映画『アイアン・スカイ』(2012)を紹介。
『アイアン・スカイ』概要
『アイアン・スカイ』は、月の裏側に潜むナチスが地球へ逆襲する、ティモ・ヴォーレンソラ監督のSFコメディアクション。政治風刺も盛り込むインディペンデント系の話題作で、カルト的な人気を誇っている。1945年に月へ逃れた残党が2018年、宇宙艦隊で侵攻を企て、地球で奪った現代技術が引き金となる。出演はユリア・ディーツェ、クリストファー・カービイ、ゲッツ・オットー、ウド・キア。
作品情報
日本版タイトル:『アイアン・スカイ』
原題:Iron Sky
製作年:2012年
日本公開日:2012年9月28日
ジャンル:SF/コメディ/アクション
製作国:フィンランド/ドイツ/オーストラリア
原作:無
上映時間:93分(ディレクターズカット版は110分)
監督:ティモ・ヴォーレンソラ
脚本:マイケル・カレスニコ/ティモ・ヴォーレンソラ
撮影:ミカ・オラスマー
編集:スレーシュ・アイヤー
作曲:ライバッハ
製作:Blind Spot Pictures/Energia Productions/27 Films Productions/New Holland Pictures
『アイアン・スカイ』あらすじ
2018年、再選を狙う政権が企画した有人月探査が月面へ着陸し、乗員は月の裏側でナチス残党の基地を発見する。捕らえられた宇宙飛行士のスマートフォンが、彼らの兵器開発に決定的な計算力を与える。地球侵攻が現実味を帯びる中、双方の思惑が交錯し、戦いは宇宙へ拡大していく。
主な登場人物(キャスト)
レナーテ・リヒター(ユリア・ディーツェ):月面ナチスの若き理想主義者で、ナチス残党による地球侵攻計画に関わりつつ葛藤する女性。
ジェームズ・ワシントン(クリストファー・カービイ):アメリカから月面へ派遣された宇宙飛行士で、ナチスに捕らわれながらも彼らの陰謀と対峙する主人公格の人物。
クラウス・アドラー(ゲッツ・オットー):月面ナチスの軍人で、計画推進のため地球侵攻や自身の野望を追求する硬骨な指導者。
ウォルフガング・コーツフライシュ(ウド・キア):月面ナチスの総統として地球征服を画策する冷酷で老練なナチス指導者
『アイアン・スカイ』簡易レビュー
「月の裏側に隠れていたナチスが地球侵略に攻めてくる!」そんな物語の筋書きそのものは至ってシンプルだが、ブラックコメディとしての痛快さは抜群だ。各国を皮肉たっぷりにいじり倒すそのスタイルは、『翔んで埼玉』をグローバルかつ政治的な舞台に押し上げたような、破天荒なエンターテインメントと言える。
ナチスだけを標的にするのかと思いきや、その矛先はアメリカ、ロシア、北朝鮮にまで容赦なく向けられる。
「軍縮条約に調印しながら皆が武器を作り続けている」とアメリカが非難すれば、即座に「お前が言うな」と切り返される。それに対して「アメリカはいいのだ」と開き直る身勝手さ——一見ふざけ倒しているようでいて、実は現実の国際政治を的確に風刺した皮肉の連打が実に小気味良い。
加えて、日本語字幕の絶妙にテキトーな翻訳センスも見逃せない。「脳タリン」「アンポンタン」「オタンチン」といった、昭和の漫画から飛び出してきたような古めかしい悪口のチョイスが、作品の軽妙さをさらに引き立てている。このレトロな語彙が妙にハマっており、じわじわと笑いを誘うのだ。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
