映画『トロール・ハンター』(2010)を紹介&解説。
映画『トロール・ハンター』概要
映画『トロール・ハンター』は、ノルウェーの伝承に登場する巨人“トロール”を、現代の政府隠蔽とドキュメンタリー取材の形式で描いたファンタジー・ホラー。熊の密猟事件を追っていた大学生の撮影チームが、謎の男ハンスを尾行するうちに、政府に雇われた“トロール・ハンター”の存在と、ノルウェー各地に潜むトロールの実態に迫っていく。監督・脚本はアンドレ・ウーヴレダル。主演はノルウェーのコメディアン、オットー・イェスパーセンが務めた。
作品情報
日本版タイトル:『トロール・ハンター』
原題:Trolljegeren
英題:Troll Hunter
製作年:2010年
本国公開日:2010年10月29日
日本公開日:2012年3月24日
ジャンル:ホラー/ファンタジー/アドベンチャー/モキュメンタリー
製作国:ノルウェー
原作:無
上映時間:103分
監督:アンドレ・ウーヴレダル
脚本:アンドレ・ウーヴレダル
製作:ジョン・M・ヤコブセン/スヴェイヌング・ゴリモ
製作総指揮:マーカス・B・ブロダーセン
撮影:ハルヴァル・ブレイン
編集:ペリー・エリクセン
作曲:ヨハン・フースヴィーク
出演:オットー・イェスパーセン/グレン・エルランド・トスタード/ヨハンナ・モールク/トマス・アルフ・ラーセン/ウルミラ・ベルグ=ドマース/ハンス・モルテン・ハンセン/ロバート・ストルテンベルグ/クヌート・ナールム
製作:フィルムカメラテネ/フィルム・ファンド・フッズ
配給:ツイン(日本)/エスエフ・ノルゲ(ノルウェー)
あらすじ
ノルウェーの田舎町で、熊の密猟事件を取材していた大学生のトーマス、ヨハンナ、カッレ。彼らは不審な男ハンスを追ううちに、森の奥で伝説上の存在とされてきたトロールに遭遇する。ハンスの正体は、政府の管理下でトロールを追う孤独なハンターだった。学生たちは彼に同行し、誰も知らなかったトロールの生態と、国家ぐるみの隠蔽の裏側をカメラに収めていく。
主な登場人物(キャスト)
ハンス(オットー・イェスパーセン):政府に雇われ、ノルウェー各地でトロールを追うベテランのトロール・ハンター。危険な仕事を淡々とこなす一方で、過酷な任務と隠蔽体制に疲弊している。
トーマス(グレン・エルランド・トスタード):熊の密猟事件を追う大学生の撮影チームのひとり。ハンスの正体に迫り、トロールの存在を記録しようとする中心人物。
ヨハンナ(ヨハンナ・モールク):トーマスと共に取材を進める大学生。不可解な出来事に巻き込まれながらも、ハンスとトロールをめぐる真実を追っていく。
カッレ(トマス・アルフ・ラーセン):撮影チームのカメラマン。ハンスの行動を追う中で、想像を超える存在を映像に収めていく。
フィン・ハウゲン(ハンス・モルテン・ハンセン):トロールの存在を隠す政府側の人物。ハンスの活動を管理し、表向きには熊の密猟や事故として処理しようとする。
作品の魅力解説
『トロール・ハンター』の大きな魅力は、北欧神話や民間伝承に根ざしたトロールを、現代の行政・環境管理・報道取材の文脈に落とし込んでいる点にある。巨大な怪物をただのホラー演出として扱うのではなく、“政府が存在を隠している生物”として描くことで、荒唐無稽な設定に妙な説得力が生まれている。
また、本作はファウンド・フッテージ形式を採用しながら、単なる恐怖演出にとどまらない。夜の森、山岳地帯、送電線、荒涼としたノルウェーの風景が、トロールの存在と結びつき、民話と現実が地続きになったような独特の空気を作り出している。学生たちのカメラ越しに物語が進むため、観客もまた“禁じられた記録映像”を見ているような感覚を味わえる。
さらに、ハンスという主人公の存在も印象的である。彼は英雄的なモンスターハンターではなく、低賃金で危険な任務を背負わされた労働者のように描かれる。無愛想で疲れ切った佇まいの中に、ブラックユーモアと哀愁がにじみ、怪物映画でありながら社会風刺や職業ドラマのような味わいもある。トロールの迫力、北欧伝承への敬意、乾いた笑いが組み合わさった、異色のモキュメンタリー作品である。
