『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020)を紹介&解説。


映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』概要

映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、吾峠呼世晴の漫画『鬼滅の刃』を原作とするテレビアニメシリーズの続編として製作された劇場アニメーション。

テレビシリーズ「竈門炭治郎 立志編」の最終話から直接物語が続き、無限列車で相次ぐ失踪事件を調査する竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助と、鬼殺隊最高位の剣士“柱”のひとりである炎柱・煉獄杏寿郎の戦いを描く。

監督は外崎春雄、アニメーション制作および脚本制作はufotable。声の出演は花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔、石田彰ら。

作品情報

日本版タイトル 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
英題 Demon Slayer -Kimetsu no Yaiba- The Movie: Mugen Train
製作年 2020年
日本公開日 2020年10月16日
ジャンル アニメーション/アクション/ファンタジー/アドベンチャー
製作国 日本
原作 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』(漫画)
上映時間 117分
監督 外崎春雄
脚本 ufotable(脚本制作)
製作 三宅将典/高橋祐馬/藤尾明史
撮影 寺尾優一
編集 神野学
作曲 梶浦由記/椎名豪
出演 花江夏樹/鬼頭明里/下野紘/松岡禎丞/日野聡/平川大輔/石田彰
製作 アニプレックス/集英社/ufotable
配給 東宝/アニプレックス(日本)

あらすじ

蝶屋敷での修業を終えた竈門炭治郎、竈門禰豆子、我妻善逸、嘴平伊之助は、次なる任務のため《無限列車》へ乗り込む。列車では短期間のうちに40人以上もの人々が行方不明になっていた。

そこで一行は、鬼殺隊最高位の剣士“柱”のひとり、炎柱・煉獄杏寿郎と合流する。

事件の裏では、鬼舞辻無惨の配下である“下弦の壱”・魘夢が暗躍していた。魘夢の血鬼術によって深い眠りへ落とされ、それぞれ幸福な夢を見せられてしまう炭治郎たち。

夢と現実が入り混じる中、炭治郎たちは無限列車の乗客を守るため、強大な鬼との戦いへ挑んでいく。

主な登場人物(キャスト)

竈門炭治郎(花江夏樹):鬼に家族を殺され、鬼となった妹・禰豆子を人間に戻す方法を探しながら鬼殺隊として戦う少年。嗅覚に優れ、水の呼吸やヒノカミ神楽を駆使する。誠実で真っ直ぐな性格を持つ。

竈門禰豆子(鬼頭明里):炭治郎の妹。鬼となりながらも人間を襲うことを拒み、炭治郎とともに戦う。普段は炭治郎が背負う箱の中で行動している。

我妻善逸(下野紘):炭治郎と行動をともにする鬼殺隊士。臆病で騒がしい性格だが、極限状態では雷の呼吸を用いて高い戦闘能力を発揮する。

嘴平伊之助(松岡禎丞):猪の頭を被り、二刀流で戦う鬼殺隊士。好戦的で猪突猛進な性格だが、炭治郎たちとの旅を通して仲間を思いやる感情を身につけていく。

煉獄杏寿郎(日野聡):鬼殺隊最高位の剣士“柱”のひとりである炎柱。炎の呼吸を操る圧倒的な実力者で、明朗快活かつ強い責任感を持つ。無限列車で炭治郎たちと合流する。

魘夢/下弦の壱(平川大輔):鬼舞辻無惨直属の十二鬼月のひとり。人間を眠らせて夢の世界へ閉じ込める血鬼術を操り、無限列車の乗客と鬼殺隊を狙う。

猗窩座(石田彰):十二鬼月の“上弦の参”に位置する鬼。圧倒的な戦闘能力を持ち、強者との戦いを強く求める。

作品の魅力解説・レビュー

テレビシリーズでも圧倒的だったufotableが、劇場版でさらなる本気を見せる

テレビアニメ版の時点から『鬼滅の刃』を支えてきた大きな魅力のひとつが、ufotableによるアニメーションだ。『無限列車編』では、その映像表現が劇場スクリーン向けにさらにスケールアップしている。

特に、水の呼吸や炎の呼吸といった剣技の表現は圧巻。単純に光のエフェクトを派手にするのではなく、キャラクターの身体の動き、刀の軌道、カメラワーク、背景美術を連動させることで、一連のアクションそのものが美しい映像として成立している。バトルシーンだけでも何度も見返したくなるほどのクオリティだ。

煉獄杏寿郎の強さと生き方が、一気に心へ入ってくる

本作で圧倒的な存在感を放つのが煉獄杏寿郎。炎柱としての戦闘能力はもちろん、その強さを何のために使うのかという価値観が、物語の中で大きな意味を持ってくる。

「なぜ自分が人よりも強く生まれたのかわかりますか?」という問いにも象徴されるように、本作は単なる“強いキャラクターの活躍”ではなく、力を持つ者が、その力をどう使って生きるのかを真正面から描く。

原作未読で物語を初めて映画で体験しても、一作品の中だけで煉獄という人物に強く惹きつけられる構成になっている。

猪之助が一気に好きになる一本

筆者個人的に、本作を通して一気に好きになったキャラクターが嘴平伊之助だった。

騒がしく、強引で、とにかく面倒くさい。しかし戦いになれば誰よりも前へ出て、仲間のためにも身体を張る。

特に炭治郎と伊之助が二人で力を合わせる場面は、ufotableのアクション表現の魅力も重なり、本作の大きな見どころのひとつになっている。

暴走しがちな伊之助の扱い方をすっかり理解している炭治郎との掛け合いも面白い。激しい戦いの中でも、それまでシリーズで積み重ねてきた二人の関係性が自然に感じられる。

“夢の中”を利用する魘夢の能力が作る独特の面白さ

前半の敵となる魘夢の能力も印象的だ。ただ直接戦うのではなく、人間を幸福な夢の中へ閉じ込め、その間に現実世界で攻撃を仕掛ける。さらに夢の深部へ他者を侵入させる仕組みまで登場することで、現実と夢が何重にも重なっていく。

夢の中と外で別々の人物が暗躍する構造には、どこか『インセプション』を連想させる面白さもある。同時に、炭治郎たちがどんな夢を見るのかによって、それぞれが本当に望んでいるものや失ったものまで浮かび上がるため、敵の特殊能力がそのままキャラクター描写にも結びついている。

後半で作品の熱量そのものが変わる構成

物語はテンポよく進み、無限列車をめぐる事件そのものもかなり大きなクライマックスへ向かっていくが……本作はそこで終わらない。

「この尺ならもう終盤では?」と思ったところから、物語の重心と緊張感が大きく変わっていく構成には驚かされる。

前半の夢を利用した異色の戦いと、後半の真正面からぶつかり合う壮絶な戦闘。その二段構えによって、一本の映画として非常に大きな感情の波が作られている。

LiSA「炎」とエンドロールまで含めて完成する余韻

激しい本編が終わった後、エンドロールで流れるLiSAの主題歌「炎」も本作には欠かせない。

映画で描かれた感情をすぐに切り替えさせるのではなく、観客を席に残したまま、物語を受け止める時間を作ってくれる。

アクション映画としての興奮、キャラクターへの愛着、そして喪失や受け継がれていく意志までを抱えたままエンドロールへ入っていく構成が非常に強い。

派手な戦闘だけでなく、鑑賞後まで感情を残すところまで含めて『無限列車編』の大きな魅力だ。

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