映画『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)を紹介&解説。
映画『レヴェナント:蘇えりし者』概要
映画『レヴェナント:蘇えりし者』は、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)が、実在の罠猟師ヒュー・グラスの伝承とマイケル・パンクの小説を基に描いたサバイバル・ドラマ。1820年代のアメリカ西部を舞台に、熊に襲われて瀕死の重傷を負い、仲間に裏切られた男が、極寒の荒野を生き抜きながら復讐へ向かう。主演はレオナルド・ディカプリオ、共演にトム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラックら。
作品情報
日本版タイトル:『レヴェナント:蘇えりし者』
原題:The Revenant
製作年:2015年
本国公開日:2015年12月25日
日本公開日:2016年4月22日
ジャンル:アドベンチャー/ドラマ/スリラー
製作国:アメリカ
原作:マイケル・パンク『The Revenant: A Novel of Revenge』(小説)
上映時間:156分
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
脚本:マーク・L・スミス/アレハンドロ・G・イニャリトゥ
製作:アーノン・ミルチャン/スティーヴ・ゴリン/アレハンドロ・G・イニャリトゥ/メアリー・ペアレント/キース・レドモン/ジェームズ・W・スコッチドープル
製作総指揮:ブレット・ラトナー/ジェームズ・パッカー/ジェニファー・デイヴィソン/デヴィッド・カンター/ポール・グリーン/マーカス・バーメットラー/フィリップ・リー
撮影:エマニュエル・ルベツキ
編集:スティーヴン・ミリオン
作曲:坂本龍一/アルヴァ・ノト/ブライス・デスナー
出演:レオナルド・ディカプリオ/トム・ハーディ/ドーナル・グリーソン/ウィル・ポールター/フォレスト・グッドラック/デュアン・ハワード/アーサー・レッドクラウド/グレイス・ダヴ
製作:ニュー・リージェンシー/アノニマス・コンテント/アッピアン・ウェイ/ラットパック・エンターテインメント ほか
配給:20世紀フォックス
あらすじ
1823年、アメリカ西部の未開拓地。毛皮ハンターの一団は、先住民の襲撃を受けながら砦への帰還を目指していた。経験豊富なガイドのヒュー・グラスは、道中で巨大な熊に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。隊長ヘンリーは仲間たちにグラスの最期を看取るよう命じるが、ジョン・フィッツジェラルドは彼を置き去りにし、グラスの息子ホークの命も奪う。奇跡的に生き延びたグラスは、復讐心と生への執念だけを頼りに、凍てつく荒野を進んでいく。
主な登場人物(キャスト)
ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ):毛皮ハンターの一団に同行する経験豊富なガイド。熊に襲われて重傷を負い、仲間に裏切られて荒野に取り残されるが、驚異的な生命力で生き延びようとする。
ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ):グラスと同じ隊に属するハンター。利己的で粗暴な性格の持ち主で、瀕死のグラスを足手まといと見なし、彼の運命を大きく狂わせる。
アンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン):ハンター一団を率いる隊長。責任感を持って隊をまとめようとするが、過酷な状況の中で難しい判断を迫られる。
ジム・ブリジャー(ウィル・ポールター):若いハンター。グラスのそばに残る役目を担うが、フィッツジェラルドに翻弄され、良心と恐怖の間で揺れ動く。
ホーク(フォレスト・グッドラック):ヒュー・グラスの息子。父を深く思う青年で、グラスが復讐へ突き動かされる大きな理由となる存在。
エルク・ドッグ(デュアン・ハワード):アリカラ族のリーダー。連れ去られた娘を探しており、その行動が物語の緊張感を高めていく。
ハイカック(アーサー・レッドクラウド):荒野でグラスと出会う先住民の男性。
ヒュー・グラスの妻(グレイス・ダヴ):グラスの記憶や幻影の中に現れる。
作品の魅力解説
極限のサバイバルを“体感”させる映像体験。
本作の最大の魅力は、観客を荒野のただ中に放り込むような圧倒的な没入感にある。雪、泥、川、森、獣の気配が、単なる背景ではなくグラスを追い詰める“もうひとつの敵”として描かれる。復讐劇でありながら、自然そのものとの戦いが物語の中心にある。
レオナルド・ディカプリオの執念の演技。
ヒュー・グラスを演じたレオナルド・ディカプリオは、言葉よりも息遣い、視線、身体の痛みで感情を伝える。怒り、悲しみ、飢え、寒さ、執念を全身で表現し、第88回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した。
エマニュエル・ルベツキの自然光撮影。
撮影を手がけたエマニュエル・ルベツキの映像は、厳しい自然の美しさと恐ろしさを同時に刻み込む。長回しや自然光を生かした画づくりによって、画面全体に冷気や湿度まで感じさせるような迫力が宿っている。
復讐の物語にとどまらない精神性。
物語の軸は、息子を奪われたグラスの復讐だが、映画は単純な敵討ちだけを描いているわけではない。生き残ること、怒りに支配されること、自然や死と向き合うことを通して、人間の執念と限界を見つめていく。
アカデミー賞3部門受賞の完成度。
本作は第88回アカデミー賞で監督賞、主演男優賞、撮影賞を受賞。アレハンドロ・G・イニャリトゥの演出、レオナルド・ディカプリオの演技、エマニュエル・ルベツキの撮影が一体となり、映画史に残るサバイバル劇として高く評価された。
