を手にする条件をサノスに伝える。
ソウル・ストーンを得るためには、愛する者を犠牲にしなければならない。ガモーラは、サノスには本当に愛する相手などいないと考え、彼の失敗を確信する。しかし、サノスの目には涙が浮かぶ。彼にとってガモーラは、歪んだ形であっても「愛する者」だった。
ガモーラはそこで、自分自身が代償にされることを悟る。サノスは目的のために彼女を断崖から突き落とし、ソウル・ストーンを手に入れる。ここでサノスは、パワー・ストーン、スペース・ストーン、リアリティ・ストーンに続き、4つ目のインフィニティ・ストーンを得ることになる。
サノスの思想と残酷さが決定的に示される
ヴォーミアの場面は、サノスを単なる征服者ではなく、自分の思想を正義だと信じている存在として描く重要な場面でもある。彼は宇宙の資源には限りがあり、生命が増え続ければ全体が破滅すると考えている。そのため、全生命の半分を消し去ることを「救済」だと信じている。
しかし、その思想がどれほど大義のように語られても、彼の行動は徹底して暴力的で独善的だ。ガモーラの命を奪ってまでソウル・ストーンを手に入れる展開によって、サノスの目的が「犠牲を払う覚悟」ではなく、「他者に犠牲を強いる狂気」であることが明確になる。
この時点で、サノスは精神的にも物理的にもヒーローたちを大きく上回る位置に立つ。ストーンを集める戦いは、もはや阻止できるかどうかのギリギリの段階へ入っていく。
ニダベリアでストームブレイカーが完成する
ソー、ロケット、グルートは、ニダベリアで新たな武器を作ろうとしていた。しかし、巨大な炉は止まっており、武器を鍛えるには星のエネルギーを再び炉へ通す必要があった。
ソーは命を懸けて炉の扉を開き、星の熱を直接受け止める。あまりにも危険な作業で、彼の身体は限界まで追い込まれる。それでもソーはサノスを倒すために耐え抜き、エイトリは新たな斧ストームブレイカーを鍛え上げる。
最後に、グルートが自らの腕を使って柄を作り、ストームブレイカーは完成する。この武器は強大な破壊力を持つだけでなく、ビフレストを呼び出す力も備えていた。ソーはロケット、グルートと共に、ワカンダの戦場へ向かう。
ワカンダでヴィジョンを救う作戦が進む
地球では、スティーブ・ロジャースたちがヴィジョンを連れてワカンダへ到着する。ティ・チャラは彼らを受け入れ、シュリはヴィジョンの額に埋め込まれたマインド・ストーンを、彼の命を奪わずに切り離す方法を探る。
ワカンダはサノス軍を迎え撃つため、防衛態勢に入る。ティ・チャラ、オコエ、エムバク、ドーラ・ミラージュ、ワカンダの戦士たち、そしてキャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、ファルコン、ウォーマシン、ブルース・バナーらが戦場に立つ。
ブルースはハルクが表に出てこないため、ハルクバスターを装着して戦う。ヴィジョンを救う時間を稼ぐことが地球組の目的だが、サノスの軍勢は圧倒的な数でワカンダに押し寄せてくる。
ワカンダ防衛戦が始まる
サノスの配下は、無数のアウトライダーをワカンダへ送り込む。ワカンダのバリアは強力だったが、敵は自らの命を顧みずに突入し、少しずつ防衛線を突破しようとする。
戦局を制御するため、ティ・チャラたちは一部のバリアを開き、敵の流れを限定して迎え撃つ。そこから大規模な白兵戦が始まり、スティーブ、ナターシャ、オコエ、ティ・チャラ、バッキー、ローディ、サムたちがそれぞれの力で戦う。
しかし敵の数はあまりにも多く、ヒーローたちは次第に押され始める。ヴィジョンの処置が終わるまで耐えなければならないが、戦場では一瞬の判断ミスも許されない状況が続く。
ソーがワカンダに到着し、戦況を変える
ワカンダの戦いが劣勢に傾きかけた時、ソーがロケット、グルートと共に現れる。ストームブレイカーの力でビフレストを開き、戦場に降り立ったソーは、圧倒的な雷の力でアウトライダーたちをなぎ払っていく。
この登場は、地球側にとって大きな希望になる。ソーは冒頭でサノスに敗れ、ロキとヘイムダルを失っていたが、新たな武器を手にしたことで再び戦う力を取り戻していた。ワカンダの戦場における彼の参戦は、観客にもヒーロー側の反撃を強く印象づける場面になっている。
ただし、ソーの到着によって戦況は一時的に好転するものの、最大の脅威であるサノス本人はまだ現れていない。ワカンダの戦いは、あくまでサノスが最後のストーンに近づくまでの前哨戦でもあった。
タイタンでサノスとの直接対決が始まる
タイタンには、ソウル・ストーンを手に入れたサノスが現れる。トニー、ストレンジ、ピーター、スター・ロード、ドラックス、マンティスは、事前に立てた作戦通りサノスに挑む。
彼らは連携してサノスの動きを封じ、マンティスが彼の意識を抑え込むことに成功する。トニーとピーターは、その隙にインフィニティ・ガントレットを外そうとする。あと少しでガントレットを奪えるところまでいくが、そこでネビュラが現れ、ガモーラがすでに殺されたことを察する。
スター・ロードは、ガモーラの死を知って激しく取り乱す。彼はサノスを殴りつけ、マンティスの拘束が解けてしまう。結果として、ガントレットを外す作戦は失敗する。感情の爆発が、ヒーローたちにとって最大のチャンスを失わせることになる。
トニーがサノスと一対一で戦う
作戦が崩れた後、タイタンの戦いは一気にサノス優勢へ傾く。ドラックス、マンティス、スター・ロード、ピーター、ストレンジは次々に倒され、トニーはサノスと正面から向き合う。
トニーはナノテク・スーツの機能を駆使してサノスに挑む。刃や盾、推進装置を次々に展開し、全力で食い下がる。サノスに傷を負わせることには成功するが、力の差は大きい。サノスはトニーを追い詰め、彼の命を奪おうとする。
その瞬間、ドクター・ストレンジがタイム・ストーンを差し出す。彼はトニーの命と引き換えに、サノスへ石を渡す選択をする。トニーは驚くが、ストレンジは「ほかに道はなかった」と告げる。未来を見た彼が、この敗北を含めて唯一の勝利につながる道を選んだことが示唆される。
ワカンダにサノスが現れる
タイム・ストーンを手に入れたサノスは、最後のマインド・ストーンを求めてワカンダへ現れる。ワカンダの戦場では、コーヴァス・グレイヴやプロキシマ・ミッドナイトらとの戦いも終盤を迎えていたが、サノス本人の登場によって空気は一変する。
ヒーローたちは次々にサノスへ挑む。ブルース、スティーブ、ティ・チャラ、サム、ローディ、ナターシャ、オコエたちが立ちはだかるが、サノスはインフィニティ・ストーンの力で彼らをほとんど寄せつけない。
ヴィジョンは、自分を守るために仲間たちが倒れていくことを悟る。彼はワンダに、マインド・ストーンを破壊してほしいと頼む。ワンダにとってそれは、愛するヴィジョンを自らの手で殺すことを意味していた。
ワンダがヴィジョンを破壊する
サノスが迫る中、ワンダは涙を流しながらマインド・ストーンを破壊しようとする。彼女は片手でサノスを食い止めながら、もう片方の力でヴィジョンの額のストーンを壊していく。
ヴィジョンはワンダに「愛してる」と穏やかに伝え、彼女の選択を受け入れる。ワンダは苦しみながらも力を解放し、マインド・ストーンを破壊する。爆発とともにヴィジョンは崩れ落ち、サノスが全てのストーンをそろえることは阻止されたかに見えた。
しかし、サノスはすでにタイム・ストーンを持っている。彼は時間を巻き戻し、破壊されたマインド・ストーンとヴィジョンを復元する。そしてヴィジョンの額からストーンを無理やり引き抜き、ヴィジョンを再び死なせる。ワンダが払った犠牲は、サノスの力によって無効化されてしまう。
サノスが6つのインフィニティ・ストーンをそろえる
サノスは、ついに6つすべてのインフィニティ・ストーンを手に入れる。パワー、スペース、リアリティ、ソウル、タイム、マインド。ガントレットには全ての石が収まり、彼の目的は実行可能な状態になる。
そこへ、ストームブレイカーを持ったソーが飛び込んでくる。ソーは全力で斧を投げ、ストームブレイカーはインフィニティ・ストーンの力を突破してサノスの胸に突き刺さる。サノスは重傷を負い、ソーは勝利したかに見える。
しかし、サノスはソーに「頭を狙うべきだった」と告げる。そして指を鳴らす。インフィニティ・ガントレットの力が発動し、全宇宙の生命の半分を消し去るというサノスの計画が実行される。
ヒーローたちが次々に消えていく
指を鳴らした後、サノスは姿を消す。ワカンダの戦場には一瞬の静寂が訪れ、その直後、地球でもタイタンでも、ヒーローたちや仲間たちが灰のように崩れ始める。
バッキーがスティーブの目の前で消え、ティ・チャラ、グルート、ワンダ、サム、マンティス、ドラックス、スター・ロード、ドクター・ストレンジらも次々に消滅していく。ピーター・パーカーも自分の異変に気づき、トニーに助けを求めながら消えていく。トニーは彼を抱き止めるが、止めることはできない。
この場面は、MCUの中でも特に衝撃的な結末として描かれている。戦いに敗れたというだけでなく、観客が長く見てきたヒーローたちが何の勝利も得られないまま消えていく。しかも、残された者たちは何が起きたのかを完全には理解できず、ただ喪失だけが残される。
残されたヒーローたちが敗北を受け止める
ワカンダでは、スティーブ、ソー、ナターシャ、ブルース、ローディ、オコエ、ロケットらが生き残る。彼らは、仲間たちが消えた光景を見て呆然とする。スティーブも地面に座り込み、「何が起きた」と言うしかない。
タイタンでは、トニーとネビュラだけが残される。トニーはピーターを失い、ストレンジがタイム・ストーンを渡した意味もまだ理解できていない。サノスを止めるために自ら敵地へ向かった彼は、仲間も勝機も失った状態で取り残される。
ここで描かれるのは、ヒーロー映画における通常の勝利ではなく、完全な敗北である。誰かの犠牲によって一時的に勝つのではなく、あらゆる選択がサノスの勝利へつながってしまったかのように見える。
サノスは目的を達成し、静かな場所で朝日を見る
ラストでサノスは、どこか静かな場所にいる。彼は傷ついた身体を抱えながらも、自分の目的を達成した者として、穏やかな表情で朝日を眺める。
この結末が異例なのは、物語がヒーローの勝利ではなく、敵であるサノスの目的達成で終わる点にある。彼はインフィニティ・ストーンを集め、指を鳴らし、全宇宙の生命の半分を消し去った。ヒーローたちはその計画を止められなかった。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、サノスを倒す物語ではなく、サノスが勝利するまでの物語として幕を閉じる。だからこそ本作のラストは、次作『アベンジャーズ/エンドゲーム』へ直結する巨大な喪失と問いを残す。
ポストクレジットでニック・フューリーが最後の信号を送る
本編終了後のポストクレジットシーンでは、地球上でも人々の消滅が起きていることが示される。ニック・フューリーとマリア・ヒルは異常事態に気づくが、ヒルは目の前で消えてしまう。
フューリー自身も消え始める中、彼は最後の力で通信機のような装置を操作する。送信が完了した直後、フューリーも灰になって消える。画面には、キャプテン・マーベルを示すマークが表示される。
この場面は、サノスの指鳴らしが宇宙だけでなく地球にも及んでいることを改めて示すと同時に、次の希望がMCU次作で登場する“キャプテン・マーベル”へつながっていくことを示唆している。絶望的な結末の中で、わずかに残された反撃の手がかりとして機能するラストになっている。
