【映画レビュー『オペレーション:カブール』】崩れゆくアフガニスタン、大規模救出作戦と一人を救う個人の情念が交差する異色の戦争アクション

【映画レビュー『オペレーション:カブール』】崩れゆくアフガニスタン、大規模救出作戦と一人を救う個人の情念が交差する異色の戦争アクション Film Review
『オペレーション:カブール 極限救出48時間』より A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

新作映画『オペレーション:カブール 極限救出48時間』を紹介&解説するレビュー。


2021年8月、アメリカ軍の撤退とともに崩れゆくアフガニスタン。空港へと殺到する避難民、刻一刻と迫るタイムリミット——あの混乱を、NATO加盟国ハンガリー軍の視点から描いた戦争アクションが『オペレーション:カブール 極限救出48時間』だ。米軍を主役に据えた作品が多いなか、ハンガリー軍を主人公とする切り口は珍しく、それだけでも本作を観る理由になる。大規模な撤退作戦と、一人の人間を救いたいという個人的な願い。そのふたつを同じ画面のなかで走らせたとき、この映画は何を映し出すのか。9月11日(金)に日本公開を迎える本作を紹介したい。

【本作のあらすじ・作品情報・キャラクター(キャスト)紹介はこちら】

米軍ではなくハンガリー軍を主人公に据えた視点

題材となっているのは、2021年8月のアフガニスタン情勢と、その渦中で敢行されたハンガリー軍による救出作戦だ。アメリカ軍を中心とした視点を採らず、NATO加盟国の一つであるハンガリー軍を主人公に据えた点は、本作の大きな特徴と言っていい。

各国軍が相次いで撤退し、多数の避難民が空港へと殺到する混乱のなか、限られた時間内に人々を国外へ脱出させる任務が物語の軸となる。しかし本作が描くのは、単に人を救出するという行為にとどまらない。リストに載っていない者を救うべきか、限られた時間とリソースのなかでどこまで救う努力を尽くすべきか——そうした正義と信念の葛藤にまで踏み込んでいく。

“任務さえ遂行できればいい”という単純な話ではないところに、本作の奥行きがある。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』より

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』より A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

大規模作戦と個人の情念、その二重性が生む味わい

物語は、大勢の民間人を救出する軍事作戦と並行して、主人公がかつて自分を救った女性を取り戻そうとする個人的なドラマを同時進行させていく。軍事作戦としての緊張感だけでなく、そこに個人的な愛着を絡めることで、感情の振れ幅はいっそう大きくなる。

組織としての使命と、一個人の情念——本作はその両方に焦点を当てている。悪く言えば、どちらにも十分な時間を割ききれず、どっちつかずの印象は否めない。

だが良く言えば、その二重性こそが本作独自の味わいを生んでいるとも言える。明確なタイムリミットのなか、大規模な撤退作戦と、たった一人を救いたいという願いを重ね合わせることで、本作は戦況そのもの以上に、極限状態に置かれた兵士たちの選択へと深く分け入っていく。そうして戦争アクションドラマとしての厚みを獲得しているのだ。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』より

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』より A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

ハンガリー国防軍の全面協力が支える臨場感

撮影には相当な気合いが入っている。ハンガリー国防省と国防軍の協力のもと、アフガニスタンの空港やカブールの街並みをハンガリー国内に再現し、ハンガリー軍の現用装備や軍用車両、軍用機までもが投入された。さらに、実際の救出作戦に参加した兵士が軍事アドバイザーを務め、出演者の動作や戦闘行動を指導したという。

ドラマとしての情感を大切にしながらも、戦争アクションとしての臨場感を徹底して追求する——その姿勢が確かに伝わってくる。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』より

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』より A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025


組織の使命と個人の情念、そのどちらにも振り切れない構成は弱点にもなりうるが、それでも極限状態に置かれた兵士たちの選択を丁寧に追う姿勢と、国防軍の全面協力が支える臨場感は、確かに見応えがある。満点とは言わないが、戦争アクションドラマとしての手応えは十分に残る一本だ。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』は9月11日(金)より日本公開。米軍以外の視点から「あの夏」を見つめ直す機会として、劇場で確かめてみてほしい。

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