【映画レビュー『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』】二作で完成したメッセージ - 戦争の傷跡を抱えてなお、平和のバトンを未来へつなぐ

『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力解説まとめ Film Review
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新作映画『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』 を紹介&解説するレビュー。


続編、と聞いて身構えた人もいるかもしれない。前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、タイムスリップという仕掛けに反戦のメッセージを託し、終盤で一気に感情を揺さぶる一作として多くの観客の胸を打った。あれで完結していたはずの物語に、はたして続きなど必要なのか——正直、私もそう思っていた。だが本作『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』を観終えたいま、その疑念はまるごと覆されている。これは前作があって初めて、過去といまと未来がひとつに結ばれる、二作でひとつと呼ぶべき物語だった。8月7日(金)、日本公開

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過去といまと未来を接続する、不可欠な続編

前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』を観終えたとき、正直なところ「続編に何ができるのか」という疑念が先に立った。ところが観てみれば、これはきわめて重要な物語だ。むしろ前作があって初めて、いまと、そして未来へと語りが地続きに接続されていく——そう思わせるだけの必然を備えた、二作でひとつと呼ぶべき見事な続編に仕上がっている。

日本映画特有の、感情を大仰に盛り上げていく運びは前作からほとんど変わっておらず、そこは確かに“日本映画によくある癖”と言えるだろう。だが本作は、その大仰さが気にならなくなるほど物語そのものが優れており、伝えたいことをまっすぐに届けきる一作となっている。

前作が終盤で一気に感情と涙腺を揺さぶる作品だったとすれば、本作はその対極にある。冒頭から結末に至るまで、絶え間なく感情と涙腺へジャブを打ち込み続けてくるのだ。わっと声をあげさせて泣かせにかかるのではなく、じわじわと、いつまでも心に染み込み続ける——そういった構成になっている。

奇想天外さが支える、前作との地続き感

前作が“タイムスリップ”という特殊なギミックに反戦のメッセージを重ね合わせた作品だったとすれば、本作でその役割を担うのは輪廻、あるいは運命といったモチーフである。

今回は現実に即して真摯に語りうる物語でありながら、あえてこうしたやや奇想天外な仕掛けを残している。むしろそれがなければ前作との地続きの感覚は生まれないだろう。この一種のファンタジックな装置があるからこそ、前作から引き継がれた世界観のバランスが保たれているように思う。

そして本作は、星や花火といったモチーフを用いて登場人物たちに“空を見上げ”させる。その反復を通じて、前作で描かれた——特攻隊が飛び去っていった、あの空へと向けられた思いを、本作もまた確かに描き続けているのだ。

平和のバトンを、教育でどう受け継ぐか

本作における戦争教育の授業の場面は、とりわけ強い印象を残す。当初は高をくくり、どこか戦争や反戦教育を舐めてかかっていた子どもたちが、進行とともに次第に表情を変えていく。この描写は決して誇張ではないだろう。あの授業を実際に受ければ、子どもたちは確かにああなる——そう納得させるだけのリアリティがある。

戦争とは「我々には関係のないこと」ではない。国外に目を向ければ、いまなお戦火の絶えない地域がある。そして我々自身が、戦争の惨たらしさを、平和と自由の尊さを意識し続け、政治参加・社会参加への意志を持ち続けなければ、この日本とて再び戦争国家へと逆戻りする可能性は決してゼロではない。連綿とつながれてきた平和のバトンを、我々はいかにして受け取っていくのか。そしてそれを、教育の場で面倒がることなく、どう次代へ伝えていくべきなのか——本作には、その問いへの真摯な意識が確かに詰め込まれている。

傷跡を抱えて、なお未来を見据える

本作はまた、叶わぬ愛からいかにして前へ進むのか、という物語でもある。百合は、特攻隊として命を散らせた彰にはもう二度と会えない。千代もまた、石丸に会うことは叶わなくなった。ならば、その後に別の道を選ぶことは、はたして裏切りなのだろうか。あるいは新たな道を歩みはじめたとして、かつて散っていった愛に想いを馳せることは、いまのパートナーへの裏切りにあたるのだろうか——本作は、そうした問いのまわりを丹念に、幾度も巡ってみせる。

散ってなお残り続ける愛もまた、戦争が刻んだ傷跡のひとつなのだ。物語はほかにもさまざまな傷跡を、そして犠牲を描き出していく。それらにどう向き合い、その痛みを抱えたうえで、なお人はいかにして前を、未来を見据えるのか。その過程を、本作はこのうえなくエモーショナルに、そして美しく描ききっている。

そして、この点においてやはり際立つのが倍賞千恵子の演技である。物語そのものが感動的であることは言うまでもないが、彼女には演技だけで観る者の涙を誘う力が確かに備わっている——そう本気で思わせるだけのものが、そこにはある。


叶わぬ愛の痛みを、戦争が刻んだ数々の傷跡を抱えながら、それでも人はいかにして前を、未来を見据えるのか。そして、連綿とつながれてきた平和のバトンを、我々はどう受け取り、どう次代へ手渡していくのか。本作『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』は、その問いを声高に叫ぶのではなく、最初から最後まで観る者の心にじわじわと染み込ませていく。倍賞千恵子の、演技だけで涙を誘う力もあいまって、観終えたあともいつまでも胸に残り続ける一作だ。8月7日(金)、劇場にて。前作を観たすべての人に、そして観ていない人にも、ぜひこの物語を受け取ってほしい。

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