スピルバーグがロンドン映画祭にサプライズ登場-クロエ・ジャオ監督『ハムネット』へ熱い賛辞「地球の鼓動とつながる映画作家」

スティーヴン・スピルバーグ(National Geographic / YouTube) NEWS
スティーヴン・スピルバーグ(National Geographic / YouTube)

スティーヴン・スピルバーグがロンドン映画祭で『ハムネット』プレミアに登場し、クロエ・ジャオ監督を称賛した。


スティーヴン・スピルバーグがロンドン映画祭で、クロエ・ジャオ監督の最新作『ハムネット』プレミアにサプライズ登場した。会場のロイヤル・フェスティバル・ホールは観客の歓声に包まれ、思いがけないゲストの登場に大きなどよめきが広がった。

スピルバーグがクロエ・ジャオを称賛-「地球の鼓動とつながる映画作家」

スピルバーグはステージ上で、ジャオと初めて出会ったのは『ノマドランド』で彼女がアカデミー賞を受賞した翌年、オスカー候補監督たちが集うディナーの席だったと振り返った。

私たちは友達になって、アンブリンで一緒にランチをするようになったんだけど、彼女には本当に驚かされるよ」と語り、親交の中で感じた監督としての魅力を明かした。

さらにスピルバーグは、ジャオが持つ独自の感性について「私は本当に地球には鼓動があると信じているんだ。24秒の地震サイクルがあって、私たち全員がこの鼓動とつながっている。それは私たちの足元で起きているんだよね。でもクロエ・ジャオはそれと深いレベルでつながっているんだ。なぜなら、それが彼女の芸術の源だからね」と表現、「『ハムネット』を観れば、クロエ・ジャオのおかげで地球の地震的鼓動を感じることができる」と締めくくった。

『ハムネット』が描く“愛と喪失”-ポール・メスカルがジャオを「現代の偉大な魔女」と称賛

スピルバーグは本作のプロデューサーも務めており、作品はウィリアム・シェイクスピアの名作『ハムレット』誕生の背景にある“愛と喪失”を描いた物語である。物語は、息子ハムネットの死をきっかけに、悲しみを創作へと昇華させていく夫婦の姿を中心に展開する。

『ハムネット』より ©2025 FOCUS FEATURES LLC

『ハムネット』より ©2025 FOCUS FEATURES LLC

主演を務めるのは、『aftersun/アフターサン』などで知られるポール・メスカルと、『ウーマン・トーキング 私たちの選択』のジェシー・バックリー。メスカルは若き日のシェイクスピアを、バックリーはその妻アグネスを演じている。

プレミアのステージでメスカルは、撮影を共にしたジャオ監督への敬意を表し「彼女が確立した雰囲気こそが、人々がこの映画に反応している主な理由のひとつ」と述べたほか、「クロエ・ジャオは現代における偉大な魔女のひとりだ」とも称賛した。

クロエ・ジャオが涙ながらに語った「故郷への帰還」-観客へ贈った言葉「すべての感情を歓迎します」

ジャオ監督がマイクを手にしたとき、彼女は明らかに感情をこらえていたという。「とてもエモーショナルになっているので、寛大な心でお願いします」と語り始め、「計り知れない感謝の気持ちでいっぱいです。なぜなら今日、私たちはついに『ハムネット』を故郷に連れて帰ることができたからです」と続けた。

撮影を振り返り、ジャオはイギリスの地で得た人々とのつながりを強調した。「この島で、この村の人々と映画を作ることで、私はコミュニティの深い感覚、安全性の感覚を得ました。これまで経験したことがないものでした。それは私の人生の非常に困難な時期を乗り越える助けとなり、私はそれを当然のこととは思っていません。特に、ますます人々が孤立している世界においては」と語り、感謝とともに撮影の意味を静かに噛みしめた。

上映前、ジャオは観客に呼吸法のエクササイズを促し、映画を観る際に心に留めてほしい言葉として「すべての感情を歓迎します」と伝えた。その言葉には、作品が描く“喪失と再生”のテーマを象徴するような温かさが込められていた。

映画祭で高評価続出-「時に耐え難いほど感情的に生々しい」と絶賛の声

『ハムネット』は先月、アメリカ・コロラド州で開催されたテルライド映画祭でワールドプレミアを迎え、大きな反響を呼んだ。その後トロント国際映画祭でも上映され、観客賞を受賞。早くもアカデミー賞の有力候補として注目を集めている。

『Variety』誌のチーフ映画批評家ピーター・デブルージュは、本作を「時に耐え難いほど感情的に生々しい」と評し、レビューの中でジェシー・バックリーの演技を次のように称えた。
「ジェシー・バックリーはシェイクスピアの妻アグネスとして、そして彼の子供たちの母親として英雄的な演技を見せている――しかし描かれているように、彼女は私たち全員の母であり得る――息子ハムネットの死を受け入れざるを得ない、地に足のついた、ほとんどシャーマン的な精神である」

一方で、ポール・メスカルが演じるシェイクスピアについては、「俳優もキャラクターも、この物語の女性的要素によって存在感は薄くなっている」と指摘し、作品が女性の内面的な強さに焦点を当てた構成であることを示唆した。

『ハムネット』はフォーカス・フィーチャーズ配給で、11月27日から米国限定で劇場公開され、12月12日から全国に拡大される予定。日本では東京国際映画祭でクロージング作品として上映された後、2026年に公開される見込みである。

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