ジョニー・デップが#MeTooを象徴する裁判を振り返り、当時の心境と今の覚悟を明かした。
英紙『ザ・サンデー・タイムズ』のインタビューで、俳優のジョニー・デップが2016年から続く騒動や裁判について語った。元妻アンバー・ハードによる家庭内暴力の告発を発端に、世界的な注目を集めた複数の訴訟を経験したデップは、自身を“#MeTooの実験人形(クラッシュテスト・ダミー)”だったと表現。その発言には、自身のキャリアや私生活に大きな影響を及ぼした経験への率直な思いがにじんでいた。
“#MeTooの実験人形にされた”と語る理由
デップがこの言葉を使った背景には、2016年に元妻アンバー・ハードから提起された家庭内暴力の告発がある。離婚申請とともに公となったこの告発は、その後の複数の裁判に発展し、デップのキャリアに大きな影響を与えることとなった。
2018年には英大衆紙「ザ・サン」がデップを“妻を殴る男(wife beater)”と形容したことを受け、名誉毀損で同紙を提訴。2020年夏に行われた裁判では、裁判所がこの表現は“実質的には事実”と認定し、デップは敗訴。これにより、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズからの降板を余儀なくされた。
インタビューでは、こうした一連の出来事を冷静に振り返りながら、「“実験人形(クラッシュテスト・ダミー)”にされたことで、自分の名や人生が歪められて伝えられた」と語り、世論とメディアの激しい反応にさらされた経験を明かした。
全世界注目の2022年裁判-「緊張はなかった」
2022年には、アンバー・ハードが執筆したワシントン・ポストの寄稿文をめぐって、ジョニー・デップが名誉毀損で提訴した裁判がアメリカで開かれた。この裁判はYouTubeで生配信され、全世界から注目を集めた。
裁判の中では、双方の私生活に関する衝撃的な証言や証拠が多数明かされ、SNSでも大きな話題に。最終的に陪審団は、ハードの寄稿がデップの名誉を毀損したと判断しつつ、同時にデップ側の発言にも名誉毀損があったと認定するという複雑な判決が下された。
デップはこの裁判について、「もう十分だったんだよ」と語る。“時間がたてば騒ぎは消える”という世間の声に対しても「信じられないね、何が収まるって?世界中にばらまかれた作り話が?そんなわけないだろう」と反論。「もし僕が真実を伝えようとしなければ、まるで告発された行為を実際に犯したかのようになってしまう。僕の子供たち、その子供たちの子供たちがそれと一緒に生きていくことになるんだよ」と、裁判に臨んだ理由を明かした。
さらに、裁判前夜の心境についても触れ、「緊張はまったくなかったよ。セリフを覚える必要がなく、ただ真実を語ればいいだけ。サイコロを振るようなものさ」と率直に語っている。
“最後まで闘う”覚悟と新たな出演作
自身を取り巻く一連の報道や訴訟を「中傷記事やでたらめの連続だった」と振り返ったデップは、それでも「最後の最後まで闘うつもりだった」と語る。「最終的にガソリンスタンドで働くことになっても構わないさ。もう経験済みだからね」と余裕を見せた。
長引いた裁判や世論の反応を経て、数年の沈黙の後、デップは再びハリウッドに戻りつつある。次回作はペネロペ・クルスと共演するライオンズゲート製作のアクション・コメディ『Day Drinker(原題)』。2001年の『ブロウ』以来4度目の共演となる本作は、2026年に米劇場公開予定だ。
現在の心境について問われると、デップは「何ひとつ後悔はない」と断言。「先週のディナーについて何ができる?何もできやしないだろう」と語り、過去にとらわれず前を向く姿勢を見せた。

