大ヒットホラー『オブセッション 災愛』をフォーカス・フィーチャーズが15部門規模でオスカーへ本格投入する。
2026年最大級のサプライズヒットとなったホラー映画『オブセッション 災愛』が、今度は賞レースへ本格的に乗り込む。
フォーカス・フィーチャーズが、カリー・バーカー監督作『オブセッション 災愛』について大規模なアカデミー賞キャンペーンを展開することが明らかになった。
キャンペーンの中心に据えられるのは、ニッキ役で一躍注目を集めたインディ・ナヴァレッテ。
主演女優賞へのエントリーを予定するほか、作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞など15の賞カテゴリーで候補入りを狙う。
インディ・ナヴァレッテを主演女優賞へ
Varietyによれば、フォーカス・フィーチャーズはナヴァレッテを主演女優賞部門でキャンペーンする。
『オブセッション 災愛』でナヴァレッテが演じたニッキは、同僚ベアの願いによって彼を異常なほど愛するようになり、その感情が次第に危険な方向へ暴走していく人物。恋愛映画のヒロインのような柔らかさから、恐怖の対象へと急速に変化する演技は公開当初から話題となった。
同作以前にはドラマ「スーパーマン&ロイス」などで知られていたナヴァレッテだが、本作の世界的成功によって一気に知名度を高めた。フォーカス・フィーチャーズは、このブレイクそのものも含めて彼女を今シーズンのキャンペーンの中心に据える方針だ。
主演男優賞にはベア役のマイケル・ジョンストンを提出。助演部門ではクーパー・トムリンソン、メーガン・ローレス、アンディ・リクターも候補としてプッシュされる。
カリー・バーカーは監督・脚本・編集の3部門
さらに興味深いのが、監督カリー・バーカーの扱いだ。
フォーカス・フィーチャーズはバーカーを監督賞、脚本賞、編集賞の3部門でキャンペーンする。
バーカーは低予算のYouTube映画『Milk & Serial』などで注目された映像クリエイター。『オブセッション 災愛』では監督・脚本・編集を兼任し、75万ドルという極めて小規模な製作費から世界的大ヒットを生み出した。
今回提出予定となっているのは、作品賞、監督賞、主演女優賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、キャスティング賞、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、音響賞、作曲賞。
つまり演技や脚本だけに狙いを絞ったキャンペーンではなく、映画全体をオスカー候補として押し出す構えとなっている。
75万ドルから世界興収5億ドル超、次は賞レースの壁へ
『オブセッション 災愛』の最大の物語は、その異例の成功そのものでもある。
製作費は約75万ドル。フォーカス・フィーチャーズが2025年のトロント国際映画祭で約1,500万ドルで配給権を獲得し、2026年5月の北米公開後に口コミで興行を伸ばした。
現在までの世界興行収入は5億560万ドル超。フォーカス・フィーチャーズ史上最高興収作品となり、映画祭で買い付けられた作品としても歴史的な成功を記録した。
ただ、興行的な成功とアカデミー賞での評価は別問題だ。ホラー映画は長年、主要部門で苦戦するジャンルとされてきた一方、『ゲット・アウト』のように作品賞、監督賞、主演男優賞などへ進出した例もある。
フォーカス・フィーチャーズがここまで広範囲なキャンペーンを組むこと自体、スタジオ側が『オブセッション 災愛』を単なる「今年のホラーヒット」で終わらせず、2026年を代表する一本として賞レースへ送り込もうとしていることを示している。
なお、ゴールデングローブ賞でドラマ部門とミュージカル/コメディ部門のどちらへエントリーするかについては、現時点で決定していない。
低予算YouTube映画から注目された若手監督が75万ドルで作ったホラーが5億ドルを稼ぎ、今度はアカデミー作品賞を目指す。映画そのものだけでなく、その道のりまで含めて今季の賞レースで注目される存在になりそうだ。
