映画『ブルータリスト』(2024)を紹介&解説。
映画『ブルータリスト』概要
映画『ブルータリスト』は、ブラディ・コーベット監督が、第二次世界大戦後のアメリカに渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家の半生を描く壮大なヒューマンドラマ。ホロコーストを生き延びた建築家ラースロー・トートが、妻との再会と新たな人生を求めて渡米し、富豪実業家との出会いをきっかけに、創作、権力、移民、アメリカンドリームの光と影に向き合っていく。主演はアカデミー賞俳優エイドリアン・ブロディ、共演にフェリシティ・ジョーンズ、ガイ・ピアース、ジョー・アルウィン、ラフィー・キャシディら。
作品情報
日本版タイトル:『ブルータリスト』
原題:The Brutalist
製作年:2024年
本国公開日:2024年12月20日
日本公開日:2025年2月21日
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ/イギリス/ハンガリー
原作:無
上映時間:215分
映倫区分:R15+
監督:ブラディ・コーベット
脚本:ブラディ・コーベット/モナ・ファストヴォールド
製作:ブラディ・コーベット/トレヴァー・マシューズ/ニック・ゴードン/ブライアン・ヤング/アンドリュー・モリソン/アンドリュー・ローレン/D・J・グゲンハイム
製作総指揮:モナ・ファストヴォールド/パメラ・コフラー/クリスティーン・ヴェイコン/デヴィッド・ヒノホサ ほか
撮影:ロル・クローリー
美術:ジュディ・ベッカー
編集:ダーヴィド・ヤンチョー
作曲:ダニエル・ブルンバーグ
出演:エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ/ガイ・ピアース/ジョー・アルウィン/ラフィー・キャシディ/ステイシー・マーティン/イザック・ド・バンコレ/アレッサンドロ・ニヴォラ
製作:ブルックストリート・ピクチャーズ/カプラン・モリソン/インテイク・フィルムズ/アンドリュー・ローレン・プロダクションズ ほか
配給:A24(米国)/パルコ/ユニバーサル(日本)
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あらすじ
第二次世界大戦下のホロコーストを生き延びたハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トートは、妻エルジェーベト、姪ジョーフィアと引き離されたまま、アメリカ・ペンシルベニアへ移住する。貧しい暮らしの中で再出発を図るラースローは、やがて裕福な実業家ハリソン・リー・ヴァン・ビューレンと出会い、その才能を見込まれて大規模な建築計画を任されることになる。しかし、成功への道は希望だけでなく、階級、権力、差別、創作の代償を伴うものだった。
主な登場人物(キャスト)
ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ):ホロコーストを生き延び、戦後のアメリカへ渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家。才能と理想を持ちながらも、異国での生活、戦争の記憶、創作への執念に揺れ動く本作の主人公。
エルジェーベト・トート(フェリシティ・ジョーンズ):ラースローの妻。戦争と国境の変化によって夫と引き離されるが、ラースローにとっては人生を再建するうえで欠かせない存在であり、物語の感情的な軸を担う。
ハリソン・リー・ヴァン・ビューレン(ガイ・ピアース):ペンシルベニアの裕福で著名な実業家。ラースローの才能を見出し、彼に大規模な建築計画を託すが、その関係は単なる支援者と芸術家の結びつきにとどまらない緊張をはらんでいく。
ハリー・リー(ジョー・アルウィン):ハリソンの息子。富裕層の価値観や家族の権力構造を体現する人物のひとりとして、ラースローの新天地での運命に関わっていく。
ジョーフィア(ラフィー・キャシディ):ラースローの姪。戦争によって家族と引き離された存在であり、ラースローとエルジェーベトが抱える喪失や再生のテーマを浮かび上がらせる重要人物。
作品の魅力解説
本作の大きな魅力は、ひとりの建築家の人生を通して、戦後移民の苦難、アメリカンドリームの矛盾、芸術と権力の関係を壮大なスケールで描いている点にある。215分という上映時間は長尺ながら、物語はラースローの人生そのものを巨大な建築物のように積み上げ、観る者に重厚な没入感を与える。
エイドリアン・ブロディが演じるラースローは、才能に恵まれた芸術家であると同時に、故郷、家族、尊厳を奪われたサバイバーでもある。その複雑な内面を、ブロディは抑制と激情を行き来する演技で表現している。フェリシティ・ジョーンズ、ガイ・ピアースらの存在も、夫婦の再生、支配する者とされる者、富と芸術の危うい距離感を際立たせる。
また、建築は本作において単なる職業や背景ではなく、主人公の精神、記憶、野心、傷を映し出す象徴として機能している。巨大な建築物をめぐる物語は、ラースローが自らの人生をどう再建しようとするのかという問いと重なり、視覚的にもテーマ的にも強い印象を残す。
さらに、第81回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞し、第82回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、監督賞、主演男優賞(ドラマ部門)を受賞。第97回アカデミー賞でも主演男優賞、撮影賞、作曲賞を受賞しており、演技、映像、音楽の各面で高く評価された作品である。
