『アイアン・スカイ』製作陣による最新作『ディープ・レッド(原題)』三部作始動-火星の共産主義社会とAI監視体制を描く新SF計画

『ディープ・レッド(原題)』(Deep Red)コンセプトアート ©James Lies Upcoming Projects
『ディープ・レッド(原題)』(Deep Red)コンセプトアート ©James Lies

『アイアン・スカイ』製作陣による『ディープ・レッド』三部作始動、火星の共産主義社会を描く。


カルト的人気を誇るSFアイアン・スカイシリーズの製作陣が、新たな三部作『Deep Red(原題)』(ディープ・レッド)の準備を進めている。ナチスが月の裏側に潜んでいた世界観とは異なり、本作では火星に築かれた共産主義社会を舞台に、政治色の強い宇宙風刺劇を展開する構想だ。全3作を連続撮影する計画で、2027年のクランクイン、2029年から2031年にかけての公開が予定されている。

プロデューサーのテロ・カウコマーとティモ・ヴォーレンソラ監督は、総額1,500万ユーロ(約1,620万ドル)の予算規模を想定。ショートフィルム形式のプロモーション映像を今年中に公開し、三部作全体の制作体制を本格始動させるという。

ディープ・レッド-火星に築かれた“赤いユートピア”の正体

『ディープ・レッド(原題)』(Deep Red)コンセプトアート ©James Lies

『ディープ・レッド(原題)』(Deep Red)コンセプトアート ©James Lies

本作は「戦場を火星に移し」ながら、そこに“赤い脅威が健在である”世界を描く。物語の設定では、共産主義者たちが1950年代からひそかに赤い惑星を占拠し、地球から隠された社会を築いてきたとされる。その体制は「人類からの完全な隔離によってのみ成し得たもの」と説明されている。

第1作は現代を舞台に、アメリカ人宇宙飛行士が火星に不時着するところから始まる。彼が発見するのは、旧ソ連のチェス用スーパーコンピュータを基盤に構築された「ディープ・レッド」と呼ばれる人工知能が統治する都市だ。一見するとマルクス主義の理想郷のように映るが、その実態はアルゴリズムによる統治と絶対的な監視によって維持された社会であることが次第に明らかになる。

三部作同時撮影とトークン型資金調達モデル

製作陣は本作を「一大イベントとして制作される三部作」と位置づけており、3作品を連続撮影する計画を打ち出している。その構想については「ピーター・ジャクソンの『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の精神に則ったもの」と説明。公開間隔を短縮し、持続的な話題性を維持する狙いがあるという。撮影は2027年開始を予定し、2029年、2030年、2031年の順次公開を計画している。

総製作費は1,500万ユーロ(約1,620万ドル)を見込み、そのうち500万ユーロ(約540万ドル)は地域助成金や税制優遇措置から、残る1,000万ユーロ(約1,080万ドル)はエクイティ・ファイナンスで調達する見通しだ。特徴的なのは、そのエクイティ部分をブロックチェーンベースの収益分配型トークンモデルによって組成する点にある。

プロジェクトでは、映画作品および『ディープ・レッド』の知的財産全体への参加権と紐づけた1ユーロ単位のトークンを最大2,000万枚発行する計画だ。トークンは制作段階に応じてトランシェ方式で発行され、初回ラウンドではプロモーション用予告編や制作体制の整備に充てる資金として最低25万ユーロ(約27万ドル)の調達を目指す。その後、三部作の制作費を賄うための1,000万ユーロ(約1,080万ドル)規模の大型トランシェが予定されている。

製作チームは本プロジェクトについて「再びグローバルなオーディエンスの力を活用する——今回は次世代型のトークン化された収益分配クラウドファンディングモデルを通じて」と説明している。

『アイアン・スカイ』の成功と三部作戦略の教訓

月の裏側に潜むナチスを描いた『アイアン・スカイ』は、2012年のベルリン国際映画祭パノラマ部門でプレミア上映され、その後2本の続編が製作された(3本目はティーザー映像が公開されるも、発表にいたらずの状態)。作品を支えたのは、活発なオンラインファンコミュニティと、クラウドベースの資金調達における先駆的な試みだった。

一方で、世界規模のファンベースを動員することには成功したものの、作品間の公開間隔が空いてしまったことが課題として残ったという。プロデューサーのカウコマーは、『ディープ・レッド』を連続三部作として撮影する決断は、その経験から得た教訓に基づいていると説明している。

今回はあらかじめ公開スケジュールを固定し、制作から公開までの流れを一体化させることで、持続的な勢いを確保する構えだ。『アイアン・スカイ』で培った国際的なファンネットワークとクラウド型資金調達の経験を踏まえつつ、三部作をひとつの長期プロジェクトとして打ち出すことになる。

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