『スター・トレック』『X-MEN』で知られる俳優パトリック・スチュワートが86歳で死去した。
ドラマ『新スター・トレック』のジャン=リュック・ピカード艦長、映画『X-メン』のプロフェッサーX役などで知られる英国俳優パトリック・スチュワートが、2026年10月28日(現地時間)、米ロサンゼルスの自宅で死去した。86歳だった。
訃報は翌29日、本人の公式SNSを通じて発表された。シェイクスピア劇の名優として英国の舞台で実績を積み、ハリウッドでも数々の象徴的な役柄を演じたスチュワート。2026年12月公開のマーベル映画が、最後のスクリーン出演になるという。
パトリック・スチュワート死去、家族が明かした最期
スチュワートの長年の広報担当者ケリー・ブッシュ・ノヴァクが、本人の公式SNSで声明を発表した。
声明によると、スチュワートはアルツハイマー病とレビー小体型認知症を患い、短期間の闘病を経て亡くなった。病状については、それまで公に明かされていなかった。
最期は妻でシンガーソングライターのサニー・オゼルに見守られ、家族や友人たちに囲まれて過ごしたという。声明では、生演奏や祈り、涙、笑いに包まれた時間だったことも伝えられた。
また、遺族はスチュワートの豊かな声と唯一無二の才能を振り返り、舞台や映画、テレビを通じて人間の複雑さを表現し続けた功績をたたえている。
ピカード艦長とプロフェッサーX、世界中で愛された名優
1940年7月13日、英国ヨークシャーに生まれたスチュワートは、若いころから演劇の世界で活動。名門ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに長年所属し、数多くのシェイクスピア作品に出演した。
世界的な名声を獲得したのは、1987年に放送が始まった『新スター・トレック』でのジャン=リュック・ピカード艦長役だった。
知性と威厳を兼ね備え、仲間たちを導くピカードは、シリーズを代表するキャラクターのひとりとなった。スチュワートは映画版でも同役を演じ、2020年から2023年にかけて配信されたドラマ『スター・トレック:ピカード』でも主人公を再演している。
もうひとつの代表的な役柄が、2000年公開の『X-メン』で初めて演じたチャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXだ。
強力なテレパシー能力を持つミュータントの指導者として、スチュワートはシリーズに欠かせない存在となった。『LOGAN/ローガン』(2017)では老境に差しかかったエグゼビアを演じ、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)にも同役で登場した。
ピカード艦長とプロフェッサーXには、単なる強さではなく、理性や信念によって他者を導く人物という共通点がある。舞台で培った重厚な声と圧倒的な存在感は、どちらのキャラクターにも大きな説得力を与えていた。
2010年には演劇への貢献が認められ、英国王室からナイトの称号を授与された。舞台と映像の両方で活躍し続けたそのキャリアは、60年以上に及んだ。
最後の映画は『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』、共演者らが追悼
スチュワートの最後のスクリーン出演作となるのは、2026年12月18日(金)に日米同時公開される『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』だ。
マーベル・スタジオは追悼文の中で、スチュワートがプロフェッサーXを再び演じる同作を、最後のスクリーン出演と説明している。
2000年の『X-メン』から25年以上にわたり演じてきたエグゼビア役。その最後の出演が、X-MENとアベンジャーズの集結する超大作となる。
訃報を受け、ハリウッドからも追悼の声が相次いだ。
ウルヴァリン役で長年共演したヒュー・ジャックマンは、SNSで舞台と映画の偉大な俳優を失った悲しみを表明。スチュワートをすばらしい友人だったと振り返り、「彼から本当に多くのことを学んだ」と感謝を伝えた。
マグニートー役で共演し、私生活でも長い友情を築いてきたイアン・マッケランも追悼。スチュワートを同世代で最も尊敬され、愛された俳優と評した。
マーベル・スタジオは、彼がプロフェッサーXに並外れた品格、知性、人間味を与えたことをたたえ、「唯一無二の才能を持ち、惜しみなく協力する人物であり、真の紳士でした」と声明を発表した。
スチュワートは2026年7月に公開されたインタビューで、俳優業からの引退について「正式に引退するなんて想像できない。僕はこれからもずっと俳優であり続けるよ」と語っていた。
その言葉を残した名優は、プロフェッサーXとしての最後の出演を控え、86年の生涯に幕を下ろした。
