映画『タップス』(1981)を紹介&解説。
映画『タップス』概要
映画『タップス』は、ハロルド・ベッカー監督が、デヴァリー・フリーマンの小説『Father Sky』を映画化した青春ドラマ。土地開発による閉校が決まった名門陸軍幼年学校を守ろうと、生徒たちが武器を手にして校内へ立てこもり、事態が次第に取り返しのつかない方向へ進んでいく姿を描く。主演はティモシー・ハットン。共演にジョージ・C・スコット、ロニー・コックス、ショーン・ペン、トム・クルーズら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『タップス』 |
|---|---|
| 原題 | Taps |
| 製作年 | 1981年 |
| 本国公開日 | 1981年12月9日(ニューヨーク公開) |
| 日本公開日 | 1982年5月22日 |
| ジャンル | ドラマ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | デヴァリー・フリーマン『Father Sky』(小説) |
| 上映時間 | 126分 |
| 監督 | ハロルド・ベッカー |
|---|---|
| 脚本 | ダリル・ポニクサン/ロバート・マーク・ケイメン/ジェームズ・ラインバーガー(脚色) |
| 製作 | スタンリー・R・ジャッフェ/ハワード・B・ジャッフェ |
| 撮影 | オーウェン・ロイズマン |
| 編集 | モーリー・ワイントローブ |
| 作曲 | モーリス・ジャール |
| 出演 | ジョージ・C・スコット/ティモシー・ハットン/ロニー・コックス/ショーン・ペン/トム・クルーズ/ブレンダン・ウォード/エヴァン・ハンドラー/ジャンカルロ・エスポジートほか |
| 製作 | 20世紀フォックス |
| 配給 | 20世紀フォックス(米国/日本) |
あらすじ
長い歴史を持つバンカーヒル陸軍幼年学校。しかし、土地開発を理由に学校が閉鎖されることが決定する。学校を誇りとする優等生ブライアン・モアランドたちにとって、それは自分たちの居場所と価値観そのものを奪われる宣告だった。さらに、彼らが敬愛する校長ベイシュ将軍が町の若者との騒動をきっかけに倒れ、学校は予定より早く閉鎖されることになる。ブライアンは仲間たちと校内の武器を確保し、学校へ立てこもることを決断。大人たちとの交渉を続けながら学院を守ろうとするが、生徒たちの結束は徐々に揺らぎ、軍隊さながらの籠城は現実の暴力へと変わっていく。
主な登場人物(キャスト)
ブライアン・モアランド(ティモシー・ハットン):バンカーヒル陸軍幼年学校の士官候補生を率いる優等生。学院の伝統とベイシュ将軍を深く敬愛し、閉校を阻止するため仲間たちを率いて立てこもる。
ハーラン・ベイシュ将軍(ジョージ・C・スコット):バンカーヒル陸軍幼年学校の校長。生徒たちから尊敬を集める軍人であり、ブライアンにとって理想的な指導者でもある。
カービー大佐(ロニー・コックス):学院を占拠したブライアンたちと向き合う大人のひとり。事態が武力衝突へ発展するのを防ごうとする。
アレックス・ドワイヤー(ショーン・ペン):ブライアンの親しい友人で士官候補生。ブライアンに協力しながらも、事態が危険な方向へ向かうにつれて葛藤を深めていく。
デヴィッド・ショーン(トム・クルーズ):学院に立てこもる士官候補生のひとり。好戦的で強硬な姿勢を見せ、ブライアンたちの行動が次第に軍事的な対立へと変化していく中で存在感を強めていく。
作品の魅力解説
理想を守る行動が、暴力へ変質していく怖さ
『タップス』の中心にあるのは、「誇りある学校を守りたい」という少年たちの純粋な理想が、武器を手にした瞬間から別の意味を持ち始める過程だ。
ブライアンたちは最初から無秩序な反乱を望んでいるわけではない。規律を守り、交渉し、自分たちなりの正義を貫こうとする。しかし軍事教育によって培われた規律と忠誠心が、閉鎖された空間の中で徐々に現実社会との断絶を生み出していく。正しい理念で始まった行動でも、武力を伴えば制御不能になり得るという構造がサスペンスを生んでいる。
「軍人になろうとする少年」と「まだ子供である現実」の衝突
制服を着て銃を持ち、軍人の規律に従って動く生徒たちは、一見すれば成熟した兵士のように見える。しかし彼らの多くはまだ少年であり、実際の死や暴力を前にした経験もない。
そのギャップこそ本作の重要なポイント。名誉、忠誠、勇気といった言葉を信じて育ってきた少年たちが、それらを現実の社会で実践しようとしたとき、理想化された軍人像と実際の武力行使との違いに直面する。
ティモシー・ハットン、ショーン・ペン、トム・クルーズが並ぶ若手キャスト
主演のティモシー・ハットンに加え、まだキャリア初期だったショーン・ペンとトム・クルーズが士官候補生を演じている点も、現在から振り返ると大きな見どころ。
特にクルーズ演じるデヴィッドは、籠城が長引くにつれて強硬な姿勢を見せる人物で、後年のスター像とは異なる荒々しい若者を演じている。ベテランのジョージ・C・スコットと次世代を担う若手俳優たちが同じ作品に集った、1980年代初頭ならではのキャスティングも興味深い。
