『新解釈・三國志』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・評価まとめ

映画『新解釈・三國志』(2020)を紹介&解説。


映画『新解釈・三國志』概要

映画『新解釈・三國志』は、福田雄一監督(実写版『銀魂』シリーズ、『今日から俺は!!』)が、中国の歴史書『三国志』で知られる英雄たちを独自の解釈で描いた歴史コメディ。

大泉洋演じる劉備を中心に、黄巾の乱、董卓と呂布、諸葛亮孔明との出会い、魏・蜀・呉が激突する赤壁の戦いまでを、時代考証にとらわれないギャグと豪華キャストの掛け合いで再構成する。共演にはムロツヨシ賀来賢人橋本環奈山本美月小栗旬佐藤二朗渡辺直美西田敏行らが集結した。

作品情報

日本版タイトル 『新解釈・三國志』
英題 The Untold Tale of the Three Kingdoms
製作年 2020年
日本公開日 2020年12月11日
ジャンル コメディ歴史/時代劇
製作国 日本
原作 無(中国の歴史書『三国志』などで知られる三国時代を題材としたオリジナル脚本)
上映時間 113分
監督・脚本 福田雄一
プロデューサー 北島直明/松橋真三
製作総指揮 伊藤響
アクション監督 田渕景也
撮影監督 工藤哲也
撮影 鈴木靖之
美術 高橋努
編集 臼杵恵理
音楽 瀬川英史
主題歌 福山雅治「革命」
出演 大泉洋/賀来賢人/橋本環奈/山本美月/岡田健史/橋本さとし/高橋努/岩田剛典/渡辺直美/磯村勇斗/矢本悠馬/阿部進之介/半海一晃/ムロツヨシ/山田孝之/広瀬すず/城田優/佐藤二朗/西田敏行/小栗旬
制作プロダクション クレデウス
製作 映画「新解釈・三國志」製作委員会
配給 東宝

あらすじ

今からおよそ1800年前の中国。中華統一をめぐり、各地の武将たちが争いを繰り広げる乱世に、民の平穏を願う劉備が立ち上がる。関羽、張飛と義兄弟の契りを結んだ劉備は、やがて天才軍師と名高い諸葛亮孔明を仲間に迎え、数々の戦いへ身を投じていく。

曹操率いる魏が勢力を拡大する中、劉備たちは呉との同盟を模索する。こうして戦局は、魏軍80万と蜀・呉連合軍3万が激突する赤壁の戦いへ。しかし、歴史に伝えられてきた劉備や孔明、周瑜らの実像は、後世の人々が信じているものとは少し違っていた……?

主な登場人物(キャスト)

劉備玄徳(大泉洋):のちに蜀の英雄として語り継がれる武将。仁徳にあふれ、人々のために立ち上がった人物とされているが、本作では戦いに消極的で愚痴も多い、どこか頼りない人物として描かれる。それでも関羽や張飛を引きつける不思議な人望を持つ。

諸葛亮孔明(ムロツヨシ):劉備軍に迎えられる軍師。歴史上は稀代の天才として知られる一方、本作では調子がよく、口先で窮地を切り抜けようとする“アホすぎる”人物として登場する。

周瑜(賀来賢人):孫権に仕える呉の総司令官。知略と武勇を兼ね備えた名将だが、孔明への対抗心が強く、自信過剰でナルシストな一面を持つ。妻の小喬を深く愛している。

黄夫人(橋本環奈):孔明の妻。利発で優れた知恵を持ち、夫を陰から支えている。本作では孔明を圧倒するほど頭が切れる一方、夫に容赦なく怒りをぶつける“中国四千年の鬼嫁”として描かれる。

小喬(山本美月):周瑜の妻。姉の大喬とともに「二喬」と呼ばれた美女。無邪気で世間知らずなところがあり、戦場でも物怖じしない。

孫権(岡田健史):父・孫堅と兄・孫策の遺志を継いで呉を治める若き君主。生真面目で素直だが、家臣たちの意見を簡単に信じ、判断が揺れ動いてしまう。

曹操(小栗旬):強大な魏軍を率い、中華統一を目指す武将。圧倒的な野心とカリスマ性を持つ一方、部下のおふざけに乗ってしまうといった調子のいい一面が描かれている。

貂蝉(渡辺直美):絶世の美女として語り継がれてきた女性。董卓と呂布の関係を引き裂くために送り込まれる“時代考証的な美女”として描かれる。

董卓(佐藤二朗):漢王朝の実権を握り、暴虐の限りを尽くす権力者。

蘇我宗光(西田敏行):『三国志』を研究する架空の歴史学者。これまで定説とされてきた英雄たちの逸話に疑問を投げかけ、“新解釈”を講義する語り部として物語を進行する。

作品の魅力解説

歴史コメディというより「超長尺コント」

もちろん本作は正統派の歴史映画として見るべき作品ではない。福田雄一監督の過去作品と同様、物語や歴史的整合性よりも、俳優同士の掛け合いとギャグを優先した作品であり、その感触はコメディ映画というより「超長尺コント」に近い。

荘厳風の衣装や大規模なセットを用意しながら、そこで繰り広げられるのは、ぼやき、言い争い、顔芸、長回しのアドリブ風会話である。113分にわたって同様のテンポが続くため、福田作品の笑いが合わない観客には長く感じられるだろう。一方、難しいことを考えず、とにかく笑いたいときに気軽に見る作品としては、最初から最後まで姿勢が一貫している。

時代考証を放棄したテキトーさを貫く

疫病に対して「マスクをすればいい」と語り、三国時代の戦場で武田信玄の「風林火山」を持ち出し、さらには現代的な言葉や英語まで平然と飛び出す。福田監督には、ギャグを三国時代の世界観へ自然に溶け込ませようという意図がほとんどない。

しかし、このテキトーさこそが作品の中心的なコンセプトでもある。歴史上の英雄をありがたがるのではなく、劉備をぼやいてばかりの男にし、孔明を口先だけの軍師にし、伝説的な逸話を「本当はこうだったのではないか」という脱力した仮説に置き換えていく。お固い歴史物を徹底してバカバカしく崩すという目的だけは、驚くほど忠実に貫かれている。

“福田ファミリー”が全力でバカを演じる

キャストにはムロツヨシ、佐藤二朗、橋本環奈、小栗旬、山田孝之、賀来賢人ら、福田作品でおなじみの俳優が集結。渡辺直美が演じる貂蝉の意表を突いた登場や、ムロツヨシによる“アホすぎる”孔明、賀来賢人によるとぼけた周瑜など、それぞれの俳優が得意とする笑いが前面に押し出されている。

現在の視点から見ると、その面白さはさらに増している。賀来賢人は『Never After Dark/ネバーアフターダーク』でプロデューサーと俳優を兼任し、作品作りの手腕とシリアスな演技を披露。佐藤二朗も『さがす』『爆弾』『名無し』などで、凄みのある本格的な演技を見せてきた。確かな実力を持つ俳優たちが、大がかりな衣装とセットの中で全力でバカを演じているからこそ、ただふざけるだけでは生まれない可笑しさがある。

笑いの好みが評価を大きく左右する

会話を長く引っ張る演出、俳優のアドリブを思わせる芝居、現代的なパロディー、容姿を笑いに結びつける表現などは、観客によって評価が大きく分かれる。特に貂蝉をめぐるギャグは、歴史上の「絶世の美女」という固定観念を反転させたものと受け取れる一方、容姿いじりに依存した笑いとして不快に感じる人もいるだろう。

福田雄一監督の笑いを楽しむための作品だと割り切り、お笑いへのアンテナを高めて臨めば、豪華俳優陣による壮大でくだらないコントとして楽しめる。合う人には気楽な娯楽となり、合わない人にはとことん合わない。その振り切れ方も含めて、極めて福田雄一監督らしい一本である。

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