時が流れ、人が変わり、景色が移り変わっても、変わらないものがある。それは「場所」が持つ記憶と歴史だ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『フォレスト・ガンプ』で私たちを魅了してきたロバート・ゼメキス監督が、今度は一つの場所に刻まれた壮大な時間の物語を描き出す。4月4日(金)に日本公開される『HERE 時を越えて』は、観る者の時間と空間に対する認識を揺さぶる、かつてない映画体験となるだろう。

©2024 Miramax Distribution Services, LLC. All Rights Reserved.
時間と空間を超える実験的映像作品
恐竜の時代から原始時代、近代、現代に至るまで、今作は終始ひとつの“ココ(HERE)”を映し続ける。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で時を遡ったロバート・ゼメキス監督は、『フォレスト・ガンプ』のトム・ハンクス、ロビン・ライトと共に、今度は永遠にも感じる長き時の流れを描き出す。

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一部の批評家や海外映画ファンからは冷ややかな評価も受けている本作だが、その反応も理解はできる部分がある。時間軸が目まぐるしく変化し、過去と未来を行き来する断片的な構成は、従来の映画的なストーリーテリングを期待する観客にとって、一貫したストーリーとして咀嚼するのをやや困難にしているからだ。しかし、この映画の真髄はそもそも単一の物語性にあるのだろうか。
概念芸術としての映画体験
むしろ本作は、実験的なドキュメンタリーや概念芸術のように「時間と土地」という壮大なテーマを探求する作品として鑑賞すべきではないだろうか。「HERE」が示す特定の場所の歴史をただ追うだけでなく、この映画は私たちに普遍的な問いかけをしている——私がいるここ、よくいくあそこ、この地球上のあらゆる場所に、想像を超える無数のドラマが積み重なってきたのだと。そこに思いを馳せ、この世界の悠久の時間と無限の歴史の広がりを感じる瞬間こそ、この映画の持つコンセプトの真の魅力だと感じる。
この概念的な壮大さを支えているのが、トム・ハンクス、ロビン・ライト、ポール・ベタニーらの卓越した演技力だ。彼らの存在感が、この特異な時間構造を持つ物語に情感と深みを与え、「普遍的なドラマ」を鮮やかに浮かび上がらせている。
社会的視点と歴史の重み
さらに本作は社会的な視点も巧みに織り込む。ある場面では奴隷制時代の黒人の姿を映し出し、またある場面では現代において子どもに警察との適切な接し方を教える黒人の親の姿を捉える——差別や偏見が時代を超えて形を変えながら存在し続ける現実を静かに告発している。一つの場所を通して時間と空間を徹底的に探求しながら、人間社会の進化と停滞、そして私たちが直面する歴史の重みを映し出すことに成功した、稀有な映画体験と言えるだろう。
『HERE 時を越えて』は単なる映画ではなく、私たちが普段意識することのない「場所の持つ記憶」を可視化した壮大な思考実験だ。映画館を後にする頃には、自分の立っている「ここ」がどれほど多くの物語を秘めているのか、静かに思いを馳せずにはいられないだろう。時間と空間の概念を根底から問い直すこの意欲作は、4月4日(金)より日本全国で公開される。ゼメキス、ハンクス、ライトによる奇跡のコラボレーションが紡ぎ出す、唯一無二の映画体験をぜひ劇場でその目に焼き付けてほしい。


作品情報
<STORY>
恐竜が駆け抜け、氷河期を迎え、オークの木が育ち、先住民族の男女が出会う。悠久の時を越えてその場所に家が建ち、いくつもの家族が入居しては出てゆく。心を揺さぶるドラマと共に。1945年、戦地から帰還したアル(ポール・ベタニー)と妻のローズ(ケリー・ライリー)が家を購入し、やがてリチャード(トム・ハンクス)が生まれる。世界が急速に変化していく中、絵の得意なリチャードはアーティストになることを夢見ていた。そんな中、別の高校に通うマーガレット(ロビン・ライト)と出会い、2人は恋におちる。マーガレットは、高校卒業後は大学に進学し、弁護士になることを目指していた。だが、ここから思いがけない人生が始まる──。
タイトル:HERE 時を越えて
原題:HERE
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:エリック・ロス、ロバート・ゼメキス
原作:リチャード・マグワイア
出演:トム・ハンクス、ロビン・ライト、ポール・ベタニー、ケリー・ライリー、ミシェル・ドッカリー
日本公開:2025年4月4日(金)
2024年|アメリカ|英語|104分|カラー|5.1ch|ビスタ|字幕翻訳:チオキ真理|G
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配給:キノフィルムズ
公式サイト:here-movie.jp
X:@HERE_movie0404
