映画『X-MEN2』(2003)を紹介&解説。
映画『X-MEN2』概要
映画『X-MEN2』は、マーベル・コミックの人気ヒーローチームを実写映画化した『X-メン』の続編となるSFアクション。ミュータントと人間の対立がさらに激化する中、謎の襲撃者ナイトクロウラーによるホワイトハウス襲撃事件をきっかけに、X-MENは新たな脅威に直面する。監督は前作に続きブライアン・シンガー。主演はヒュー・ジャックマン、共演にパトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ハル・ベリー、ファムケ・ヤンセン、ジェームズ・マースデン、アンナ・パキン、ブライアン・コックス、アラン・カミングら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『X-MEN2』 |
|---|---|
| 原題 | X2 |
| 別英題 | X2: X-Men United |
| 製作年 | 2003年 |
| 本国公開日 | 2003年5月2日 |
| 日本公開日 | 2003年5月3日 |
| ジャンル | アクション/スーパーヒーロー/アドベンチャー/SF |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | マーベル・コミック『X-MEN』 |
| 上映時間 | 134分 |
| 監督 | ブライアン・シンガー |
|---|---|
| 脚本 | マイケル・ドハティ/ダン・ハリス/デヴィッド・ハイター |
| 原案 | ブライアン・シンガー/デヴィッド・ハイター/ザック・ペン |
| 製作 | ローレン・シュラー・ドナー/ラルフ・ウィンター |
| 製作総指揮 | アヴィ・アラド/スタン・リー/トム・デサント/ブライアン・シンガー |
| 撮影 | ニュートン・トーマス・シーゲル |
| 編集 | ジョン・オットマン |
| 作曲 | ジョン・オットマン |
| 出演 | ヒュー・ジャックマン/パトリック・スチュワート/イアン・マッケラン/ハル・ベリー/ファムケ・ヤンセン/ジェームズ・マースデン/アンナ・パキン/レベッカ・ローミン/ブライアン・コックス/アラン・カミング/ショーン・アシュモア/アーロン・スタンフォード/ケリー・フー |
| 製作 | 20世紀フォックス/マーベル・エンタープライズ/ザ・ドナーズ・カンパニー/バッド・ハット・ハリー・プロダクションズ |
| 配給 | 20世紀フォックス |
あらすじ
ミュータントと人間の共存をめぐる緊張が続く中、テレポート能力を持つミュータント、ナイトクロウラーがホワイトハウスに侵入し、大統領を襲撃する事件が発生する。この出来事によってミュータントへの警戒心は一気に高まり、政府のミュータント対策を担う軍事科学者ウィリアム・ストライカーが動き出す。
ストライカーはプロフェッサーXの能力と、ミュータント探索装置セレブロに狙いを定め、エグゼビアの学校を襲撃。ウルヴァリン、ローグ、アイスマン、パイロらは混乱の中で逃亡し、X-MENは大きく分断されてしまう。一方、プロフェッサーXを救うため、X-MENは宿敵マグニートーとも一時的に手を組み、ストライカーが企てるミュータント殲滅計画を阻止しようとする。
主な登場人物(キャスト)
ローガン/ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン):驚異的な治癒能力とアダマンチウムの爪を持つミュータント。自分の過去を探り続けており、本作ではストライカーとの因縁を通して、その出生と実験の記憶に近づいていく。
チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX(パトリック・スチュワート):X-MENの創設者で、強力なテレパシー能力を持つ指導者。ミュータントと人類の共存を信じているが、ストライカーの策略によって能力を利用される危機に陥る。
エリック・レーンシャー/マグニートー(イアン・マッケラン):磁力を操る強大なミュータント。前作ではX-MENの敵として立ちはだかったが、本作ではストライカーという共通の脅威を前に、一時的にX-MENと協力する。
オロロ・マンロー/ストーム(ハル・ベリー):天候を操る能力を持つX-MENのメンバー。仲間たちとともにナイトクロウラーを追い、ストライカーの計画に立ち向かう。
ジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン):テレパシーと念動力を持つX-MENの中心人物。前作よりも能力の不安定さと成長が描かれ、物語の終盤では仲間たちを救うために重大な決断を下す。
スコット・サマーズ/サイクロップス(ジェームズ・マースデン):目から強力なオプティック・ブラストを放つX-MENのリーダー格。ジーンの恋人でもあり、ストライカー側の攻撃によって苦境に立たされる。
マリー/ローグ(アンナ・パキン):触れた相手の生命力や能力を吸収してしまうミュータント。ボビーとの関係を深めながら、自身の能力ゆえに他者と触れ合えない孤独も抱えている。
レイブン・ダークホルム/ミスティーク(レベッカ・ローミン):自在に姿を変えられるミュータント。マグニートーを救出するため暗躍し、X-MENとマグニートー陣営をつなぐ重要な役割を担う。
ウィリアム・ストライカー(ブライアン・コックス):ミュータントへの強い憎悪を抱く軍事科学者。ウルヴァリンの過去にも関わる人物で、プロフェッサーXとセレブロを利用した恐るべき計画を進める。
カート・ワグナー/ナイトクロウラー(アラン・カミング):瞬間移動能力を持つ青い肌のミュータント。ホワイトハウス襲撃事件の実行犯として追われるが、その背後には彼自身の意思だけではない事情が隠されている。
ボビー・ドレイク/アイスマン(ショーン・アシュモア):氷を生み出す能力を持つ若きミュータント。ローグと親密な関係にあり、逃亡の中で家族や社会との間にある断絶を突きつけられる。
ジョン・アラダイス/パイロ(アーロン・スタンフォード):炎を操る能力を持つ若きミュータント。X-MENの一員として行動する一方で、マグニートーの思想に強く惹かれていく。
ユリコ・オーヤマ/レディ・デスストライク(ケリー・フー):ストライカーの配下として登場する戦闘能力の高いミュータント。鋭い爪と高い身体能力を持ち、ウルヴァリンと激しく対決する。
作品の魅力解説
『X-MEN2』の大きな魅力は、前作で提示された「ミュータントと人間は共存できるのか」というテーマを、よりスケールの大きい物語へ発展させている点にある。ホワイトハウス襲撃から始まる政治的緊張、ミュータント登録をめぐる恐怖、そして国家権力による排除の構図が重なり、単なるヒーロー映画にとどまらない社会性を帯びている。
アクション面でも、ナイトクロウラーのテレポートを活かした冒頭の襲撃シーン、エグゼビアの学校襲撃、ウルヴァリンとレディ・デスストライクの戦いなど、キャラクター固有の能力を視覚的に見せる場面が充実している。前作よりもチーム映画としての厚みが増し、それぞれの能力がドラマとアクションの両方に結びついている。
また、本作はウルヴァリンの過去、ジーン・グレイの力の変化、パイロの思想的な揺れなど、後のシリーズへつながる重要な要素も多い。特に終盤の展開は、単なる続編のクライマックスではなく、次作『X-MEN:ファイナル ディシジョン』へ向かう大きな伏線としても機能している。
敵であるマグニートーと一時的に共闘する構図も見どころのひとつ。善悪が単純に分かれるのではなく、ミュータントを守るための方法論の違いとして対立が描かれることで、シリーズ全体の思想的な深みがさらに強調されている。
ストーリー解説(ネタバレ)
ホワイトハウスを襲撃する謎のミュータント
物語は、ワシントンD.C.のホワイトハウスから幕を開ける。観光客に紛れるようにして、ひとりの男が館内に入ってくる。青い肌、尻尾、全身に刻まれた模様を持つその男は、のちにナイトクロウラーと呼ばれるミュータントだった。
警備が厳重なはずのホワイトハウス内で、彼は一瞬にして姿を消し、次の瞬間には別の場所に現れる。煙のような残像を残しながら瞬間移動を繰り返すナイトクロウラーは、警護官たちを翻弄し、大統領執務室へと迫っていく。銃弾を避け、壁や天井を縦横無尽に飛び回る彼の動きは、人間の警備体制ではほとんど対処できないものだった。
ナイトクロウラーは大統領の目の前までたどり着き、ナイフを手に襲いかかる。しかし、あと一歩というところで警護に阻まれ、大統領暗殺は失敗に終わる。彼はその場から逃走するが、現場には「ミュータントの自由を」という趣旨のメッセージが残される。
この事件は、ただの襲撃事件では終わらない。大統領を標的にしたミュータントの攻撃は、すでに高まっていたミュータントへの恐怖と偏見を一気に加速させる。人間社会の中で、ミュータントは危険な存在だという声が強まり、政府内部でも強硬な対策を求める空気が広がっていく。
ウルヴァリン、アルカリ湖で自分の過去を探る
一方、ローガン/ウルヴァリンは、自分の失われた記憶と過去を探るため、カナダのアルカリ湖へ向かっていた。前作でチャールズ・エグゼビアから手がかりを示された場所であり、彼の肉体にアダマンチウムが埋め込まれた実験とも関係している可能性があった。
しかし、ローガンがたどり着いた施設は、すでに放棄されたような状態だった。そこに彼が求めていた明確な答えはない。自分が何者だったのか、誰に改造されたのか、なぜ記憶を失ったのか。その核心には届かないまま、ローガンは再びエグゼビアの学校へ戻っていく。
この時点で、ウルヴァリンはX-MENの正式な一員というより、まだ自分の居場所を探している存在として描かれる。彼にとってエグゼビアの学校は、守るべき子どもたちがいる場所であると同時に、自分の過去に近づくための唯一の拠点でもあった。
ミュータントへの不信とストライカーの登場
ホワイトハウス襲撃事件を受けて、政府内ではミュータントへの対応をめぐる議論が激しくなる。そこで大きな存在感を示すのが、ウィリアム・ストライカーだった。彼は軍の関係者であり、ミュータント対策に深く関わっている人物でもある。
ストライカーは、ミュータントが国家にとって危険な存在であると訴え、エグゼビアの学校にも疑いの目を向ける。表向きはミュータントによるテロを防ぐための行動に見えるが、彼の目的は単なる捜査や警備強化ではない。彼はミュータントを根本から排除しようとする強い憎悪を抱いており、その計画の中心にはプロフェッサーXの能力があった。
ストライカーは、チャールズ・エグゼビアが所有するミュータント探知装置セレブロの存在も把握している。プロフェッサーXのテレパシー能力とセレブロが組み合わされば、世界中のミュータントを見つけることができる。ストライカーはその仕組みを、自分の目的のために利用しようとしていた。
プロフェッサーXとサイクロップス、マグニートーのもとへ
ホワイトハウス襲撃の真相を探るため、チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXとスコット・サマーズ/サイクロップスは、拘束されているマグニートーのもとを訪れる。
マグニートーは、前作の事件後、金属を一切使わない特殊なプラスチック製の監獄に収容されていた。磁力を操る彼の能力を封じるため、徹底的に設計された場所だ。プロフェッサーXは、ホワイトハウス襲撃にマグニートーが関与しているのではないかと疑うが、マグニートーは別の名前を口にする。それがストライカーだった。
この面会は、プロフェッサーXにとって罠でもあった。ストライカーはプロフェッサーXの動きを読んでおり、彼とサイクロップスを拘束する。サイクロップスは操られ、プロフェッサーXは連れ去られてしまう。X-MENの精神的支柱であり、世界中のミュータントにアクセスできる人物が敵の手に落ちたことで、事態は一気に危険な段階へ進んでいく。
ストームとジーン、ナイトクロウラーを追う
ホワイトハウス襲撃の実行犯を探すため、オロロ・マンロー/ストームとジーン・グレイは、ナイトクロウラーの行方を追う。やがてふたりは、彼が教会に身を潜めていることを突き止める。
ナイトクロウラー、本名カート・ワグナーは、見た目こそ悪魔のようだが、実際には深い信仰心を持つ穏やかな人物だった。彼の体には無数の模様が刻まれており、それは自らの罪や苦しみと結びついたものとして示される。彼はホワイトハウスを襲撃したことを認識しているが、その行動が本当に自分の意思だったのかについては疑問が残る。
ジーンは彼の心に触れ、襲撃の背後に何者かの操作があった可能性を感じ取る。ナイトクロウラーは、ミュータントへの憎悪をあおるために利用された存在だった。つまり、事件はミュータントによる単純なテロではなく、より大きな陰謀の入口だったことが見えてくる。
エグゼビアの学校を襲う軍隊
そのころ、エグゼビアの学校にはローガンが戻っていた。学校では若いミュータントたちが生活し、学び、能力の扱い方を身につけている。ローグ、ボビー・ドレイク/アイスマン、ジョン・アラダイス/パイロたちもそこにいた。
しかし夜、ストライカー率いる武装部隊が学校を襲撃する。彼らはミュータントの子どもたちを標的にしており、校舎内は一気に戦場と化す。眠っていた生徒たちは突然の侵入に混乱し、逃げ惑う。兵士たちは特殊装備を使い、子どもたちを拘束しようとする。
ローガンは、子どもたちを守るために本能的に戦う。彼は侵入してきた兵士たちを相手に、アダマンチウムの爪と治癒能力を使って激しく応戦する。この襲撃場面では、ローガンの獣性と保護者としての一面が同時に描かれる。彼は学校の教師でも正式なリーダーでもないが、危機の中で子どもたちを守る存在になっていく。
その最中、ローガンはストライカーと対面する。ストライカーは、ローガンのことを知っているような口ぶりを見せる。ローガン自身は記憶を失っているため、相手が誰なのかは分からない。しかし、ストライカーの態度から、彼が自分の過去に深く関わっている人物であることは明らかだった。
ローガン、ローグ、アイスマン、パイロの逃避行
学校襲撃の混乱の中で、ローガンはローグ、アイスマン、パイロを連れて脱出する。多くの生徒たちは避難するが、一部はストライカーの部隊に捕らえられてしまう。X-MENは完全に分断され、プロフェッサーXもサイクロップスも不在のまま、残された者たちはそれぞれに行動せざるを得なくなる。
ローガンたちは、アイスマンことボビーの実家へ向かう。ボビーは家族に自分がミュータントであることを隠していたが、この状況で秘密を守り通すことはできない。彼は家族に自分の能力を見せ、自分がミュータントであることを告白する。
この場面は、ヒーロー映画の派手な戦闘とは別の意味で重要な場面になっている。ボビーの家族は、息子がミュータントであることをすぐには受け入れられない。弟は恐怖や拒絶の感情を抱き、やがて警察に通報してしまう。ミュータントであることが、家庭の中にさえ断絶を生むという現実が描かれる。
警察が到着すると、状況はさらに悪化する。ローガンたちは危険人物として扱われ、銃を向けられる。混乱の中でパイロは炎を操り、警官たちに対して過剰な反撃を見せる。彼の中にある怒り、承認欲求、そして人間社会への不信が、ここで強く表面化する。
ローグはパイロを止めるため、自分の能力で彼に触れる。相手の力や生命力を吸収してしまう彼女の能力は、パイロの暴走を止める手段になる一方で、彼女自身にとっても苦痛を伴うものだった。この場面によって、若いミュータントたちの能力が単なる武器ではなく、心の不安定さや孤独とも結びついていることが示される。
ミスティークの暗躍とマグニートー脱獄
一方、マグニートーの側でも事態は動いていた。彼の協力者であるミスティークは、変身能力を使って人間社会の中に入り込み、ストライカーの計画やマグニートーの収容状況に関する情報を探っていた。
ミスティークは、マグニートーを救い出すために巧妙な手段を用いる。マグニートーの監獄は金属を排除しているため、通常なら彼の能力は使えない。しかし、彼女は看守の体内に鉄分を仕込む形で、マグニートーが利用できる金属を持ち込ませる。
マグニートーはそのわずかな金属を体内から引き出し、小さな球体のように操る。そこから彼は自分の能力を取り戻し、プラスチックの牢獄を突破する。静かでありながら残酷さもあるこの脱獄場面は、マグニートーの知性と能力の恐ろしさを改めて印象づける。
脱獄したマグニートーは、もはや単なる囚人ではない。ストライカーという共通の敵が現れたことで、X-MENと手を組む可能性が生まれる。ただし、彼の目的はプロフェッサーXたちと完全に同じではない。マグニートーはミュータントを守るためなら、人間を犠牲にすることもためらわない人物であり、その危うさは残ったままだ。
ストライカーの目的が見え始める
物語の中腹に向けて、ストライカーの計画は少しずつ明らかになっていく。彼はプロフェッサーXの能力を利用し、セレブロを通じて世界中のミュータントを探し出そうとしている。その目的は保護や管理ではなく、ミュータントの殲滅だった。
ストライカーの背後には、個人的な憎悪もある。彼はミュータントを人類の脅威として見ているだけでなく、自身の家族にまつわる過去から、ミュータントそのものを許せない存在として捉えている。彼の思想は、制度や軍事力をまとった個人的復讐でもあった。
プロフェッサーXが敵の手に落ちたことで、世界中のミュータントが危険にさらされる可能性が出てくる。ストライカーがセレブロを使えば、ミュータントだけを標的にした大規模な攻撃が実行できてしまう。X-MENにとって、これは仲間を救うだけの戦いではなく、ミュータント全体の存亡をかけた戦いへと変わっていく。
X-MENとマグニートー、共通の敵を前に合流する
逃亡中のローガン、ローグ、アイスマン、パイロは、やがてストーム、ジーン、ナイトクロウラーと合流する。そこへ、脱獄したマグニートーとミスティークも姿を現す。
本来ならX-MENとマグニートーは敵同士である。プロフェッサーXは人間との共存を信じ、マグニートーは人間を信用せず、ミュータントこそが支配される側ではなく支配する側になるべきだと考えている。しかし、ストライカーは両者にとって共通の脅威だった。
マグニートーは、ストライカーがプロフェッサーXを利用してミュータントを滅ぼそうとしていることを伝える。X-MENは、彼の言葉を完全に信じるわけにはいかない。それでも、今は協力しなければプロフェッサーXを救えず、ストライカーの計画も止められない。
こうして、X-MEN、若いミュータントたち、ナイトクロウラー、そしてマグニートーとミスティークという異色の一団が、一時的に同じ目的へ向かうことになる。ローガンにとっては、自分の過去を知るストライカーと向き合う旅でもあり、ジーンにとっては不安定になりつつある自分の能力と向き合う局面でもある。
ミュータントたちを乗せたXジェット、戦闘機に追われる
合流した一行はXジェットに乗り込む。エグゼビアの学校は襲撃され、プロフェッサーXとサイクロップスはストライカーの手に落ちた。X-MENは拠点も指導者も失い、さらに若いミュータントたちの一部も拉致されている。
しかし、彼らに休む時間はない。Xジェットは軍の戦闘機に捕捉され、空中で攻撃を受ける。ストームは天候を操り、竜巻を発生させて追撃をかわそうとするが、ミサイル攻撃によって機体は大きな損傷を受ける。
ジーンは機体を守るために力を使うが、彼女の能力は以前よりも強まっている一方で、完全には制御できていない。Xジェットは墜落寸前となり、湖の上へ落ちかける。ローグも機内から吸い出されそうになり、仲間たちは必死に彼女を助けようとする。
その危機を救ったのは、意外にもマグニートーだった。彼は磁力でXジェットを受け止め、機体を地上へ降ろす。X-MENにとって彼は宿敵だが、今はストライカーという共通の敵を前に、手を組まざるを得ない状況になっていた。
マグニートーが明かす、ストライカーの真の計画
合流したマグニートーは、ストライカーの計画について重要な情報を語る。ストライカーはプロフェッサーXの能力を利用し、セレブロを使って世界中のミュータントを殺そうとしているという。
セレブロは本来、プロフェッサーXが世界中のミュータントを探知するための装置だった。だが、ストライカーはその仕組みを悪用し、プロフェッサーXのテレパシーを殺傷手段に変えようとしていた。彼はエグゼビアの学校にあるセレブロだけでなく、自らの基地にもうひとつのセレブロを用意していた。
さらにマグニートーは、ストライカーが自分を尋問していたことも明かす。ストライカーはマグニートーから、エグゼビアの学校やセレブロに関する情報を引き出していた。マグニートー自身も、ストライカーの計画を知ったことで、彼を放置すればミュータント全体が滅ぼされると理解していた。
マグニートーはローガンにも衝撃的な事実を伝える。ストライカーこそ、ローガンの骨格にアダマンチウムを結合させ、彼の記憶喪失に関わった人物だという。ローガンにとって、ストライカーとの対決は単に仲間を救う戦いではなく、自分自身の過去と向き合う戦いにもなる。
アルカリ湖のダムへ向かう一行
ジーンは、自らの力を使ってストライカーの拠点を探り当てる。そこは、ローガンが冒頭で訪れていたアルカリ湖の地下施設だった。表向きは放棄されたように見えていたその場所の地下に、ストライカーの本当の基地が隠されていた。
X-MEN、マグニートー、ミスティーク、ナイトクロウラーは、ストライカーの基地へ向かう。彼らの目的は大きく分けて3つある。プロフェッサーXを救出すること、拉致されたミュータントの子どもたちを助けること、そしてセレブロを使ったミュータント抹殺計画を止めることだ。
ここで、チーム内の緊張も残っている。X-MENはマグニートーを完全には信用していない。マグニートーもまた、プロフェッサーXの理想に同意しているわけではない。彼にとって重要なのは、あくまでミュータントの生存と優位性であり、人間を守ることではない。
それでも、今は同じ場所へ向かうしかない。ストライカーの計画が実行されれば、X-MENもマグニートーも、世界中のミュータントも同じように命を奪われるからだ。
ミスティークの変身能力で基地に潜入する
ストライカーの基地は厳重に警備されている。正面から突入すれば、すぐに発見され、プロフェッサーXや子どもたちの命にも危険が及ぶ。そこで重要な役割を担うのがミスティークだった。
ミスティークは変身能力を使い、基地の警備をかいくぐる。彼女は姿を自在に変えることで、敵の内部に入り込み、X-MENたちが進入するための道を開く。前作では敵としてX-MENを翻弄した能力が、ここでは一時的に味方側の大きな武器になる。
基地内部では、ストライカーの計画がすでに進行していた。プロフェッサーXは精神的に操られ、セレブロの中へ導かれている。ストライカーは彼を直接支配するだけでなく、息子ジェイソンの能力を利用して幻覚や精神操作を仕掛けていた。
ジェイソンはミュータントであり、人の精神に強い影響を与える能力を持っている。ストライカーは自分の息子でさえ道具として扱い、プロフェッサーXを操るために利用していた。ミュータントを憎むストライカー自身が、ミュータントの力を使ってミュータントを滅ぼそうとしているという歪んだ構図が浮かび上がる。
プロフェッサーX、セレブロでミュータント抹殺を始めさせられる
ストライカーの基地に設置されたもうひとつのセレブロの中で、プロフェッサーXはジェイソンの幻覚に取り込まれていく。彼は自分が危険な状況にいることを正しく認識できず、精神操作によって世界中のミュータントに意識を向けさせられる。
プロフェッサーXの能力は、世界で最も強力なテレパシーのひとつだ。その力がセレブロによって拡張されれば、彼は世界中のミュータントとつながることができる。だが、ストライカーはそのつながりを破壊の手段に変えようとしていた。
セレブロが作動し始めると、世界中のミュータントが苦しみ始める。遠く離れた場所にいるミュータントたちも、頭を押さえ、倒れ込み、命の危機にさらされていく。エグゼビアの学校の子どもたち、X-MENの仲間たち、そしてマグニートーたちも例外ではない。
本来はミュータントを見つけ、保護するための力が、ミュータントを殺すために使われる。この反転こそが、ストライカーの計画の恐ろしさだった。
ジーンとサイクロップスの再会、そしてダムの崩壊が始まる
基地内で行動するジーンは、操られたサイクロップスと遭遇する。サイクロップスはストライカー側に精神操作されており、ジーンを敵として攻撃してくる。彼の目から放たれるオプティック・ブラストは強力で、ジーンはその攻撃を受け止めながら、彼を正気に戻そうとする。
ジーンは念動力を使って対抗するが、彼女の力は以前よりも不安定になっている。ふたりの衝突は激しく、サイクロップスの攻撃とジーンの力がぶつかり合った結果、基地の構造に大きなダメージが生じる。
この戦闘によって、アルカリ湖のダムは損傷し、崩壊の兆候を見せ始める。ストライカーの基地は湖の水をせき止める巨大なダムの中に築かれているため、ひとたび崩れれば大量の水が流れ込み、施設そのものが飲み込まれる危険があった。
ジーンはサイクロップスを正気に戻すことに成功するが、同時に状況はさらに切迫する。仲間を救い、セレブロを止め、基地から脱出しなければならない。そのすべてを、ダム崩壊までの限られた時間で成し遂げる必要があった。
ウルヴァリン、レディ・デスストライクと激突する
ローガンは基地の奥へ進む中で、自分の過去と関わる場所にたどり着く。そこは、彼の骨格にアダマンチウムを結合させた実験と関係する施設だった。ローガンは断片的な記憶に苦しみながら、自分がこの場所で何をされたのかを思い出しかける。
そんな彼の前に立ちはだかるのが、ストライカーの配下であるユリコ・オーヤマ/レディ・デスストライクだった。彼女もまた、鋭い爪と高い治癒能力を備えた強力なミュータントであり、ローガンとよく似た戦闘能力を持っている。
ローガンとレディ・デスストライクの戦いは、肉体と金属がぶつかり合う激しい接近戦になる。互いに傷ついても回復し、爪で相手を切り裂きながら、決着のつかない死闘を繰り広げる。ローガンにとって彼女は、単なる敵ではなく、自分と同じようにストライカーに利用された存在でもある。
最終的にローガンは、液状のアダマンチウムを使ってレディ・デスストライクを倒す。彼女の体内にアダマンチウムを流し込むことで、治癒能力を上回る致命的な状態に追い込むのだ。勝利ではあるが、そこには爽快感よりも、ストライカーの実験が生み出した悲劇の後味が残る。
ローガンとストライカー、自分の過去をめぐる対峙
ローガンはついにストライカーと対峙する。ストライカーは、ローガンの過去を知っている。彼の骨格にアダマンチウムを結合させ、記憶を奪うような実験に関わった人物であり、ローガンにとっては自分の空白を埋める鍵そのものでもあった。
ストライカーはローガンに、自分こそが彼の過去を知る存在だと揺さぶりをかける。ローガンは、長年求め続けてきた答えを目の前にして迷う。ここでストライカーを追えば、自分が何者だったのかを知る手がかりを得られるかもしれない。
しかしローガンは、最終的に仲間を選ぶ。彼はストライカーを殺すことを優先せず、逃亡を阻む形で彼をヘリコプターの車輪に鎖でつなぐ。自分の過去への執着よりも、今ここにいる仲間たちを救うことを選んだのだ。
これは、ローガンの変化を示す重要な場面でもある。彼は孤独な放浪者として登場したが、エグゼビアの学校の子どもたちやX-MENと関わる中で、守るべきものを持つようになっている。
マグニートー、セレブロの標的を人間へ変える
一方、マグニートーとミスティークはセレブロの制御に向かう。表向きはストライカーの計画を止めるための行動に見えるが、マグニートーはそこで別の選択をする。
彼はストライカーの計画を阻止するだけではなく、プロフェッサーXの力の標的をミュータントから人間へと切り替える。つまり、ストライカーがミュータントを滅ぼそうとしたのと同じ方法で、今度は世界中の人間を殺そうとするのだ。
ここでマグニートーの本質が改めて示される。彼はミュータントを守ろうとしているが、その方法はプロフェッサーXとは決定的に違う。彼にとって人間は、共存すべき相手ではなく、いずれミュータントを滅ぼす敵である。そのため、先に人間を排除することも選択肢になる。
ミスティークもまた、ストライカーに姿を変え、ジェイソンを操る形でプロフェッサーXの意識を誘導する。こうして、ストライカーのミュータント抹殺計画は止まったかに見えた瞬間、人類抹殺計画へと反転してしまう。
ストームとナイトクロウラー、プロフェッサーXを解放する
セレブロの中で操られ続けるプロフェッサーXを救うため、ストームとナイトクロウラーが動く。ナイトクロウラーの瞬間移動能力を使えば、通常では入り込めない場所にも到達できる。彼はストームを連れてセレブロ内部へ移動する。
セレブロの中では、プロフェッサーXがジェイソンの幻覚に囚われたまま、人間たちへ意識を向けている。このままでは、世界中の人間が彼の能力によって命を奪われてしまう。
ストームは天候を操り、セレブロ内部に冷気を生み出す。吹雪のような力によってジェイソンの集中を乱し、プロフェッサーXを幻覚から解放しようとする。ナイトクロウラーもまた、危険な空間の中でストームを支え、プロフェッサーX救出のために力を尽くす。
やがてプロフェッサーXは精神操作から解き放たれ、セレブロの暴走は止まる。これによって、ミュータントも人間も、大量死の危機から救われる。しかし、基地の崩壊はすでに止められない段階に入っていた。
マグニートー、ミスティーク、パイロはX-MENを置いて去る
危機が収束したように見えた直後、マグニートーは自分たちだけで行動を始める。彼はストライカーのヘリコプターを奪い、ミスティークとともに基地を脱出する。
このとき、パイロもマグニートーの側へつく。パイロは物語の中で、人間社会への怒りと、自分の力を肯定してくれる存在への憧れを強めていた。警察との衝突、学校襲撃、ミュータントへの迫害を目の当たりにした彼にとって、マグニートーの言葉は強く響いていた。
マグニートーはパイロに、自分の能力を隠す必要はないという方向へ誘う。パイロはX-MENの仲間たち、とりわけローグやアイスマンと行動していたが、最終的にはプロフェッサーXの共存思想ではなく、マグニートーの急進的な思想へ傾いていく。
こうして、X-MENはストライカーの計画を止めながらも、内部からひとりの若いミュータントを失うことになる。これは次作以降の対立にもつながる重要な分岐点となる。
ダム崩壊、X-MENは脱出を急ぐ
アルカリ湖のダムは崩壊し始め、大量の水が基地へ流れ込む。X-MENは拉致された子どもたちを救い出し、プロフェッサーX、サイクロップス、ストーム、ジーン、ナイトクロウラー、ローガンたちとともに脱出を図る。
彼らはXジェットへ戻るが、機体は損傷しており、すぐには飛び立てない。エンジンは正常に作動せず、湖の水は猛烈な勢いで迫ってくる。時間はほとんど残されていない。
ローガンたちは必死に機体を動かそうとする。サイクロップスも、プロフェッサーXも、ストームも、子どもたちも、全員が危険にさらされている。ストライカーはヘリコプターに鎖でつながれたまま、迫り来る水から逃れられない状態になっている。
ストライカーは最期までローガンに言葉を投げかけるが、ローガンは彼を救うことも、復讐に戻ることもしない。ローガンが選んだのは、過去に取り憑かれることではなく、仲間と未来へ進むことだった。
ジーン・グレイ、仲間を救うために機外へ出る
Xジェットが飛び立てない中、ジーンは静かに決断する。彼女は仲間たちに気づかれないように機外へ出る。外では、崩壊したダムから流れ出した大量の水が、Xジェットを飲み込もうとしていた。
ジーンは、自分の念動力を使ってXジェットを浮上させる。同時に、押し寄せる水をせき止め、仲間たちを逃がすための時間を作る。彼女の力はこれまで以上に強大なものとして現れ、体からは炎のようなエネルギーが立ち上る。
機内の仲間たちは、ジーンが外にいることに気づく。サイクロップスは彼女を助けようとするが、ジーンは自分の決意を変えない。プロフェッサーXを通じて、あるいはテレパシーで、彼女は仲間たちに別れの言葉を届ける。
ジーンは、Xジェットを安全圏へ押し上げる。仲間たちを救うために、自分だけが水の前に残る。彼女は迫り来る奔流を受け止め続けるが、やがて限界が訪れる。Xジェットが飛び立った直後、巨大な水流がジーンを飲み込む。
ジーンの死がX-MENに残すもの
ジーンの犠牲によって、X-MENと子どもたちは生き延びる。しかし、機内には深い喪失感が広がる。サイクロップスは恋人を失い、ローガンもまたジーンを救えなかった現実を受け止めるしかない。
プロフェッサーXも、彼女の決断を止められなかった。ジーンは単に仲間のひとりではなく、X-MENの精神的な中心のひとりでもあった。彼女の死は、チームにとって大きな傷として残る。
本作におけるジーンの描写は、物語の序盤から少しずつ積み上げられていた。彼女は予感のようなものに苦しみ、自分の力が以前とは違う段階に入っていることを感じていた。終盤で見せる圧倒的な力は、その変化が明確に表に出た瞬間でもある。
彼女の犠牲は、ヒーロー映画のクライマックスとしての感動だけでなく、次の物語へ向けた不穏な余韻も残す。ジーンに何が起きていたのか、その力の正体は何なのか。観客には、彼女の死が完全な終わりではない可能性も示される。
大統領への警告、共存への最後の訴え
ストライカーの計画を止めたX-MENは、最後に大統領のもとを訪れる。彼らはストライカーが進めていた計画の証拠となる資料を提示し、ミュータントを一方的に危険視することの危うさを伝える。
プロフェッサーXは、大統領に対して、ミュータントと人間が敵対し続ければ未来はないと訴える。ミュータントは人間を滅ぼすために存在しているわけではなく、多くのミュータントはただ生きる場所を求めているだけだ。しかし、恐怖と偏見が強まれば、ストライカーのような人物が再び現れる可能性はある。
大統領は、X-MENの存在と、ストライカーが隠していた真実を突きつけられる。事件の発端となったホワイトハウス襲撃も、ミュータント全体の意思ではなく、ストライカーによって仕組まれたものだった。
この場面は、X-MENが単なる自警団ではなく、人間社会との対話を求める存在であることを示している。同時に、彼らがどれだけ世界を救っても、偏見そのものがすぐに消えるわけではないという現実も残される。
エグゼビアの学校に戻る者たち
事件後、X-MENはエグゼビアの学校へ戻る。学校は襲撃によって大きな傷を負ったが、そこはなお、若いミュータントたちにとっての居場所であり続ける。
プロフェッサーXは、再び授業を始める。そこには、日常を取り戻そうとする意志がある。ミュータントを取り巻く世界は危険で、偏見も暴力も消えていない。それでも学校は、ミュータントたちが自分の能力を学び、仲間とともに生きるための場所として再開される。
しかし、ジーンの不在は重い。サイクロップスは深い悲しみに沈み、ローガンもまた彼女の死を忘れられない。プロフェッサーXも、ジーンが見せた力と犠牲の意味を静かに受け止めている。
X-MENはストライカーの計画を止めたが、その代償は大きかった。仲間を失い、パイロはマグニートーの側へ去り、人間社会との対立も根本的には解決していない。勝利のあとに残るのは、安堵よりも、次の嵐を予感させる静けさだった。
アルカリ湖に浮かぶ“不死鳥”の影
ラストでは、アルカリ湖の水面が映し出される。ジーンはダムの崩壊による奔流に飲み込まれ、仲間たちは彼女が死んだと受け止めている。しかし、水面には鳥のような、炎のような形の影が浮かび上がる。
それは、ジーン・グレイの中に眠る力、すなわち“フェニックス”を示唆するイメージだった。彼女の死が本当に終わりなのか、それとも新たな変化の始まりなのか。映画は明確な答えを出さないまま、次作への大きな余韻を残して幕を閉じる。
『X-MEN2』は、ストライカーという人間側の脅威を描きながら、ミュータント内部の思想の分裂もより鮮明にした作品である。プロフェッサーXは共存を訴え、マグニートーは人間への対抗を選び、パイロはその思想に引き寄せられていく。そしてジーンは、仲間を救うために自分の命を差し出す。
ラストに残る不死鳥の影は、喪失の物語であると同時に、ジーン・グレイという存在がまだ終わっていないことを告げるサインでもある。X-MENの戦いは終わらず、むしろここからさらに大きな悲劇と変化へ向かっていく。
