『大統領のケーキ』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

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映画『大統領のケーキ』(2025)を紹介&解説。


映画『大統領のケーキ』概要

映画『大統領のケーキ』は、1990年代の独裁政権下のイラクを舞台に、フセイン大統領の誕生日ケーキを作る係に選ばれてしまった9歳の少女ラミアの奔走を描くドラマ。戦争と食糧不足に苦しむ社会の中で、少女が知恵と想像力を頼りに材料を集めようとする姿を通して、抑圧された日常、家族の絆、子どもの視点から見た不条理を映し出す。監督・脚本はイラク出身のハサン・ハーディ。出演はバニーン・アハマド・ナーイフサッジャード・モハンマド・カーセムワヒーダ・サーベトラヒーム・アルハジら

作品情報

日本版タイトル 『大統領のケーキ』
英題 The President’s Cake
原題 Mamlaket Al-Qasab
製作年 2025年
世界初上映 2025年5月16日(第78回カンヌ国際映画祭・監督週間)
日本公開日 2026年7月10日
ジャンル ドラマ
製作国 イラク/アメリカ/カタール
原作 無(ハサン・ハーディ監督の実体験に着想)
上映時間 105分
映倫区分 PG12
監督・脚本 ハサン・ハーディ
製作 リア・チェン・ベイカー
製作総指揮 エリック・ロス/マリエル・ヘラー
撮影 トゥードル・ヴラディミール・パンドゥル
編集 アンドゥ・ラドゥ
音響 タマーシュ・ザーニ
美術 アナマリエ・テク
音楽 ヴァリアス
出演 バニーン・アハマド・ナーイフ/サッジャード・モハンマド・カーセム/ワヒーダ・サーベト/ラヒーム・アルハジ
製作 TPCフィルムLLC/メイデン・ヴォヤージュ・ピクチャーズ/ワーキング・バーン・プロダクションズ/スパーク・フィーチャーズ/ミッシング・ピース・フィルムズ
配給 松竹(日本)/ソニー・ピクチャーズ クラシックス(北米ほか)

あらすじ

1990年代、独裁政権下のイラク。国民が戦争と食糧不足に苦しむなか、フセイン大統領は自身の誕生日を祝うケーキを作るよう、国内の各学校に命じていた。祖母と二人で暮らす9歳の少女ラミアは、学校のくじ引きで“名誉ある”大統領のケーキ係に選ばれてしまう。

ケーキを用意できなければ、重い罰が待っている。翌朝、ラミアは祖母に連れられて、父の形見の時計と“友達”の雄鶏ヒンディとともに町へ出かける。しかし、日々の食卓も満足に揃えられない祖母の目的は、ケーキではなくラミアを養子に出すことだった。思わず逃げ出したラミアは、自分の手で材料を集めれば祖母との暮らしを続けられると信じ、クラスメイトのサイードと協力して町を駆け回る。

主な登場人物(キャスト)

ラミア(バニーン・アハマド・ナーイフ):祖母と二人で暮らす9歳の少女。学校のくじ引きで大統領の誕生日ケーキを作る係に選ばれ、厳しい状況の中で材料集めに奔走する。父の形見の時計と、友達のように大切にしている雄鶏ヒンディを連れて町へ向かう。

サイード(サッジャード・モハンマド・カーセム):ラミアのクラスメイト。ケーキの材料を集めようとするラミアに協力し、彼女とともに町を駆け回る少年。

ビビ(ワヒーダ・サーベト):ラミアの祖母。貧困と食糧不足の中でラミアを育てている。孫を守りたい気持ちを抱えながらも、生活の苦しさからラミアを養子に出そうとする、切実な事情を背負った人物。

ジャシム(ラヒーム・アルハジ):ラミアとビビの旅路に関わる郵便配達員。

ヒンディ:ラミアが大切にしている雄鶏。

作品の魅力解説

少女の視点から独裁政権下のイラクを描く

本作の大きな特徴は、政治や歴史を大人の視点から説明するのではなく、9歳の少女ラミアの体験として描いていること。大統領の誕生日ケーキという一見小さな“宿題”が、命や家族の暮らしに直結してしまう世界を通して、独裁体制の不条理が静かに浮かび上がる。ニュースだけでは見えにくい市井の人々の暮らしを、子どもの目線で体感させる作品になっている。

ケーキ作りの冒険に込められた緊張感

物語の軸は、ラミアがケーキの材料を集めるというシンプルなもの。しかし、卵や小麦粉、砂糖といった当たり前の材料さえ手に入りにくい時代背景が、少女の小さな冒険に強い緊張感を与えている。日常の買い物のように見える行動が、罰や恐怖と隣り合わせのミッションへと変わっていく構成が、本作ならではのスリリングな魅力だ。

演技未経験者たちが生むリアリティ

ラミア役のバニーン・アハマド・ナーイフをはじめ、キャストには演技未経験者が起用されている。作り込まれた芝居ではなく、表情や沈黙、戸惑いの中に生々しさが宿っており、ラミアたちが置かれた状況の切実さをより強く感じさせる。子どもたちのまなざしが、作品全体の痛みと希望を支えている。

カンヌで評価されたイラク発の注目作

『大統領のケーキ』は、第78回カンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)と監督週間観客賞を受賞し、第98回アカデミー賞国際長編映画賞のイラク代表にも選出された。ハサン・ハーディ監督の長編デビュー作でありながら、個人的な記憶をもとにした物語を普遍的な映画体験へと昇華させることに成功している。メソポタミア湿地帯やバグダッドの市場など、イラクで撮影された風景も見どころのひとつだ。

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