カンヌ受賞の新鋭監督が描く叶わぬ恋と学生運動-『何も知らない夜』公開決定[動画あり]

『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021 NEWS
『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021

『何も知らない夜』が8月8日より公開。『私たちが光と想うすべて』の監督が描く学生たちの闘いと愛の記録。


私たちが光と想うすべて』の公開を記念し、パヤル・カパーリヤー監督が手がけた初の長編ドキュメンタリー『何も知らない夜』が、8月8日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほかにて期間限定で全国順次公開されることが決定した。第74回カンヌ国際映画祭・監督週間でルイユ・ドール賞(ベスト・ドキュメンタリー賞)を受賞し、2023年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でも大賞に輝いた本作。今回の発表に合わせて、ポスタービジュアル、予告編、場面写真、そして監督のコメントも公開された。

『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021

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『何も知らない夜』とは-学生寮から見つかった手紙が導く記録と記憶の物語

映画大学の学生寮の片隅で見つかった、小箱に収められた恋文。その手紙は、学生L(エル)が秘かに恋人へ宛てて綴ったものだった。作品はこの“叶わぬ愛”を出発点に、インドにおけるカースト制度の現実や、2016年に実際に発生した極右政党・ヒンドゥー至上主義者による学生運動の弾圧事件へと観客を誘っていく。

『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021

『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021

本作は、パヤル・カパーリヤー監督が自身の学生時代の体験をもとに映画化したもので、架空のラブストーリーとアーカイブ映像、日常の断片、抗議運動の記録が重層的に織り交ぜられている。ベッドでうたた寝をする学生たちや家族との食事風景など穏やかな日常が、やがて路上デモや警察との衝突といった緊迫のシーンへと変化し、フィクションと現実の境界が揺らぐ映像詩が展開する。

世界が注目する新鋭パヤル・カパーリヤー監督-劇映画とドキュメンタリーの両軸で高評価

インド・ムンバイ生まれの新鋭映画作家パヤル・カパーリヤーは、2021年に完成させた本作『何も知らない夜』で注目を集め、ドキュメンタリー作家として高く評価された。同作は第74回カンヌ国際映画祭の監督週間に選出され、ルイユ・ドール賞(ベスト・ドキュメンタリー賞)を受賞。また、2023年の山形国際ドキュメンタリー映画祭ではロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)を受賞している。

『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021

『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021

一方で、2024年には初の劇映画監督作『私たちが光と想うすべて』が第77回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。100以上の映画祭・映画賞にノミネートされ、25以上の賞を受賞、70カ国以上での公開が予定されるなど、劇映画の分野でも国際的な評価を確立した。
ドキュメンタリーとフィクションの垣根を超えた作品づくりによって、カパーリヤー監督は現代インド社会のリアルを鋭く、かつ詩的に描き出す存在として世界から注目を集めている。

公立大学への讃歌と未来の自由-カパーリヤー監督が語る創作の原点

何も知らない夜』は、パヤル・カパーリヤー監督が2017年頃から自身の身の回りの友人や日常風景を記録し、学生たちが撮影した映像や家族のアーカイブ、ネット上の画像などを収集・再構築して生まれた作品だ。記憶の断片ともいえるそれらの映像群に、架空のラブストーリーを重ねることで、個人の感情と社会の構造が交差する映画的エッセイとなっている。

『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021

『何も知らない夜』©Petit Chaos – 2021

本作の背景にあるのは、インドの教育制度やカーストによる格差、そして自由を求めて声をあげる若者たちの姿だ。カパーリヤー監督は次のようにコメントしている。

『何も知らない夜』は、インドの公立大学制度への讃歌です。何世紀もの間、社会の特定の層は教育を受けることを否定されてきました。インドの公立大学制度は、こうした歴史的な過ちを正すために作られたのです。いまだにカーストやその他の差別がその固有の構造の中に存在しているため、必ずしも成功しているとは言えないかもしれません。それでも公立大学は今もなお、物理的にも知的にも真の自由――何ものも神聖視することなく、どんなことでも疑うことのできる自由――をもたらす空間になりうるでしょう。これこそが、私たちが目指すべき未来の世代の自由であり、この自由を手にした若者たちが、自分たちを縛り付ける社会から自由になれるようにするためのものです。

また、自身の語り口についてもこう述べている。

この映画は、優しく女性的な声という視点から語られる、長い夢なのです。

社会と個人、記録と想像、現実と夢――それらの境界をゆるやかに越境する映像詩は、観る者に静かな衝撃と深い余韻を残すだろう。

【動画】『何も知らない夜』予告編

作品情報

作品名:『何も知らない夜』
原題:A Night of Knowing Nothing
公開日:2025年8月8日(金)より Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下 ほか期間限定公開
監督・脚本:パヤル・カパーリヤー
撮影・編集:ラナビル・ダス
音楽:ドリティマン・ダス(Topshe)
手紙の朗読:ブーミシュタ・ダス
2021年|フランス、インド|ヒンディー語、ベンガル語|103分|1.33:1|パートカラー|字幕:藤井美佳
©Petit Chaos – 2021
配給:セテラ・インターナショナル
公式サイト:www.naniyoru.com

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