『パルプ・フィクション』をめぐり、タランティーノとロザンナ・アークエットの発言が波紋を広げている。
クエンティン・タランティーノが、自身の映画でのNワード使用を批判したロザンナ・アークエットに反論した。発端となったのは、アークエットが英紙『サンデー・タイムズ』のインタビューで語ったコメントである。タランティーノ監督の代表作『パルプ・フィクション』(1994)について触れる中で、作品内で繰り返される人種差別的スラングの使用に疑問を呈した。
ロザンナ・アークエット、Nワード使用に「もううんざりしてる」
アークエットは『サンデー・タイムズ』のキャリア総括インタビューの中で、『パルプ・フィクション』について「多くの面ですばらしい映画だよ」と評価した。一方で、作品内でのNワード使用については強い違和感を示している。
彼女は「個人的にはNワードにはもううんざり——あの言葉は大嫌い」と語り、さらに「彼がなぜ特別許可をもらえるのかが理解できない」と指摘。「あれはアートじゃなくて、ただの人種差別的で不快な行為だよ」と述べ、タランティーノ作品における言葉の使われ方に反対の姿勢を示した。
タランティーノ、批判に反論「品位のかけらもない、名誉もない」
こうした発言を受け、タランティーノは月曜日、アークエット宛てのレターで反論した。監督は、俳優として作品に参加していた人物が後になって批判を公にする姿勢に疑問を呈している。
声明の中でタランティーノは、「132もの媒体があなたの名前を書き、写真を掲載することで得た宣伝効果は、私とあなたが明らかに喜んで参加していた作品を侮辱するに値するものだったかな?」と述べた。
さらに、アークエットの発言について「今そう感じているのかもしれない。それは十分あり得ることだろう」としながらも、「私が仕事を与え、あなたがその報酬を受け取ったにもかかわらず、非常に打算的に思える理由から作品を貶めるのは、品位のかけらもない、名誉もないことだ」と批判した。
『パルプ・フィクション』での役どころ
アークエットは『パルプ・フィクション』で、エリック・ストルツ演じる麻薬ディーラー、ランスの妻ジョディ役として出演している。作中ではジョン・トラボルタ演じるヴィンセント・ヴェガの場面などに登場し、物語の一場面に関わる端役を務めていた。
タランティーノの反論全文
ロザンナへ
132もの媒体があなたの名前を書き、写真を掲載することで得た宣伝効果は、私と、あなたが明らかに喜んで参加していた作品を侮辱するに値するものだったかな?
今そう感じているのかもしれない。
それは十分あり得ることだろう。
しかし、私が仕事を与え、あなたがその報酬を受け取ったにもかかわらず、非常に打算的に思える理由から作品を貶めるのは、品位のかけらもない、名誉もないことだ。
本来、芸術的な同僚の間にはエスプリ・ド・コール(連帯の精神)があるべきだ。
だが、目的は達成されたようだね。
おめでとう
Q
今回のやり取りは、映画作品における言葉の表現や、その解釈をめぐる議論の難しさを改めて浮き彫りにしたと言える。『パルプ・フィクション』は1994年の公開以来、タランティーノの代表作として映画史に大きな影響を与えた作品として知られる一方、作品内での人種差別的スラングの使用については、これまでも議論の対象となってきた。
今回の発言をめぐる応酬は、公開から30年以上を経た作品であっても、その表現や意味をめぐる評価が現在も更新され続けていることを示す出来事となった。作品をめぐる議論が今後どのように受け止められていくのか、引き続き注目される。
