『ヒート』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・ネタバレ・魅力・トリビアまとめ【アル・パチーノ×ロバート・デ・ニーロ】

『ヒート』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・ネタバレ・魅力・トリビアまとめ【アル・パチーノ×ロバート・デ・ニーロ】 Database - Films
アル・パチーノ、『ヒート』より ©Warner Bros.

映画『ヒート』(1995)を紹介&解説。


映画『ヒート』概要

映画『ヒート』は、『コラテラル』『マイアミ・バイス』のマイケル・マン監督が放つ、ロサンゼルスを舞台にした緊迫のクライムアクション大作。大胆な強盗を重ねる犯罪集団と、彼らを執念深く追う刑事の攻防を軸に、互いが抱える孤独や私生活の揺らぎを映し出す。出演はアル・パチーノロバート・デ・ニーロヴァル・キルマージョン・ヴォイトら豪華俳優陣。

作品情報

日本版タイトル:『ヒート』
原題:Heat
製作年:1995年
日本公開日:1996年5月25日
ジャンル:クライムドラマアクション
製作国:アメリカ
原作:無
上映時間:171分
次作:『Heat 2(原題)』(制作中)
リメイク元:『メイド・イン・L.A.』(1989)
リメイク版:『職業大賊(原題)』(1998)

監督:マイケル・マン
脚本:マイケル・マン
製作:マイケル・マン/アート・リンソン
製作総指揮:アーノン・ミルチャン/ピーター・ヤン・ブルッヘ
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:ドヴ・ホーニッグ/パスクァーレ・ブーバ/ウィリアム・ゴールデンバーグ/トム・ロルフ
作曲:エリオット・ゴールデンサル
出演:アル・パチーノロバート・デ・ニーロヴァル・キルマー/ジョン・ヴォイト/トム・サイズモア/ダイアン・ヴェノーラ/エイミー・ブレネマン/アシュレイ・ジャッド/ミケルティ・ウィリアムソン/ウェス・ステューディ/テッド・レヴィン/ナタリー・ポートマン
製作:ワーナー・ブラザース/リージェンシー・エンタープライズ/フォワード・パス/アート・リンソン・プロダクションズ
配給:ワーナー・ブラザース

あらすじ

1990年代のロサンゼルス。大胆な武装強盗を重ねる犯罪集団を率いる男と、彼らを執念深く追うベテラン刑事がいる。現金輸送車襲撃を発端に、両者の距離は危ういほど急速に縮まっていく。やがて互いの仕事への矜持と私生活の揺らぎも絡み合い、静かに避けがたい対決へ向かう。

主な登場人物(キャスト)

ヴィンセント・ハナ(アル・パチーノ):L.A.P.D.の重犯罪捜査にあたるベテラン刑事。仕事への異常なまでの没入力を武器に、ニール一味を執念深く追う一方、私生活では家庭との距離を深めている。

ニール・マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ):大規模な強盗を専門とする、冷静沈着な犯罪者。人間関係すら即座に断てるよう自らを律し、感情よりも流儀を優先して生きる犯罪集団のリーダー。

クリス・シヘルリス(ヴァル・キルマー):ニールの右腕格にあたる実働メンバー。強盗の現場で高い能力を発揮する一方、妻シャーリーンとの関係を抱え、仕事と私生活のはざまで揺れる。

ネイト(ジョン・ヴォイト):ニールが信頼を寄せる裏社会の仲介役。仕事の橋渡しや助言を担い、犯罪グループの行動を陰で支える。

イーディ(エイミー・ブレネマン):グラフィックデザイナーとして働く女性。孤独を抱えるニールが心を開いていく相手であり、彼の人生観を揺らす存在となる。

ジャスティーン(ダイアン・ヴェノーラ):ヴィンセントの妻。夫が仕事に人生を奪われていくなかで、結婚生活のひずみを真正面から引き受ける。

シャーリーン(アシュレイ・ジャッド):クリスの妻。夫の危うい生き方に翻弄され、思い悩んでいる。

ウェイングロー(ケヴィン・ゲイジ):ニールのチームに加わる新入り。無用な暴力で序盤の事件を悪化させ、以後の展開に大きな火種を残す。

『ヒート』レビューはこちら

後日更新予定。

内容(ネタバレ)

現金輸送車襲撃から始まる

物語は、ニール・マッコーリー率いるプロの強盗団が、現金輸送車から無記名債券を奪う襲撃を実行する場面から始まる。だが新入りのウェイングローが独断で警備員を殺害したことで、現場は一気に流血の惨事へ発展し、ニールたちは証拠隠滅のため残る警備員も射殺する。ニールはこの失態の責任を取らせようとするが、ウェイングローはその場から逃走する。

ハナの捜査と、警察側・犯人側それぞれの私生活

この襲撃を受け、L.A.P.D.のヴィンセント・ハナとそのチームが捜査を開始する。ハナは仕事に没頭するあまり家庭が崩れかけており、妻ジャスティーンや継娘ローレンとの関係にも深い亀裂を抱えている。一方のニールもまた孤独な生活を送りながら、イーディという女性と出会い、これまで避けてきた個人的なつながりに少しずつ引き寄せられていく。

盗品処理の取引が、新たな火種になる

ニールは仲介役ネイトの助言を受け、奪った債券をその持ち主であるロジャー・ヴァン・ザント側に売り戻そうとする。ところがヴァン・ザントは取引に応じるふりをしながら、裏でニールたちを消そうと待ち伏せを仕掛ける。ニールはそれを読んで逆に返り討ちにし、以後ヴァン・ザントとの対立は、警察の追跡とは別の危険な火種として動き始める。

監視網の形成と、未遂に終わる次の仕事

やがて情報提供者を通じて、ハナたちはニール一味の一員にたどり着き、グループ全体の監視を本格化させる。警察は彼らの次の標的が貴金属保管施設だと突き止め、張り込みを行う。ニールたちは侵入に成功しかけるが、現場で警官側の小さな物音に気づき、罠を察知して計画を中止する。証拠不十分のため、ハナは目の前の獲物を取り逃がすことになる。

ハナとニールが正面から向き合う

その後、ニールたちは「最後の大仕事」として銀行強盗を計画する。中盤の大きな山場となるのが、ハナがニールを車ごと止め、喫茶店で向かい合う場面である。ここでふたりは、互いが仕事以外の生き方をほとんど持てない人間であることを認め合い、奇妙な敬意を交わしながらも、必要なら最後は相手を殺すしかないと理解する。物語はこの対面を境に、単なる追跡劇から、似た者同士の宿命的な衝突へとさらに深まっていく。

最後の銀行強盗が実行される

ニールは、警察に追われている状況でもなお“最後の大仕事”として銀行強盗を決行する。仲間のトレホは監視を疑って参加を取りやめ、代わりに旧知のドン・ブリーダンが逃走役として加わる。ハナはニールたちの動きを読んでおり、強盗成功直後の一味を市街地で待ち伏せする。

市街地の銃撃戦で一味が崩壊する

銀行から出た一味はL.A.P.D.と激しい銃撃戦に突入し、映画全体でも最大級の山場となる。ブリーダンとチェリトはこの戦いで命を落とし、クリスは重傷を負うが、ニールは彼を連れてその場を離脱する。警察側にも多数の死傷者が出て、追跡劇は一気に破滅の段階へ進む。

裏切りの真相が明かされ、ニールは報復に動く

負傷したクリスを医者に診せたあと、ニールは密告者を疑ってトレホのもとへ向かう。だがそこで待っていたのは瀕死のトレホと、殺された妻の姿だった。トレホは、ウェイングローとロジャー・ヴァン・ザント側に脅され、銀行強盗の情報を漏らさざるを得なかったと告げる。真相を知ったニールは、まずヴァン・ザントを自宅で射殺する。

クリスは逃れ、ハナは家庭の崩壊に直面する

一方でクリスは、別居状態にあった妻シャーリーンと再会しようとする。しかし彼女の周囲はすでに警察に固められており、シャーリーンは手振りだけで危険を伝える。クリスはその合図を受けて引き返し、ふたりは再会できないまま別れる。またハナは、ホテルの浴室で継娘ローレンが自殺を図って倒れているのを見つけ、病院へ搬送する。命は助かるものの、ハナはジャスティーンとの結婚生活がもはや修復不能であることを受け入れる。

逃走寸前で、ニールは自ら掟を破る

ニールはイーディを連れて国外へ逃げる決意を固め、空港へ向かう。イーディは彼の正体を知って動揺するが、それでも共に行くことを選ぶ。ところが移動の途中、ネイトからウェイングローの潜伏先を知らされたニールは、これまで自分が守ってきた“執着を持たない”流儀を捨て、復讐のため引き返す。ホテルに侵入した彼は火災報知器を作動させ、混乱に乗じてウェイングローを撃ち殺す。

空港での最後の対決

ウェイングロー殺害の直後、ホテル周辺でハナに姿を見つけられたニールは、そのまま空港方面へ逃走する。ロサンゼルス国際空港の滑走路近くで、ふたりは光と暗闇のあいだを挟んで最後の追跡戦に入る。やがてハナが先に機を読み、ニールを撃つ。致命傷を負ったニールは息絶える直前、かつて喫茶店で向き合った“唯一わかり合える相手”でもあるハナに手を差し出し、ハナはその手を握る。映画は、勝者の達成感ではなく、互いを理解してしまったふたりの静かな終幕として閉じる。

作品トリビア

実在の刑事と犯罪者の関係が発想源になっている

本作は完全な空想から生まれた話ではなく、シカゴの刑事チャック・アダムソンが実在の犯罪者ニール・マッコーリーを追った事件が大きな着想源になっている。さらに、アダムソンと実在のマッコーリーが実際にコーヒーを飲みながら向き合ったことがあり、その記憶が映画の有名な喫茶店シーンの土台になったとされる。

いきなり映画化されたのではなく、前段階にテレビ版があった

この物語は、いきなり1995年版として完成したわけではない。脚本には、先行するテレビ用作品『L.A. Takedown(原題)』という“前身”があり、マイケル・マン自身も、長編映画として再構成するには結末をきちんと解けるまで踏み切れなかったと、アカデミーの再上映時の記録で振り返られている。

パチーノとデ・ニーロが“同じ場面で向き合う”のは本作が初めてだった

アル・パチーノとロバート・デ・ニーロは『ゴッドファーザー PART II』にも出ているが、同じ時間軸・同じ場面で直接向き合うのは『ヒート』の喫茶店シーンが初めてだった。この場面は事前にリハーサルせず撮影され、デ・ニーロの提案で“初めてぶつかる緊張感”をカメラに残そうとしたことが、後年のアカデミー記録やマン自身の証言でも語られている。

あの喫茶店シーンは、かなり“生もの”に近い作り方をされていた

アカデミーの記録によれば、喫茶店シーンはオーバーショルダー中心の複数カメラで撮られ、最終的に使われたのはテイク11だった。演出としては極度に精密だが、俳優同士の化学反応そのものは、あえてリハーサルで擦り減らさない方針だったことがわかる。

ハナの“妙に昂ぶった感じ”には、初期設定の名残がある

よく知られたトリビアのひとつに、ヴィンセント・ハナには初期稿でコカイン常用の設定があった、というものがある。アカデミーでの回顧イベントでもパチーノ本人が、最終版では削られた“コカインに関する裏設定”に触れており、彼の過剰なテンションを理解する手がかりとして語っている。

強盗側キャストは、実際に銀行の下見までしていた

リアリティ作りのため、ロバート・デ・ニーロ、ヴァル・キルマー、トム・サイズモアは、実際にセンチュリーシティで“銀行の下見”を行ったという。いっぽう警察側の俳優たちは、プロの盗賊を相手にした模擬尋問にも参加しており、マイケル・マン自身もロサンゼルスの警官と5か月にわたり無線出動へ同乗し、映画ではあまり切り取られない都市の表情を吸収していた。

有名な市街地銃撃戦は、数か月の訓練と“現場音”で成立している

ダウンタウンの銃撃戦では、マイケル・マンが元SAS隊員のアンディ・マクナブとミック・グールドを起用し、俳優陣を数か月にわたって訓練した。さらに本番ではフルロードのブランク弾を使い、その反響音が街のガラス壁面に跳ね返るのを10〜11本ほどのマイクで拾い、通常のポスト効果音ではなく撮影時の音を大きく生かしたとマン自身が語っている。

ロサンゼルス全体を使うため、撮影規模もかなり大きかった

アカデミーの再上映時の記録では、本作は95か所のロケーションで107日間かけて撮影されたと紹介されている。都市映画としてのスケール感や、場所ごとに空気の異なるロサンゼルスを活写できた背景には、この大規模ロケ撮影があったのだろう。

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