『インターステラー』上映会でノーランとシャラメが再会した。
ロサンゼルスのAMCユニバーサル・シティウォークで行われた『インターステラー』IMAX 70mm上映会に際し、ティモシー・シャラメが監督のクリストファー・ノーランと再会した。ノーラン・アーカイブスが公開した動画の中で、シャラメは上映前にノーランへインタビューを行い、自身にとって本作が特別な意味を持つ作品であると語っている。
「僕が出演した中で一番のお気に入り」-シャラメが語る特別な思い
シャラメは観客に向け、『インターステラー』について率直な思いを明かした。
「『インターステラー』での僕の役は決して大きくはなかったんだ。コールシートでは12番目だったと思う。でもこの映画は、人生の中で、キャリアの中で、まだ何も約束されていなかった時期に僕のところにやってきたんだ」
若き日の出演作でありながら、彼にとっては俳優人生の節目となる作品だったという。そして現在もなお、その位置づけは変わらない。
「そして今でも、僕が出演した中で一番のお気に入りのプロジェクトなんだ。人類史上作られたすべての映画の中で、僕が最も多く観た作品だよ」
当初は出演シーンが大幅にカットされていたことを知り「1時間泣いた」と振り返ったこともあるシャラメだが、それでもなお本作を“最も好きな作品”と断言する。その背景には、キャリア初期に巡り合った作品としての特別な記憶がある。
【動画】『インターステラー』IMAX上映前に行われたノーランとシャラメの対談
脚本の起源と変遷-スピルバーグ版からノーラン版へ
対談では、『インターステラー』の企画がどのように始まったのかについても語られた。シャラメは観客に向け、当時の自身の認識を振り返る。
「これは(ノーランの弟である)ジョナサンがスティーヴン・スピルバーグのために書いた脚本だったんだよね」「役をもらった時、このプロジェクトをググったんだ。元々の物語は父親と息子の話だったから、『やった、成功したぞ!』って思ったんだよ。でも明らかに作り直されて、若きトムは小さな役に役なってしまった。まあ、それでもいいんだけどね」
この発言に、ノーランはすかさず「ネットで読んだことを決して信じるなってこと!」と応じる。
会場に笑いが起こる中、ノーランは作品の「起源」について説明した。物理学者キップ・ソーンがスピルバーグに対し、「本物の科学に基づいて、より大きな宇宙を見つめるSF映画」を提案したことが出発点だったという。
その後、弟ジョナサン・ノーランが脚本に取り組み、複数のバージョンを経ることになった。
「彼は何年もそれに取り組んだんだ。素晴らしいアイデアがあって、様々な異なるバージョンを経ていったけど、スティーヴンがそれを作る準備ができるまでは、何というか、決して本当の勢いがつかなかったんだよね」
スピルバーグが別の作品に着手したことで企画は動き、最終的にクリストファー・ノーランが監督として参加することになった。
ノーランは「もし僕がこれを引き受けて、自分のアイデアのいくつかと組み合わせて、元の内容を少し変えようとしたら、どう思う?」とジョナサンに問いかけたという。
ジョナサンはそれを受け入れ、兄弟による再構築が始まった。ノーランは、弟が当初から抱いていた“野心”と精神を損なわない形で物語を発展させようとしたと振り返っている。
「人々は準備ができていなかった」-賛否を経て広がった評価
『インターステラー』は2014年11月に公開され、世界興行収入6億8100万ドルを記録し、アカデミー賞5部門にノミネート、視覚効果賞を受賞した。しかし、批評の受け止め方は一様ではなかった。
シャラメが公開当時の厳しい評価に触れようとすると、ノーランは「君は礼儀正しくしようとしているね。この映画はもっと曖昧な形で受け止められたよ」と応じた。
さらに「少し冷ややかだったよね。批評家からの反応の一部は少し冷ややかで、観客からも少しそうだった。世界中で、特に非常に良い興行収入を上げたんだけどね。人々が完全には……自惚れて聞こえるかもしれないけど、準備ができていなかったという感覚があったんだ」と続ける。
当時、あるプロデューサーが匿名でノーランを「彼は冷たい男で、冷たい映画を作る」と評したこともあったという。しかし監督自身は、本作を家族や人間性を描く“感情的な映画”として構想していた。
それでも年月が経つにつれ、作品の受け止められ方は変化していく。「このプロジェクトは年々人々の心に触れるようになり、ある意味成長しているんだ」と語るノーランは、近年では観客から『ダークナイト』ではなく『インターステラー』について声をかけられる機会が増えたと明かす。2年前の再公開では500万ドルを記録したことも、その変化を象徴する出来事だった。
「最悪の反応は、人々が『まあ、悪くないね。大丈夫だよ』と言う時なんだよ。むしろ彼らに何かを感じてもらいたいよね。情熱的に嫌うか、情熱的に夢中になって恋に落ちるか、どちらかになってほしいね」
公開当初の賛否を越え、本作は時間とともに観客との関係を深めてきた。時間をテーマにした物語が、時間によってその価値を証明しているとも言える。
「君は好き勝手やりやがった」-撮影現場での忘れられない一幕
対談の終盤では、『インターステラー』の中でも象徴的な場面のひとつである、クーパーが成長した子どもたちからのメッセージを観るシークエンスについて話が及んだ。シャラメはその撮影に参加していた。
ノーランは「君が家からのメッセージを撮影していた時、特に暗いトーンを打ち出していた場面があったんだ」と振り返り、当時の演技について覚えた違和感を明かす。
「僕には強すぎると感じたんだよね。特に気に入らなかった。君にそのことを伝えたんだけど、君は好き勝手やりやがって、そのまま続けたんだよ!でも僕は『彼は自分がやりたいことを分かっていて、アイデアがあるんだな』と思ったんだ」
若き日のシャラメは、指摘を受けながらも自身の選択を簡単には手放さなかった。ノーランはそれを「頑固だったわけじゃない」としつつ、俳優としての意思と準備を感じ取っていたと語る。
「君は自分がやりたいことを計画していた。自分の選択を計画していて、僕の何気ない気まぐれでそれを放棄したくなかったんだよね」
最終的にノーランはその演技を尊重。「君は試して、挑戦して、僕が何度もフィードバックしに戻るかどうか確かめたかったんだろう。でも僕は戻らなかった。編集室でそこに論理を見つけるつもりだったからさ」と、編集室で作品全体の中に位置づけることを選んだ。
巨大なスケールのSF映画でありながら、その核心にあったのは家族の感情であり、俳優と監督の間で交わされたこうしたやり取りだったのかもしれない。上映会での再会は、公開から年月を経た今もなお、『インターステラー』が多くの人々にとって特別な作品であり続けていることを示していた。




