『ズートピア3』の鳥は“移民”の象徴となるか?前2作の社会テーマから第3作が描く差別と共生の物語を読み解く【考察】

ディズニー『ズートピア3』が正式始動 シリーズ初の“鳥類キャラクター”登場へ!ジュディ&ゲイリーも再登場する第3作 FILMS/TV SERIES
『ズートピア3』ロゴ (@DisneyAnimation / X)

『ズートピア3』の鳥は移民の象徴なのか。過去2作の社会テーマから物語の可能性を読み解く。


『ズートピア3』に鳥が登場することが明らかになった。既報の通り、ディズニーはD23で第3作が初期開発段階に入ったことを発表。これまで哺乳類を中心に描かれてきたズートピアの世界に、鳥という新たな種族が加わる。

では、鳥の登場によってシリーズは何を描こうとしているのだろうか。

『ズートピア』が動物たちの違いを通じて現実社会の偏見や分断を描き、『ズートピア2』が故郷を奪われた爬虫類の歴史に踏み込んだことを考えると、第3作では鳥を通じて「移民問題」を描く可能性があるのではないか。

もちろん、現時点で物語の詳細は発表されていない。ここからは過去2作の社会的テーマと鳥の生態を手がかりに、『ズートピア3』が描くかもしれない物語を考察していく。

第1作は偏見、第2作は奪われた故郷を描いた

2016年公開の『ズートピア』で中心となったのは、肉食動物と草食動物の間に存在する偏見とステレオタイプだった。

肉食動物は人口では少数派でありながら、生まれつき凶暴になる可能性を持つ存在として恐れられる。ジュディも当初は差別に反対していたはずだが、記者会見では肉食動物の生物学的性質が事件に関係している可能性に言及し、社会に恐怖と分断を広げてしまう。

肉食動物と草食動物を現実の特定の人種へ完全に置き換えることはできない。それでもアメリカ社会の歴史に照らせば、多数派である草食動物に白人中心の社会、危険な存在だと決めつけられる肉食動物に黒人をはじめとする人種的マイノリティを重ねる読み方は可能だろう。

ただし、この関係は単純な「白人対黒人」の比喩ではない。ジュディは草食動物でありながら、小柄なウサギであることを理由に能力を軽視される。一方、肉食動物のライオンハート市長は都市の権力者として登場する。登場人物の立場によって多数派と少数派、権力を持つ側と抑圧される側が入れ替わることこそ、『ズートピア』の寓話が持つ特徴だ。

続く『ズートピア2』では、物語の対象が哺乳類の内部にある対立から、都市そのものから排除された爬虫類へと拡大した。

爬虫類はかつてズートピアから追放され、その存在や都市建設への貢献まで歴史から消されていた。故郷を追われた者たちが、自分たちから奪われた土地と歴史を取り戻そうとする構図には、北米の先住民であるネイティブ・アメリカンをはじめ、植民地主義によって土地や文化を奪われた人々の歴史を重ねることができる。

爬虫類がネイティブ・アメリカンを直接表していると公式に説明されたわけではない。しかし、土地の収奪、歴史の改ざん、強制的な追放、そして帰還という要素が、先住民をめぐる問題と強く響き合うことは確かだ。

空を越えて移動する鳥は「移民」と重なる可能性

第1作が人種的偏見、第2作が先住民と奪われた故郷を想起させる物語だったとすれば、第3作で登場する鳥は何を象徴するのか。

そこで浮かび上がるのが、鳥を移民の象徴として描く可能性である。

すべての鳥が季節ごとに移動するわけではないが、渡り鳥は気候や食料、繁殖などの事情に応じて、国境とは関係なく長い距離を移動する。空を飛べる鳥にとって、人間や地上の動物が定めた境界線は絶対的なものではない。

これまで地上で暮らす哺乳類が中心だったズートピアへ、外部から鳥の集団が飛来した場合、彼らは旅行者なのか、一時的な滞在者なのか、それとも新たな市民なのかという問題が生まれる。

何らかの事情によって故郷で暮らせなくなった鳥たちがズートピアへ移り住もうとすれば、それは移民や難民をめぐる現実社会の構図と重なるだろう。

受け入れを求める鳥たちに対し、「都市に住み着かれては困る」「治安や仕事、生活環境に影響が出る」と反発する動物も現れるかもしれない。一方では鳥を保護し、ズートピアの一員として受け入れるべきだと訴える動物たちもいる。

そうなれば第3作の対立軸は、鳥を受け入れようとする側と、都市から排除しようとする側の争いになる。移民問題が政治や社会を大きく分断している現在のアメリカをはじめ、世界各国と直接結びつく題材だ。

『ズートピア3』が問うのは「誰が市民になれるのか」か

『ズートピア』シリーズは、単に新しい種類の動物を登場させるだけでなく、その動物が持つ特徴を社会的なテーマへ結びつけてきた。

ジャレド・ブッシュ監督は過去のインタビューで、シリーズ全体が扱うのは「私たちはどうすれば互いにうまくやっていけるのか」「違いは大きすぎるのか」という現実の人間社会に通じるテーマだと説明している。

鳥が本格的に登場する第3作で、この問いは「ズートピアの市民になれるのは誰なのか」という形へ発展するのではないか。

鳥たちの移住をめぐって事件が起こり、一部の鳥の行動を理由に種族全体が危険視される展開も考えられる。それは第1作で肉食動物が集団として恐れられた構図の反復であると同時に、移民による犯罪を強調して排斥へ結びつける現実の政治とも重なる。

もっとも、鳥が必ず移民として描かれるとは限らない。鳥は自由や移動だけでなく、上空から都市全体を見渡せる存在でもある。地上の動物とは異なる生活圏を持つ種族として、格差、監視、国境、環境問題などを象徴する可能性も残されている。

また、鳥がズートピアへ新しくやってくるのではなく、爬虫類と同様に、もともと世界のどこかで暮らしていたにもかかわらず都市から締め出されていたことが判明する展開もあり得る。

それでも「移動する生き物」である鳥を新種族に選んだ以上、移民、難民、国境、受け入れと排斥が物語の核になるという予想には十分な説得力がある。

偏見を描いた第1作、奪われた故郷と歴史を描いた第2作。そして第3作が、国境を越えてやってきた者たちと共に暮らせるのかを問う物語になるなら、『ズートピア』は現代社会の分断を映す三部作として、さらに大きな意味を持つことになるだろう。

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